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公務員の副業はいつから解禁?できる副業例といくらまで・何時間までかを解説

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公務員の副業はいつから解禁?できる副業例といくらまで・何時間までかを解説

公務員の副業はいつから解禁されたのか。いくらまで、何時間までなら認められるのか。現場で働く自治体職員の中には、こうした疑問をもつ人も多い。

公務員の副業は現在も全面解禁ではなく、原則として任命権者の許可制で運用されている。本記事では最新動向を整理したうえで、公務員ができる副業例や収入・時間の目安、許可の判断基準と注意点を整理する。

※掲載情報は公開日時点のものです。


公務員の副業は原則禁止?まず押さえるべき結論

まず結論から整理する。

  • 公務員の副業は全面解禁ではない
  • 原則は任命権者の許可制である
  • 判断基準は「時間」「利害関係」「公益性」「報酬の妥当性」
  • 収入に全国一律の上限額はない

公務員の副業は、民間企業の会社員のように自由に行えるものではない。営利活動は法律上、任命権者の許可制とされている。ただし、「原則禁止」といっても一律に認められないわけではない。公務に支障がなく、利害関係がなく、社会的に妥当と判断されれば許可が下りる場合もある。

つまり、公務員の副業は「禁止か解禁か」という単純な構図ではなく、許可制のもとで個別判断される制度である。

公務員の副業はいつから解禁?地方公務員の最新動向と現状

公務員の副業は、特定の年から全面解禁されたわけではない。ただし、令和7年6月に総務省が「地方公務員の兼業に関する技術的助言」を通知して以降、地方公務員の兼業運用は柔軟化の方向にある。通知では、活動内容に応じて積極的に許可を検討するよう各自治体に求めている。

これを受け、一部の自治体では地域課題の解決や職員のスキル向上につながる活動を後押しする動きも広がっている。ただし、公務に支障がないことや守秘義務の遵守といった基本原則は変わらない。

出典:総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」

地方公務員の副業の現状

総務省の令和6年度調査では、地方公務員の兼業許可件数は約4万1千件と横ばいで推移している。一方で、社会貢献活動に関する兼業は増加傾向にある。また、許可基準を明文化する自治体も増えており、副業をめぐる運用は徐々に整理されつつある。

国家公務員の制度見直し(令和8年4月~)との関係

令和8年4月からは、国家公務員についても、趣味や特技を活かした自営的な兼業を一定条件のもとで認める方向が示されている。対象は国家公務員であるが、「公務に支障がないこと」を前提に柔軟化を図る流れは、地方公務員の運用にも影響を与える可能性がある。

出典:人事院「自営兼業制度の見直しについて」

公務員の副業はどこまでOK?時間・収入・判断基準の目安

公務員の副業は全面禁止ではないが、無制限に認められているわけでもない。判断は任命権者の許可制を前提に、一定の基準にもとづいて行われる。

結論として、収入に全国一律の上限額はない。一方で、「時間」と「利害関係」は重要な判断ポイントとなる。

副業の時間と収入の目安

以下は、国家公務員の兼業基準や、公開されている各自治体の許可基準を参考に整理した一般的な目安である。

項目
目安・考え方
労働時間
週8時間以内、月30時間以内、勤務日は1日3時間以内が一つの目安
収入
全国一律の上限額はなし
収入の判断基準
社会通念上相当かどうか(仕事内容に見合った報酬か、公務員の立場を利用した過度な営利でないか)

許可が下りやすい副業の判断軸

副業の可否は「職種」そのものよりも、次の観点を満たしているかどうかで判断される。

判断項目
内容
活動時間の上限(公務への支障回避)
勤務時間外に行われ、公務の能率や公正な判断に影響を与えないこと
利害関係の有無
許認可・契約・補助金・監査など、自身の職務と兼業先との間に特別な関係がないこと。
公益性・社会的妥当性
地域貢献やスキル還元など、社会的に理解が得られる活動であること。
報酬の妥当性
公務員の立場を利用した過度な営利とみなされないこと。

実際の基準は自治体ごとに異なるため、最終的には所属団体の規程を確認する必要がある。

また、実務上どのように制度が運用されているのかについては、自治体の具体的な取り組み事例を別記事で詳しく解説している。

公務員ができる副業例と認められにくいケース

公務員の副業は、職種そのもので可否が決まるわけではない。公務への影響や利害関係などの基準を踏まえて判断される。以下に、許可されやすい例と、認められにくい例をまとめる。

