取組概要
・誰にとっても読みやすく、読み間違えにくく、また学校教育にも最適な「ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)」を全庁・全小中学校で使用開始しました。
(平成31(2019)年2月~全国の自治体で初めて試行的に開始。同年4月から本格運用)
(令和2(2020)年4月3日に開始(当時県内初・全国7番目)した「楽器寄附ふるさと納税」寄附者へのお礼状として、「UDフォント」を使用)
取組期間
・平成30(2018)年度~(継続中)
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
・行方市では、「伝える」情報発信から、しっかりと「伝わる」情報発信を目指し、平成29(2017年5月から広報紙やなめがたエリアテレビ(全国3番目、関東初の地上波デジタル放送)において、誰にでも見やすくわかりやすい「UDフォント」を活用してきた。
持続可能なまちづくりをさらに進めていくためには、行政・教育分野が一体となり、市全体で「UDフォント」を活用することが有効だと考え、平成31(2019)年2月から「公共UDフォントプラン」を試行的に導入し、平成31(2019)年4月から本格的な運用を開始した。
取組の具体的内容
◆誰にとっても読みやすく、読み間違えにくいUDフォント
<高齢者にも>
UDフォントは文字がぼやけて見えてしまう状況でも見やすく設計されており、できる限り誤読を防ぎ、読み手に伝わりやすい文書作成をしている。
<明朝体の比較>
一つ一つの文字がくっきりと表示でき、文章として読みやすく、紙面でもデジタルデバイスでも、遠くから見てもしっかりと読むことができる。
<教育現場にも>
読み書きに困難さがある発達障害の児童・生徒のみならず、通常学級の生徒にも読みやすいとされる「UDデジタル教科書体」を積極的に使用している。
<英語教育にも最適>
英語を習い始める子どもたちにとって、つまづきにくい字形が特徴
また、このアルファベット書体は、キーボードの「shift」と「¥マーク」で4線が引けるので、教員の教材づくりの時間を短縮でき、教材づくりの質の向上にもつながっている。
これらを実践していくことで、市民の皆さんには、行方市(なめがた)を好きになってもらいたいと考えている。
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
・当市では高齢化率35%を超えるため、文字が小さく読みづらいと感じる税金や保険料の通知書をはじめ、案内文書を可能な限り「UDフォント」に変えた。
そのほか、行政では議案書、予算書・決算書、会議資料、報告書、プレスリリースなど、教育現場では学習教材、おたより、通知票など、いろいろな場面で「UD明朝体」、「UDゴシック体」、「UDデジタル教科書体」など、シーンに合った「UDフォント」を積極的に活用している。
(1)「伝わる」情報の展開
・市民に「伝わる」情報を届けられることから、行政サービスが向上する。
・市民が行政に理解と関心を持つ機会が増える。
・見やすい、読みやすい、わかりやすい情報により、市民からの問い合わせが減るなど、職員の負担軽減が期待できる。
(2)教育環境の向上
・市内小中学校の空調設備完備(100%)に加えて、児童・生徒が見やすい、読みやすい書体による教育を受けられる。
(3)「情報発信日本一プロジェクト」の推進
・全国初の「行政・教育部門への一括導入自治体」として、「教育水準の高いまち」、「ユニバーサルデザイン推進のまち」としてのプロモーションが可能となる。
取組の効果・費用
(1)これまで得られた効果、今後見込まれる効果
・市民からは、市が発信する広報紙や行政文書について、「見やすい」、「読みやすい」、「わかりやすい」との声(評価)をいただいている。
・これまでの「伝える」情報発信から「伝わる」情報発信への転換により、職員の意識と情報発信能力が向上し、総合戦略に掲げる5つの重点プロジェクトのひとつ『情報発信で日本一プロジェクト』の推進につながった。
(2)効果額など数値
・市から市民への「情報伝達度」を測定する項目「十分伝わっている」が0.2%上昇した。
(市民意識調査 平成30(2018)年度 6.7% → 令和元(2019)年度 6.9%)
・メディアに取り上げられる機会が増えたことにより、当市の認知度が24位上昇した。
(地域ブランド調査 平成30(2018)年 841位 → 令和元(2019)年 814位)
(3)取組に要した費用
・公共UDフォントプラン使用料 年623,700円(1,050台×540円+税)
※財源の一部には、国交付金とふるさと応援寄附金を充てている。
取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
(1)取組を進めていくなかでの課題や問題点、苦労した点
・行政・教育部門共に、説明や研修機会を設ける機会が得られなかった(特に教員向け)。
・使用スキルに差異があり、「UDフォント」の活用が進んでいない部署があった。
(2)克服・解決方法
・定期的かつ積極的な資料提供や情報提供に努めるとともに、オンライン・動画研修機会の提供など、「UDフォント」に触れる機会を増やした。
今後の予定・構想
・教師と児童・生徒間での意思疎通を図るため、GIGAスクール構想の実現に向けた「1人1台端末環境」整備に併せて、「公共UDフォントプラン」の導入を検討する。
・持続可能なまちづくりを推進していくため、SDGsの理念に沿った市政運営を目指し、「3.すべての人に健康と福祉を」、「4.質の高い教育をみんなに」、「8.働きがいも経済成長も」、「10.人や国の不平等をなくそう」、「11.住み続けられるまちづくりを」を意識した活用を推進する。
他団体へのアドバイス
・「UDフォント」は、日常生活で目にする機会が増え、多くの方々になじみが深いものとなっている。
高齢化社会を迎え、持続可能なまちづくりを推進していくためには、「ユニバーサルデザインシティ」を目指し、「UDフォント」を共通テンプレート・共通言語として活用することが有効であると考えている。
取組について記載したホームページ
・公共団体向け UDフォントプラン | フォント製品 | 製品/ソリューション | 株式会社モリサワ
https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/ud-public/
・フォントスイッチプロジェクト(行方市インタビューページ 8月中旬公開予定)
https://fontswitch.jp/
・(関連)難読自治体の挑戦 広報紙のデジタル化で「情報発信日本一」へ
https://www.projectdesign.jp/201708/local-pr/003870.php
問い合わせ先
茨城県 行方市 政策推進室
0299-72-0811