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【Q&A】これからの慢性疾患対策について知っておきたい4つのポイント

健康寿命の延伸は、国や自治体がともに目指す重要な目標だ。これまでも特定健診や生活習慣病対策などの取り組みが進められてきたが、まだ十分に認知されていない疾患や、見過ごされているリスク層も中には存在するという。重症化を防ぐには、そうした層に早く気づき、適切に医療へつなげる仕組みが重要だ。すでに先進的な自治体では、新たな視点からのアプローチが始まっているそうだ。
今後の広がりが期待される、慢性疾患への新たな対策。その背景にある疾患の基本情報や取り組みの意義について、気になる疑問をピックアップ。押さえておきたいポイントを、自治体の取り組みをサポートしている「ノボ ノルディスク ファーマ」の担当者が分かりやすく解説する。
【地域で取り組むこれからの慢性疾患対策とは。】
(1)【Q&A】これからの慢性疾患対策について知っておきたい4つのポイント。←今回はココ
(2)【インタビュー】肥満症患者が一歩踏み出すために、自治体だからできること。
(3)適切な肥満症対策の受診スキームを医療機関との連携で確立する。
(4)地域の健康課題や体制に合わせた肥満症対策が各地でスタート。
(5)肝疾患リスクから住民を守るため約1年で実現させた静岡県の新事業。
(6)【インタビュー】慢性疾患対策を通じて、住民と地域社会の健康の向上に貢献したい。
※下記はジチタイワークス特別号(2025年11月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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ノボ ノルディスク ファーマの担当者が回答!
Q これまでもメタボ対策を行ってきた中で、次の一手が必要な理由は?
A 平成20年に特定健診・特定保健指導が開始されて以来、自治体では生活習慣病の予防に取り組んできました。一方で、メタボリックシンドロームの該当者数は依然として増加傾向にあります。また、肥満状態にある人の中には、「肥満症」や「非ウイルス性肝疾患」など、メタボ以外の疾患リスクを抱えるケースも見られます。これらの疾患は一般的な認知度は低いものの、健康リスクが高く、注意が必要です。こうしたリスクに目を向け、自治体が積極的に関与することで、早期発見・重症化予防に向けた一歩を踏み出せます。

Q 特定健診の結果による受診勧奨について、国の方針を教えてください。
A 健康増進の取り組みの一つとして、医療機関の未受診者に対する受診勧奨が欠かせません。特に深刻で緊急性の高い対象者については、特定保健指導を行う通常のステップではなく、“健診結果が出てすぐに医療機関につなぐ”必要があるという考えが厚生労働省の方針でも示されています。また、令和6年度には同省の「標準的な健診・保健指導プログラム」に、肝機能検査に関するフィードバック文例集が新たに加えられました。メタボ人口が減少せず、脂肪肝が増えている状況に対し、国も危機感をもっていることのあらわれだといえます。

Q「肥満症」という言葉を初めて聞きました。「メタボ」や「肥満」とはどう違うのでしょうか。
A BMI※1や腹囲のほか、いくつかの基準があります。分かりやすく区分すると以下のようになります。肥満症は健康障害を伴い、ほかの慢性疾患と互いに関連しているため、適切な治療が必要な疾患です。しかし、社会的な認知度はまだ低く、治療につながっていないケースも少なくありません。まずは疾患の周知・啓発を行うこと。そして特定健診を活用して、高リスク者に対して受診勧奨を行い、適切な専門医療機関への受診を促すことが求められます。

※1 体格指数(Body Mass Index)、BM(I kg/m2)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
※2 肥満症の診断基準に必須な健康障害:1.耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)、2.脂質異常症、3.高血圧、4.高尿酸血症・痛風、5. 冠動脈疾患: 心筋梗塞・狭心症、6. 脳梗塞: 脳血栓症・一過性脳虚血発作(TI A)、7. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、8. 月経異常・不妊、9.閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、10.運動器疾患:変形性関節症(膝・股関節)・変形性脊椎症・手指の変形性関節症、11.肥満関連腎臓病
※3 腹部CTにより測定した内臓脂肪面積が100㎠以上の内臓脂肪型肥満を指す
肥満症対策に取り組んでいる自治体事例
Q 「非ウイルス性肝疾患」が増加しているそうですが、どんな対策が求められているのでしょうか。
A 非ウイルス性肝疾患にはいくつか種類があり、中にはMASLD/MASH※4などが含まれます。これは肝臓に脂肪が蓄積することが特徴で、肝組織の炎症を伴うため、肝臓が線維化し肝硬変に進行する場合があります。進行に伴い、心血管疾患リスクの増加が示唆されています。自覚症状がないまま進行し、気づいたときには深刻な状態に至っていることも。そのため、特定健診の結果をもとに高リスク者を抽出するなど、早期発見できる体制づくりが大切です。

※4 欧州肝臓学会(EASL)は、米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)と合同で、脂肪性肝疾患の病名と分類法を変更することを令和5年6月24日に発表。NAFLDがMASLDに、NASHがMASHへと名称が変更されました。
・NAFLD=nonalcoholic fatty liver disease(非アルコール性脂肪性肝疾患)
・NASH=nonalcoholic steatohepatitis(非アルコール性脂肪肝炎)
↓
・MASLD=metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)
・MASH=metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(代謝機能障害関連脂肪肝炎)
非ウイルス性肝疾患対策に取り組んでいる自治体事例
・静岡県
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