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公開日:2025-12-03

【最新】地域活性化のユニークな事例16選|成功要因と自治体の実践ポイントも解説

都市整備・上下水道
読了まで:16分
【最新】地域活性化のユニークな事例16選|成功要因と自治体の実践ポイントも解説

自治体では地域活性化の取り組みが進み、各地で成功事例が生まれている。地域資源の再発見や住民参加、デジタル活用など、ほかの地域でも応用しやすい工夫が多い点が特徴だ。本記事では、令和7年度に評価された地域活性化のユニークな事例16選と、成功要因を解説する。

※掲載情報は公開日時点のものです。

この記事で分かること
■他自治体の成功要因が分かり、企画立案のヒントになる
■庁内調整や予算要求で使える“根拠となる前例”が得られる
■住民・事業者との合意形成に役立つ比較事例を把握できる

目次

地域活性化とは
地域活性化のユニークな事例に共通する成功要因
地域活性化のメリットと自治体への効果
【分野別】地域活性化のユニークな成功事例16選
成功事例から学ぶ地域活性化の進め方
まとめ

地域活性化とは

地域活性化とは、地域の経済・文化・社会に活力を取り戻し、暮らしやすく魅力あるまちを育てていく取り組みである。人口や産業が都市部に集中する一方、多くの地域では人口減少や担い手不足が深刻化しており、政府と自治体が連携しながら全国で様々な施策が進められている。

近年は各自治体で活性化策が出揃い、“ユニークさ”や“地域ならではの強み”が成果に影響する要因として取り上げられるケースが増えている。

自治体が直面する課題と求められる視点

地域活性化に向けて自治体が向き合う課題は、「人・お金・仕組み」の3点に整理されることが多い。少子高齢化や人口流出により働き手と税収が減り、地域経済や公共サービスの維持が難しくなる状況は、多くの自治体でも現実味を帯びている。

さらに、将来を見据えた計画づくり、老朽インフラの維持・再編、PPP/PFIの活用、そして交通・除雪といった生活基盤の確保まで、現場で抱える課題は多岐にわたる。

こうした背景があるからこそ、成功した自治体のユニークな事例を学ぶ意義はこれまで以上に大きい。

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地域活性化のユニークな事例に共通する成功要因

全国のユニークな地域活性化事例を追っていくと、共通する成功要因として、主に以下の点が挙げられる。「何がうまくいったのか」を整理すると、地域の取り組みを前に進めるヒントがつかみやすくなる。

住民・民間・自治体の“三者連携”体制

成功事例の多くでは、住民・民間・自治体がそれぞれ役割を持ち寄り、地域ぐるみでプロジェクト連携をしている。いずれか一者だけが動くのではなく、地域全体を巻き込むことで取り組みが自然と盛り上がり、成功につながっている。

既存資源の再解釈とリブランディング

地域の中にすでにある資源の価値を、あらためて見つめ直し、時代に合わせてリブランディングすることも重要だ。“地域独自の魅力”として打ち出すことで他自治体との差別化につながり、住民が持つ知恵や経験を活かす場面も増えている。

デジタル技術・SNSでの発信力強化

インターネットやスマートフォンの普及により、SNSを情報源として活用する人が急増している。そのため、地域活性化の取り組みをSNSなどで積極的に広報していくことが欠かせない。近年ではスマホアプリやデジタルチケットなど、最新技術を活用した成功例も多く見られる。

試行錯誤を許容する風土

ユニークさは「独特」「特異的」と言い換えることもでき、尖った発想や独創的なアプローチが取り組みの核になることがある。前例踏襲にとらわれず、こうしたアイデアを受け入れる風土があってこそ、ユニークな取り組みが実現している点にも触れておきたい。

成功事例を見ると、試行錯誤を受け入れる組織文化や地域風土が後押しになっているケースも多い。

地域活性化のメリットと自治体への効果

地域活性化の取り組みは、人口減少や財政の縮小といった課題に向き合ううえで、自治体が選択できる有効な手段である。観光振興や企業誘致、移住・定住支援、官民連携などの施策を組み合わせることで、地域に新しい動きが生まれ、住民の暮らしと自治体運営の双方によい効果をもたらす。

地域経済の底上げと財政の安定化

地域活性化は、地域内における消費の循環を高め、自治体財政の安定化に寄与する取組である。観光客の増加や移住者の定着は、宿泊税や消費関連の税収を押し上げ、企業誘致や起業支援によって新たな雇用も生まれる。人口減少が進む中でも“地域で稼ぐ力”を確保できる点は、実務上の大きなメリットである。

