若手の職員さんが抱える日々の悩みを、元・県庁職員でもあった﨑田さんが全力で解決へと導きます!
※下記はジチタイワークスVol.20(2022年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
Vol.9 今回の悩める相手
行政の一方通行ではなく、住民を巻き込んだまちづくりに取り組みたいです。そのためにはどんな工夫が大切なのでしょうか。
ともにつくり上げていく意識と誰よりも汗をかく熱意が大切。
構想段階で住民に意見を聞いて“わが事業”と捉えてもらう。
行政が打ち出す政策がなかなか住民に届かなかったり、もっと住民にも関わってほしいのに、住民代表はいつも役所がお願いするメンバーだけになってしまったり……という悩みを抱えている自治体は多いと思います。これを解決するには、大きく3つの手法(テクニック)があります。
1つ目は、事業の構想段階から住民に意見を聞きながら(相談しながら)進めていくこと。事業を始めるときにありがちなのが、役所の中だけで完璧に内容や計画を決めてしまい、それを公表する際には、一般の人(住民)が意見を言いようがないくらい、きれいに整った説明をしようとすることです。それでは住民は追認するしかないですし、“わが事業”と思うことは少ないでしょう。
役所はどうしても“誰からも突っ込まれないような事業”をつくろうとし、結果として無味乾燥になってしまいます。粗削りでもいいので早い段階で住民に考えや方針を示し、どんどん意見交換をしていきましょう。意見をたくさん聞いてもらうことで参加意識が高まると、住民は“わが事業”と捉えられるようになり、愛着をもって応援団になってくれると思います。そのために、早い段階で公表できるようにする段取りの良さと、様々な意見を聞き入れる度量の広さが必要です。
進行の定期的な発信と熱意で“応援したい”と思われる人に。
2つ目は、メディアやSNSで進行状況を定期的に伝え、どんどん事業が進んで(成長して)いく様子を感じてもらうことです。“無名のアイドルやアーティストが少しずつ成長して有名になっていく過程を応援するのが楽しい”という感覚になってもらえれば最高です。まちづくりが“わが事”になるように情報発信を工夫してみてほしいですね。
3つ目は、やはり担当者の熱意だと思います。住民を巻き込むためには、担当者が誰よりも汗をかくことが大事。熱意をもって誠実に仕事をしていれば、自然と応援者は増えていきます。私たちがオリンピックやパラリンピックの選手を応援したくなるのは、彼らが誰よりも自分を追い込んで努力をしているのを知っているから。一生懸命に取り組めば、きっと応援の輪は広がります。また、机の上だけで物事を考えるのではなく、日頃から消防団活動やPTA活動などに参加し、“地域で汗をかく”という感覚を身につけると、住民を巻き込んでいけるでしょう。
究極的には、最後は“人”です。“あの人が言うならやってやらんといかんな”と住民から思ってもらえる人間性をもてるかどうかが、行政職員の仕事の充実につながると私は考えています。思わず周囲が応援したくなるような、そんな行政職員をぜひ目指してほしいと思います。
出会い・人脈を広げるには?
1.地域活動への積極的な参加を
日頃お世話になっている地域に飛び出し、様々な活動に参加してみよう!
2.自治体を超えた勉強会に参加する
気の合う仲間が職場以外にもできることが、仕事の励みや助けになるはず!
3.趣味でも何でもとにかく始める
心の中で思うだけでは変わらない。具体的な一歩を踏み出す勇気を!
今号が連載最終回です。過去の掲載記事はWEB上でご覧になれます。
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