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地域外のリソースも活用して住民と医療従事者を守る。

福祉・医療
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地域外のリソースも活用して住民と医療従事者を守る。

医療体制を補完するオンライン診療

医師の不足・偏在・高齢化や、二次救急病院のひっ迫など、自治体では様々な悩みを抱えている。そのような課題に対して、地域外の医療リソースを活用する取り組みを始めたのが、埼玉県西部の中山間地域に位置する秩父医療圏だ。

※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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秩父市
保健医療部 地域医療対策課
主任 小澤 隆宏(おざわ たかひろ)さん

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秩父市
大滝国民健康保険診療所
診療所長 栃村 亮太(とちむら りょうた)さん

夜間の二次救急体制を維持するため軽症患者の受け皿が必要だった。

秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の1市4町からなる秩父医療圏では、令和7年7月から夜間の医療体制にオンライン診療を導入。その背景には、体制の変更があった。「当地域において、夜間診療は中等症以上の重症患者を受けもつ二次救急病院が担っています。令和6年度までは3つの病院が輪番制で対応していましたが、翌年度から2つで支えることになってしまったのです」。そう話すのは、中心市である秩父市の小澤さんだ。また、本来は一次救急で対応可能な軽症患者も二次救急病院で受け入れざるを得なかった。もともと住民の選択肢として、夜間は二次救急病院を受診するか、救急搬送を要請するしかないためだ。この二重の問題により危機的な状況に陥っていたという。「軽症患者による夜間の二次救急利用を減らす。その受け皿をつくることが喫緊の課題でした」。

そこで注目したのが医療プラットフォームを運営する「ファストドクター」の自治体専用オンライン診療だ。「同時期に当市が実施した市民意識調査で、デジタル活用の一環としてオンライン診療を求める声が子育て世帯から多く寄せられました。住民ニーズも高いと判断し、導入に踏み切ったのです」。



オンライン診療の豊富な実績と24時間対応が導入の決め手に。

診療は、同社の提携医療機関とその所属医師が担当。プラットフォームには5,000人以上の医師が登録されている。自治体は期間と診療科を指定し、医療リソースを提供してもらう。自治体専用ページが用意され、住民は利用時にそこから申し込み、スマートフォンのビデオ通話機能で受診できる。同地域では内科と小児科の19時~翌8時の業務を委託。「豊富な実績で24時間対応、アプリのインストールが不要な点も決め手になりました」。

「当初は医師会や民間病院の一部から厳しい意見もありました」と語るのは、自らも医師である栃村さん。医療現場と行政の間に立ち、懸念に対して市とともに一つずつ説明。「データで示したり、資料を作成したり。例えば、救急搬送の受け入れ割合をあらわす“救急応需率”の低さを提示し、現場のひっ迫状況を伝えました」。同社の協力も得て、あくまで既存体制の不足部分を補完するものであることを説明し、理解を求めた。

また、住民への周知活動も徹底。二次元コード付きのマグネットシートやチラシを作成して配布した。そのほか、市報やFM放送での告知、消防署や保育所などへの協力依頼も行ったという。小澤さんは「医師会との話し合いや配布物の作成にも同社のサポートがあり、導入を進められました」と振り返る。

医療従事者の働き方改革に貢献し魅力的なまちづくりにつなげる。

導入から5カ月が経ち、着実に地域に浸透しつつあるようだ。事前予約不要、待ち時間約15分で医師の診療を受けられ、“ワンオペ育児中なので助かった”“不安が和らいだ”と住民からも好評だという。月間利用者数は平均19人、その6割は15歳以下の子どもで、利便性の高さから子育て世帯での活用が進んでいる。また、軽症患者による救急車の利用件数も前年に比べて減少傾向にあるそうだ。「医師会からも“年末年始は24時間対応してほしい”と要望があり、少しずつ受け入れられていると感じています」と小澤さん。

栃村さんは「二次救急を担う医師としても、軽症患者がオンライン診療を利用してくれることはありがたいです」と語る。これまでは重症患者が搬送されてきても、その合間に風邪などの軽症患者を診る必要があった。そうした負担が減り、結果的に働き方改革にもつながっている。「現場の声に耳を傾け改善を図る自治体は、医療従事者にも魅力的です。将来的に医師の確保につながり、住民が安心して暮らせる、そんなまちづくりにも貢献する取り組みだと思います」。





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