定住促進と人材確保

働く場と生活環境を同時に整えることで、若者や子育て世帯の定着を促すことができる。住宅支援や子育て施策、利便性の高い都市機能の整備を組み合わせれば、移住・定住の動機が明確になり、企業にも人材が集まりやすくなる。地域で育った人材がそのまま地域に根づく好循環を生み出せる点が重要である。

官民連携の拡大による新たなアイデアの創出

地域活性化の推進は、行政だけでは対応しきれない課題を民間の力で補完できる利点がある。企業側は助成金・補助金を活用しやすくなり、社会的信用の向上にもつながるため、官民連携の裾野が広がる。地域課題を共有することで施策の実行力が高まり、新たなサービス導入や実証の場も確保しやすくなる。

【分野別】地域活性化のユニークな成功事例16選

近年各地で様々な地域活性化の取り組みが続々と生まれている。ここからは、観光、まちづくり、農業、教育、移住、雇用拡大の6つのテーマごとに、令和7年に実施された地域活性化のユニークな事例を中心に紹介していく。

観光編|観光で地域を元気にするユニークな事例

人口減少が進む地域では、観光を基軸にした活性化が大きなカギとなる。各自治体は、デジタル技術や地域資源を組み合わせた観光体験を生み出し、新たな来訪者の獲得や滞在時間の延伸を図っている。

1. 京都府京都市|MaaS連携「京の冬の旅」デジタルスタンプラリー

京都市では、閑散期の観光需要を高めるため、非公開文化財の特別公開に合わせた「京の冬の旅」デジタルスタンプラリーを実施している。令和7年度にはJR西日本のMaaSアプリ「WESTER」との連携を進め、公共交通を最大限活用する京都観光を提案した点が特徴である。

関西エリアの複数の鉄道事業者が協力したことで、官民一体となって観光客の公共交通利用を適正化する体制が整えられつつあり、広域的な周遊促進にもつながっている。

出典:京都市役所「『京の冬の旅』デジタルスタンプラリーの開催 ~MaaSアプリ『WESTER』を活用し、鉄道・バスで巡る 楽しい京都観光の体験を創出します!~」

2. 東京都|ご当地マンホールを“観光資源化”したデジタルラリー

東京都では、ご当地マンホールを地域資源と捉え、都内62区市町村を巡ってスタンプとポイントを集めるデジタルスタンプラリーを実施している。各地のマンホール蓋には、その土地ならではのデザインが施されており、「ご当地マンホール」として全国的に人気が高まっている。

東京都は、このマンホールを観光資源として位置づけ、広域的に回遊できる新たな観光ルートを提案した。有名人を招いた関連イベントには約60人のマンホール愛好家が集まるなど、話題性と参加意欲を喚起する取り組みとして注目を集めている。

出典: 東京都庁「『TOKYOデザインマンホールデジタルラリー』の開催等について」

3. 熊本県|外国人観光客の“分散誘導”プロジェクト

熊本県では、 台湾の半導体企業 「TSMC」進出を背景に、外資誘致と合わせてインバウンド増加に向けた取り組みを強化している。熊本空港では韓国・香港・台湾の国際路線が就航し、アジア圏に向けて県キャラクター「くまモン」を活用したPRを展開してきた。

その成果、令和6年度の外国人宿泊客数は11万7,720人となり、令和元年比で42%増と大きく増加。さらに県は、観光客を県内の被災地域へ分散誘導し、観光産業を創造的復興の柱として位置づける取り組みも進めており、観光を軸とした地域全体の再生を目指している。

出典:くまもと経済「熊本県のインバウンド集客作戦が成功宿泊客は42%増」

4. 福島県二本松市|観光客の再来訪を促すトリプレーション型観光

二本松市の岳温泉では、観光客の再来訪を促す「岳温泉・通い旅」を提案している。温泉そのものだけでなく、その恵みを生む火山の魅力を体験できるアクティビティを組み合わせた、いわゆる「トリプレーション(Trip+Education)」型観光が特徴である。

令和6年度の観光庁「第2のふるさとづくり」にも採択され、地域の自然や温泉に魅了されて移住した「山旅サポーター」が、登山や湯治などの現地体験をコーディネートする仕組みが整いつつある。こうした地域資源と人材を活かした観光提案が、注目を集めている。