出典:総務省「兼業許可基準を設定する際のポイント」

許可されやすい副業例

実際に自治体で認められている公務員の副業は、大きく次の3つに分類できる。

  1. 人手不足を補う活動(第一次産業など)
  2. スキルや特技を活かす副業
  3. 地域貢献・まちづくり活動

具体例としては、次のようなものが挙げられる。

  • 農業、家業の手伝い
  • 漁業支援
  • 講師、セミナー登壇
  • スポーツインストラクター
  • 書道、英語などの教室運営
  • イラストレーター、デザイン制作
  • ハンドメイド作品の販売
  • 地域イベントの運営スタッフ
  • 不動産賃貸・太陽光発電
  • 部活動指導員
  • NPO活動 など

このように、公務員の副業は単なる金銭目的かどうかではなく、地域課題の解決や本業へのスキル還元につながる活動であるかが重視される。

実際に副業に取り組んでいる自治体職員の事例として、地域貢献型の活動や講師業などに挑戦するケースもある。庁内調整の進め方や許可申請の具体的なプロセスについては、別記事で詳しく紹介している。

※総務省「兼業許可基準を設定する際のポイント」および各自治体の公開基準をもとに整理。

許可が得られにくい副業例

不許可となりやすいのは、公務との利害関係がある場合、公務に支障が生じるおそれがある場合、または中立性や信用を損なうおそれがある場合である。認められない理由は、「その職種だから」という単純なものではない。問題となるのは、公務との関係性と社会的な説明可能性である。

典型例としては、次のようなケースが挙げられる。

  • 自治体と利害関係のある企業での業務(許認可、補助金、契約、監査など)
  • 長時間、深夜に及ぶアルバイト
  • 一般的なアルバイト、パート勤務(コンビニ、飲食店、デリバリーサービスなど)
  • 政治、宗教活動に関わる業務
  • ネットワークビジネス、マルチ商法
  • 高額報酬を伴うコンサルティング業務

副業を検討する際は、公務との利害関係の有無、営利性の強さ、そして住民からの信頼を損なうおそれがないかという観点で整理することが不可欠である。

なぜ公務員の副業は原則禁止なのか?法律上の3つの理由

規制緩和の動きはあるものの、公務員の副業は民間企業の会社員のように自由に行えるものではない。国家公務員法および地方公務員法では、営利企業への従事や報酬を得る活動について、任命権者の許可制が採られている。その背景には、公務の公正性と信頼を守るための法的義務がある。

1. 職務専念義務

公務員には、職務に専念する義務がある(国家公務員法第101条、地方公務員法第30条)。勤務時間中は職責の遂行に全力を尽くすことが求められ、副業によって公務の能率や公正な職務遂行に影響が生じる場合、この義務に反するおそれがある。

2. 守秘義務

公務員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない(国家公務員法第100条、地方公務員法第34条)。この義務は退職後も原則として継続する。副業の場面であっても、公務で得た情報の利用や利益誘導につながる行為は許されない。

3. 信用失墜行為の禁止・中立性の確保

公務員には信用失墜行為の禁止義務がある(国家公務員法第99条、地方公務員法第33条)。公務員の信用を損なう行為や、職務との利害関係を疑われる行為は、公平性・中立性への信頼を揺るがすおそれがある。

これらの法的義務を前提として、公務員の副業は無制限に認められるものではなく、任命権者の許可制として運用されてきたのである。

公務員が副業を始める前に確認すべき注意点とリスク

副業を始める前に確認すべきなのは、「許可手続き」と「税務対応」である。制度の範囲内で行うためには、所属団体の規程と実務上の注意点を整理しておくことが不可欠である。

適切な手続き・申請を行う

公務員の副業は、原則として任命権者の許可制である。無許可のまま営利的な活動を行った場合、服務規律違反と判断され、戒告・減給・停職などの懲戒処分の対象となり得る。

そのため、「バレなければよい」という発想ではなく、事前に申請し、適切な手続きを踏んだうえで始めることが前提となる。一般的な流れは次のとおりである。

  1. 兼業規程・許可基準の確認
  2. 上司・人事担当へ事前相談
  3. 兼業許可申請書の作成
  4. 申請書の提出と審査

副業を検討する際は、まず所属自治体の規程を確認し、判断に迷う場合は人事担当へ相談することが現実的である。

税務処理と住民税の扱いに注意する

副業を始める場合、税務処理を軽視してはならない。副業による所得(売上-経費)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要となる。また、20万円以下であっても住民税の申告は原則として必要である。

