若手の職員さんが抱える日々の悩みを、元・県庁職員でもあった﨑田さんが全力で解決へと導きます!
※下記はジチタイワークスVol.17(2021年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
Vol.3 今回の悩める職員
“民間のスピード感”という言葉をよく聞きます。ずっと自治体職員だったので、この感覚が分かりません。でも、身につけたいです!
自治体職員の仕事が遅いなんて正直、私は全く思いません。
“役所の動きは鈍い”というイメージがついてしまった理由。
自治体職員は新卒での入庁者が多く、民間企業での勤務経験がない方がほとんどだと思います。ゆえに、“役所は仕事が遅い” “意思決定に時間がかかる”といった声を住民や民間企業、メディアなどから耳にするたび、“そんなに違うものなのか”と、肩身の狭い気持ちになってしまう方も多いのかもしれません。私も市長をするまでは、県庁と省庁でしか働いたことがなく、まさしく“ザ・公務員”の経歴しかなかった1人です。ただ、仕事のできる先輩方を多く見てきて、“そんなに遜色ないのではないか”という思いを持っていました。みなさんバリバリ仕事しています。
それでもなぜ、スピード感がないような印象になるのかというと、大きな原因の1つは“予算”だと思っています。民間企業の方が新たな案件の相談で役所に行き、お互いに「まとまりましたね、これでやりましょう」となっても、新規予算を獲得できるのは、よほどのことがない限り本予算の決定時だけです。せっかく2月に話がまとまっても、「本予算の検討は年末に向かって実施し、実際の可決は来年の3月議会です。そのため、実行できるのは来年の4月以降です」と言われてしまうと、「おいおい、1年以上先だって??そんなスピード感なんてありえない……」と思ってしまうわけです。
自分でも気づかないうちに思考が停止していることも。
これをどう突破するのか。キーワードは“柔軟さ”です。そもそも本当に自治体の予算でやるしかないのか、を考えてみましょう。つまり、これまでの常識の中だけでの発想になっていないか、気づかないうちに思考停止していないかを常に意識することが大切です。実施する主体を変えれば、すぐに実行できるかもしれません。スモールスタートを意識し、その年度は実証実験として民間に予算を負担してもらい、検証しながら本予算を獲得するというやり方もあります。さらには、強い思いを持った市民グループへの側面支援という形を取り、伴走しながらクラウドファンディングで予算を集める方法だってあるのです。
何度も書きますが、個人が仕事を行うスピードは、自治体も民間もさほど違いません。“目的に向かうルートは1つじゃないはずだ!”という考えを持って、柔軟に事にあたれば、一気に“スピード感のある役所だ”という評価を受けるようになるはずです。自治体職員の皆さんには、ぜひ、仕事の進め方をいま一度見つめ直してもらえればと思います。自分でもワクワクするようなアイデアが見えてきますよ!
下記に具体的な対策をまとめていますので、ぜひご活用ください。
「仕事が遅すぎる」と言われる!
1.完成度を優先せずレスポンスを早く
努力のベクトルを意識。精度が高くとも方向性が違ったら全てが無駄に。
2.こまめな発信で経過を見える化!
たとえ一歩ずつでも、“着実に動いている”ことを理解してもらう努力を。
3.いくらでもある時間短縮の方法!
予算は税金。決済に時間がかかるのは当然。勝負はここから!考えろ!
第4回目は1月下旬にWEB上で掲載予定!
専用サイトはこちらから
※本連載は、WEBと交互に掲載予定。第5回目は本誌次号で掲載します。どうぞお楽しみに!