出典:岳温泉観光協会「岳温泉の湯守に四季を通して同行してみた」

まちづくり編|地域の価値を高めるユニークな事例

各自治体では、空き家・鉄道・商店街など地域の資産を活かし、住民参加型のまちづくりや滞在型の仕組みづくりを進めている。優れたリブランディングは、地域の魅力と持続性を同時に高める。

5. 東京都奥多摩町|空き家再生でつくる沿線まるごとホテルプロジェクト

東京都奥多摩町では、駅と周辺の集落を1つのホテルに見立てる「沿線まるごとホテル」プロジェクトが進んでいる。JR東日本の駅舎をフロントに、沿線の空き家を客室として活かし、地域の人々が“キャスト”として観光客を迎える滞在型の取り組みである。

令和7年5月には宿泊棟「Satologue」もオープンし、既存の鉄道や古民家を活かしたこの試みは、ニューズウィーク日本版 SDGsアワード最優秀賞や「COOL JAPAN AWARD2025」インバウンド部門受賞などの評価も得ている。

出典:沿線まるごとホテルプロジェクト

6. 大阪府堺市|デジタル乗車券で公共交通の“利用促進”と周遊性向上

堺市では、市内の鉄道やバス路線の安定運行を支えるため、利用者拡大策としてデジタル乗車券「堺おもてなしチケット2025」を販売している。紙チケットより安い700円で、阪堺電車全線と南海バスの主要エリアを1日自由に乗り降りできる仕組みである。

販売期間は、万博に合わせた令和7年4月13日から10月13日までで、市内の協力店や観光施設で使える割引特典付き。公共交通を使いながらまちを巡りやすくなるため、滞在者の周遊を自然に促す施策として注目されている。

出典:堺市「堺おもてなしチケット・おでかけ応援制度について」

7. 岐阜県美濃市|空き家再生で“滞在型観光”を創出

美濃市では、市内に増えていた空き家をリノベーションし、古民家ホテルやコワーキングスペースとして再生する取り組みを進めている。伝統的な和紙文化や、和紙問屋が軒を連ねる町並みが魅力の地域である一方、宿泊施設や飲食店が少なく、日帰り観光が中心になっていた。

また、少子高齢化や若者流出による空き家問題の深刻化などの課題を受け、自治体と十六銀行が連携して空き家再生事業に着手し、観光客が長く滞在できる環境づくりを進めている。滞在型観光が整い始めたことで、地域の魅力をより深く感じてもらえるまちへと変わりつつある。

出典:地方創生SDGs官民連携プラットフォーム「歴史的資源の活用と古民家再生でつなぐ持続可能なまちづくり支援」

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空き家活用の成功事例15選!テーマ別自治体の取り組みや使える支援制度も紹介

農業編|農業×地域活性化のユニークな事例

農業は地域の基幹産業であると同時に、若者や企業との協働によって新しい価値を生み出しやすい領域である。特産品開発や滞在型の働き方など、農業を起点としたユニークな取り組みが、地域経済と人材育成の両面に波及している。

8. 北海道富良野市|多様な働き方を支える“ワーケーション補助制度”

富良野市では、市外から訪れてワーケーションを行う人に旅費や滞在費の助成を行っている。子育て世帯には、家賃やレンタカー代、保育料、体験教育費まで支援があり、利用者の負担を大きく減らしている。また、企業の研修やフリーランス向けの補助も別に用意され、空き家を活用する人や農作業とワーケーションを組み合わせる人への支援も行っている。

いずれの制度も、SNSで体験を発信したり、地域の交流会に参加したりすることが要件となっており、滞在を通じて地域とのつながりが生まれている。こうした取り組みは関係人口の創出にも寄与している。

出典:富良野市「【ご案内】令和7年度『ワーケーション展開費用助成金』について」

9. 愛媛県伊予市|高校×大学×自治体が連携した“特産品開発プロジェクト”

伊予市では、伊予農業高校や松山大学と協働し、地域の特産品を開発・販売する「iProject!」を平成24年度から続けている。自治体・学生・地元事業者・農業生産者が一緒になって取り組む点が特徴で、これまでに「びわ葉茶ババロア」や、あんこと洋菓子を組み合わせた「あんこパイ」など多くの商品を生み出してきた。

