ジチタイワークス

愛媛県内子町

つながる、広がる、移住のカタチ!内子町の移住・定住プロジェクト。【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。

今回はその中から、愛媛県内子町の「地方で暮らす・働くHUB(ハブ)づくり」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

内子町では、令和4年度より地方で暮らすためのHUB(ハブ)となる「内子町移住コーディネーター制度」に取り組む。働くことのHUBとなるコワーキングスペース「COWORKING-HUB南予サイン」を活用した「テレワーク移住交流促進事業」を行政が実施し、地域住民のキーマンたちが人をつなぐHUBとなって、内子町へのよりよい移住・定住を促進する。

背景・目的

・少子化や若者の都市部への流出など、人口減少は進行している。
・地方での暮らしや働き方に関心のある層も一定数いる。
・コロナ禍を経て、リモートワーク・テレワーク、2拠点生活等の実践も進んできている。
・そういった層に、内子町での暮らし方や働き方の魅力はもとより、よりリアルな部分を知ってもらうことでよりより関係人口づくりや移住・定住につながることを目指す。

取り組みの具体的内容

1.内子町で暮らすことのHUB
《内子町移住コーディネーターの設置》
令和4年度より、内子町移住コーディネーターを設置した。現在、2名の移住コーディネーターを委嘱しており、1名は内子町出身のIターン者(20代・男性)、もう1名は県外からの移住者(40代・女性)となっている。都市圏での移住フェアへの参加や、移住体験ツアー時のアテンド、学校とのつなぎ役、住居や空き家情報の調査・収集、日常的な移住相談対応等を行っている。

両者とも地域に根づいた暮らしをしており、移住相談者に対しても自身の体験を踏まえたリアルな情報提供ができている。また2人は年代や性別、仕事、暮らす地域などが異なっており、内子町について多面的な相談が可能という強みもある。まちからの委嘱ではあるが、自由度高く活動しており、移住検討者の段階に応じて、人や地域、施設、仕事等をつなぎ、地方で暮らすためのHUBとして重要な役割を担っている。
 

2. 内子町で働くことのHUB
《COWORKING-HUB南予サインを拠点としたテレワーク移住交流促進事業》
令和3年4月に、一般社団法人えひめ暮らしネットワークが愛媛県の補助を受けて、内子町の中心部に位置する本町商店街にコワーキングスペース「COWORKING-HUB南予サイン」を開設した。同団体は以前から移住者や地域おこし協力隊などの相談・支援等の役割を担っており、県下全域で活動していたが、この開設を機に、内子町テレワーク移住交流促進事業がスタートした。

同事業では、内子町での働き方や暮らし方について、都市部での相談会や交流イベント等による情報発信や、お試しテレワーク移住による企業誘致やマッチング、継続的な関係人口づくりなどを行い、地方で働くことの魅力や可能性を広げるHUBとなっている。
 

3. 地域のキーマンが担うHUB
地方への移住を検討される方には、一度来町されることを勧めている。思い描く理想と直面しなければ分からない現実があり、そのギャップを少しでも減らし、実態を知っていただくことが円滑な移住につながると考えるからである。その場合、上記1・2と連携するのはもちろんだが、地域にもHUB的役割を担ってくれるキーマンがいる。

例えばゲストハウスを経営する元地域おこし協力隊もその一人で、来訪者への情報提供、地域や人の紹介などを行うことで、ただの来訪者から内子町へ愛着を持った「関係人口」を生んでいる。また、廃校を活用し、コミュニティスペース「みそぎの里」を運営しているメンバーも、人のつながりで地域を元気にしている。地域の女性たちで運営するカフェは地元の人でもにぎわい、教室は本屋、コーヒー屋、紙専門店、マッサージ店などが入り、空き教室はほぼなくなっている。

このように、行政の施策と地域住民の取り組みが相乗効果を生み、地方で暮らし、働くことのリアルをつなぐHUBが構築されている。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

「COWORKING-HUB南予サイン」が内子町の中心部に存在し、そこを拠点に「テレワーク移住交流促進事業」を実施している点は独自性があると考える。地方での仕事や暮らしに関心のある層に対する「お試しテレワーク」は、体験者の感想からも地方移住もしくは2拠点生活等の現実味を増す効果があるといえる。仕事をしながら暮らすように滞在することができるのは、地域の魅力を体感でき、かつ当町の規模感ゆえに実現できるものと考える。

取り組みの効果・費用

【費用】
①移住コーディネーター令和5年度委託料(実績)は約3,500千円
②令和5年度テレワーク移住交流促進事業委託料(実績)810千円
③なし

【効果】
移住コーディネーターは勤務実績や活動実績にもとづき支払っている。彼らによる相談対応や情報収集・発信、調査活動は、行政では行き届かないきめ細やかな取り組みであり、彼らによる令和5年度実績は、移住相談や地域案内等が延べ約180件、関係人口・交流人口創出の取り組みは延べ約400人、移住者は5世帯7人となっている。当然、これらの活動の際には、必要に応じて「COWORKING-HUB南予サイン」を活用したり、上記地域のキーマンたちと連携・協力し合ったりしており、まさにHUBとなって人と地域をつないでいる。

テレワーク移住交流促進事業においても、令和5年度実績としては、東京でのテレワーク移住相談会・交流会の実施、お試しテレワーク移住及び企業ワーケーション受け入れ事業として延べ131人(内企業7社含む)、地域プロデューサー講座(全3回)の開催等となっている。令和5年度に利用のあった東京の大手企業は、内子町をテレワークの職場として認可し、お試し後も当町への来訪や継続利用があった。こちらも同様に、移住コーディネーター等との連携は図られ、かつ行政では実現が難しい分野を担うHUBとなっている。

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・移住コーディネーターの人選は課題。人物的に適任であっても自身の仕事等が忙しいため、担っていただける方が限られる。同様に、移住コーディネーターになっていただけても自身の仕事と兼務している場合などは時間等の制約がある。(※移住コーディネーターは原則公募)

・「COWORKING-HUB南予サイン」は一般社団法人えひめ暮らしネットワークが運営している。経営の安定化をより図るためにも、会員数や利用者数の増にも寄与できる工夫が必要と思われる。

今後の予定・構想

住んでいる人が幸せに暮らしていることがまちの魅力となる。移住・定住については、移住者の数ではなく、まちの取り組みに共感し、魅力を感じ、思いをもってきてくれる方を増やすことを目指したい。そういった意味でも、魅力や思いを伝えてくれるHUB的まちのキーマンを増やしていきたい。

 

【内子町 移住定住促進サイト「うちこんかい」】
https://www.town.uchiko.ehime.jp/site/ijyu/
【一般社団法人えひめ暮らしネットワーク】
https://ehimelife.net/coworking/

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