副業の内容そのものよりも、税務処理の不備がトラブルの原因となるケースは少なくない。制度の範囲内で行う以上、手続き面も含めて整えておく必要がある。

【FAQ】公務員の副業に関するよくある質問

「いくらまでなら可能か」「バレることはあるのか」など、公務員の副業に関するよくある質問を、制度の考え方とあわせて整理する。

※最終的な可否は所属自治体の規則により異なるため、必ず人事担当へ確認すること。

Q. 公務員の副業はいくらまで?何時間まで認められる?

A. 収入に全国一律の上限はない。一方で、時間は「週8時間・月30時間」などが目安とされる。詳細は本文の「時間・収入の目安」を参照。

Q. 公務員の副業はバレる?

A. 無許可の副業は発覚する可能性がある。副業自体が一律に「バレる」仕組みがあるわけではないが、住民税や人間関係などをきっかけに発覚するケースは少なくない。

主なきっかけは、次のとおりである。

  • 住民税の通知
  • 同僚や知人への口外
  • SNSでの発信
  • 副業先との利害関係

特に住民税は、本業給与と合算された税額の増加から発覚するケースがある。また、匿名SNSであっても、投稿内容や過去の発言の蓄積から勤務先が特定される例は少なくない。

副業そのものよりも、手続きや情報管理の不備がトラブルの原因になりやすい。副業を行う場合は、制度に沿った許可取得と適切な管理を前提とする必要がある。

Q. 公務員の副業でユーチューバーはできる?YouTube収益は認められる?

A. 公務員が副業としてユーチューバー(YouTuber)活動を行うことは、一律に禁止されているわけではない。

内閣人事局・人事院のQ&A(令和6年6月)では、YouTubeの広告収入そのものは直ちに「兼業」に該当するわけではないとされている。ただし、営利目的が明確であり、継続的・反復的に収益を得ている場合には、自営的な兼業と判断される可能性がある。

つまり、趣味の延長か、事業性を伴う収益活動かが判断の分かれ目となる。YouTuberだから一律に不可というわけではないが、継続的に収益を得る場合は、事前に所属自治体へ確認しておくのが安全である。

Q. 公務員は不動産投資できる?何棟・何室までOK?

A. 原則として可能である。ただし、一定規模を超える場合は事前の許可(承認)が必要となる。

自ら所有する不動産を賃貸すること自体は禁止されていない。相続した物件を貸す場合も同様である。ただし、次のような大規模な賃貸は「兼業」に該当し、許可申請が必要となる。

  • 独立家屋5棟以上/アパート10室以上/土地10件以上
  • 駐車場10台以上
  • 旅館・ホテルなど特定用途の物件

これらに該当しない小規模な賃貸は、原則として申請不要とされる。いずれの場合も、職務に支障がなく、公務の公正性や信頼性を損なわないことが前提となる。

※上記は令和8年12月現在の国家公務員の基準である。地方公務員は各自治体の規程により異なるため、必ず所属団体の基準を確認する必要がある。

Q. 無許可の副業が明らかになった場合はどうなる?

A. 無許可で副業を行った場合、服務規律違反として懲戒処分の対象となる可能性がある。処分内容は事案の程度に応じて判断され、戒告・減給・停職などが科されることがある。

さらに、副業先との利害関係が認められる場合や、公務に支障が生じていた場合には、より重い処分となる可能性もある。副業を行う際は、事前に所属自治体へ申請し、許可を得たうえで実施することが前提である。

まとめ|公務員の副業は「許可制」であり、判断軸が重要

公務員の副業は、ある年から一斉に解禁された制度ではない。現在も基本は許可制で、ケースごとに判断されている。「いくらまで」「何時間まで」といった全国共通の線引きもなく、活動内容や公務との関係性を踏まえて判断されるのが実態だ。

副業を考える場合は、まず所属自治体の規程を確認することが欠かせない。