地域産業の活性化に加え、若者が地域と関わりながら社会人としての基礎力を育む場にもなっており、持続的な地域づくりにつながっている。

出典:伊予市役所「民公学連携事業『iProject!』の取組み」

教育編|教育を通じた地域活性化のユニークな事例

教育分野では、若者の地域参加を促す施策や、外部人材の活用によって“地域と学びをつなぐ仕組み”が広がっている。これらの取り組みは、将来的な移住や地域関係人口の創出にもつながり、持続可能な地域づくりの土台となっている。

10. 茨城県ひたちなか市|若者から始まる“移住・定住につながる関係づくり”

ひたちなか市では、若者と地域のつながりを広げ、将来的な移住・定住につなげることを目的に、学生向けインターン「ひたちなかBRIDGEプロジェクト」を令和4年度から継続して実施している。

令和7年度の「ひたちなかBRIDGEプロジェクト2025」では、循環型プロダクト開発や老舗菓子店の新商品づくりなど、地域の事業者と協働できる複数のコースが設けられた。5日間のプログラムを通じて、学生が地域の仕事や魅力に直接触れる機会となり、市外の若者とひたちなか市を結ぶ新たな接点づくりにもつながっている。

出典:ひたちなか市「地域と学生のサステナブルな関係づくり『ひたちなかBRIDGEプロジェクト2025』」

11. 宮崎県えびの市・北海道池田町|外部人材を活かした“地域と学校の協働モデル”

経済産業省は、学び手が自ら学びを設計する「未来の教室」を推進するため、様々な教育支援事業を続けている。令和7年度にはその一環として、企業の専門人材を地方自治体の教育現場に派遣する「リソース・コーディネーター派遣」を実施した。

派遣先は宮崎県えびの市と北海道池田町の高等学校で、企業人材が学校と自治体の調整役を務めながら、広報支援や地域ビジョン策定、教育分野での資金調達など幅広い業務に携わっている。外部の力を取り入れることで、新しい学びや地域とのつながりをつくる試みが進んでいる。

出典:一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォ―ム「地域と企業副業人材の共創で生まれる新しい学びの形」

移住編|移住促進につながるユニークな事例

移住・定住は多くの自治体共通の課題であり、魅力的な制度づくりや地域資源の活用が求められている。各地域では、住まいや仕事、交通など“生活と移住の不安”に着目した施策が進められ、新しい人口流入のきっかけを生み出している。

12. 長崎県佐世保市|離島の交通課題を解消する“公共ライドシェア実証”

佐世保市では、令和7年秋から公共ライドシェアの実証を始め、交通空白の解消に取り組む。導入地区の1つである黒島は、世界文化遺産「潜伏キリシタン関連遺産」を擁し観光客も訪れる一方、住民の高齢化率が50%を超え、移動手段の確保が大きな課題になっていた。

ライドシェアを取り入れることで、離島での「生活の足」を守りつつ、観光・移住・雇用へとつながる動きを生み出すことを目指している。観光と日常の移動支援を両立させる取り組みとして注目されている。

出典:長崎新聞「『交通空白』解消へ2地区を選定 国土交通省、佐世保・黒島と雲仙温泉 今秋ライドシェアを導入」

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日本版ライドシェアとは?自治体事例や公共ライドシェアとの違い・制度を解説

13. 山梨県身延町|アニメ×移住支援で若者の流入を促す取り組み

身延町では、人気アニメ『ゆるキャン△』とのコラボを活用し、若者の移住促進に取り組んでいる。作中の舞台として描かれたことでまちの知名度が高まり、アニメファンの“聖地巡礼”も増えている。

さらに、実際に移住した若者には祝い金を支給する制度を設け、生活の立ち上がりを支える仕組みを整えている。認知度の向上と実利的な支援を組み合わせた取り組みが、移住先としての魅力を高めている。

出典: 身延町役場「広報みのぶ 5月号」

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アニメの聖地巡礼で地域活性化を!事例から考えるまちおこしの方法

14.  島根県隠岐島海士町|LINEミニアプリを活用した、島の関係人口創出

海士町では、地域外の人との継続的な関わりを生み出す「関係人口」の創出に力を入れている。その取り組みとして、令和7年3月にLINEミニアプリ「miniama(みにあま)」を開発した。

島での体験を“ミッション”として楽しめる仕組みになっており、観光だけでなく島の暮らしや価値観に触れるきっかけをつくっている。公開から3カ月で登録者が1万人を超えるなど、離島ならではの魅力を発信しながら、島とのつながりを広げる手段として注目されている。

出典:海士町関係人口コミュニティ「あまのわ」“ないものはない”島・海士町の魅力をぎゅぎゅっと詰め込んだ、LINEで使えるアプリ『miniama』とLINEアカウント『海士町デジタル会員』を始めます!

雇用拡大編|雇用と定住を支えるユニークな事例

地域の雇用をどう生み、どう維持するかは、定住促進と密接に関わる。協同組合の活用や複数業種のローテーションなど、地域の実情に合わせた柔軟な雇用モデルが登場しており、働く場と住む場の両面から地域活性化を支えている。

15. 高知県東洋町|役場連携で進める“マルチワーク型移住支援”

東洋町では、雇用創出と移住・定住を進めるため、町内初の「特定地域づくり事業」に取り組む団体として「バツグン協同組合」が設立された。令和5年度からは東洋町役場の委託で移住相談員を配置し、移住者の相談窓口としても機能している。

働き手は組合の正職員として所属し、観光業・漁業・宿泊業など複数の仕事をローテーションで担う。通年で安定した収入が得られるため、移住者の不安を和らげる効果があり、組合が住まい探しまで支援することで定住の後押しにもつながっている。地域の人手不足と移住者の雇用不安を同時に解決する取り組みとして注目されている。

出典:東洋町特定地域づくり事業バツグン協同組合

16. 島根県飯南町|“家を25年借りたらもらえる”定住支援付き住宅

飯南町では、移住・定住の促進に向けて、25年間家賃を支払えば住宅が無償で取得できる“移住支援付き定住住宅”を提供している。家賃は月4万円で、間取りや内外装を選べるセミオーダー式の一戸建て住宅である。

25年間支払い続けると土地と建物の所有権が得られる仕組みで、子育て世帯を中心に人気が高い。令和5年1月時点で29棟が建設され、移住者は115人、そのうち子どもが54人と、定住促進に確かな効果を上げている。

出典:三次市役所「視察等報告(復命)書」

成功事例から学ぶ地域活性化の進め方

ユニークな事例は、“面白い取り組み”として眺めるだけでは活用しきれない。重要なのは、事例の構造・意思決定の背景・運営体制を読み解き、自地域の課題とどう接続できるかを考えることである。ここでは、企画立案・庁内調整・地域連携の3つのフェーズに分けて、実務向けの活用ポイントを整理する。

企画立案段階|成功要因を因数分解して読み解く

ユニークな事例は必ずしも“奇抜”ではなく、次のような要素の組み合わせで成立している。

  • 使った地域資源(例:空き家、鉄道、文化財、農産物、人材 など)
  • 動かしたプレイヤー(住民、民間、学校、NPO など)
  • 成果につながった仕組み(デジタル活用、補助制度、滞在型モデル など)

他自治体の事例を活用する際には、この3つの軸で“事例を分解してメモ”しておくと、庁内の企画書に転用しやすい。

庁内調整段階|意思決定者への“説明材料”として活用する

庁内調整では、他自治体の成功例は非常に強い説得材料になる。特に次のような点を押さえると通りが良くなる。

  • 同規模自治体の事例を示すと、実行可能性の判断がしやすい
  • 補助金や国の制度とセットで紹介すると、財政課の理解が得られやすい
  • デジタル活用や官民連携モデルは、政策部門への説明に有効

“政策的に認められた前例”として扱うことで、予算折衝・事業化判断において武器になる。

地域連携段階|住民・事業者との合意形成ツールとして使う

ユニークな取り組みほど、住民側には「本当にできるのか」という懸念が示されることもある。 その際に、似た条件の自治体が成功している例を示せるかどうかが、合意形成を左右する。

例えば、次のような“比較しやすい事例”は、話の補強に使いやすい。

  • 離島なら「海士町」
  • 都市部の回遊性向上なら「京都市」「堺市」
  • 若者・教育なら「ひたちなか市」「伊予市」
  • 空き家活用なら「奥多摩町」「美濃市」

住民説明会や地域会議で他自治体の実例を共有することは、理解と協力を得るうえで非常に効果的である。

まとめ

地域活性化の成功事例には、三者連携や既存資源の活用、デジタルの活かし方など、共通して見られる成功のポイントがある。どの地域にも“すでにある強み”があり、それをどう捉え、どう磨き、どう伝えるかで取り組みの広がりは大きく変わる。

小さな試行錯誤や住民との対話、地元の魅力を再発見する姿勢が、新しいアイデアや仕組みを育てていく。自治体の現場で悩みや課題を抱えるときこそ、こうした成功要因を自分たちの地域に置き換えて考えてみたい。


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