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全庁的な生成AI活用から行政サービス向上を目指す。

情報政策
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全庁的な生成AI活用から行政サービス向上を目指す。

生成AI導入を包括的に支援するサービス

職員が住民や事業者と向き合う時間を増やすべく、生成AIの全庁導入に踏み切った奈良県。庁内共通の業務課題を絞り込み、最適な利用環境の構築、浸透のための研修実施など、現場の声を聞きながら、活用を促進しているという。

※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。


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総務部 デジタル戦略課
課長 丸岡 嘉人(まるおか よしひと)さん

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総務部 デジタル戦略課
係長 野瀬 博之(のせ ひろゆき)さん


戦略にもとづいた生成AIの導入が行政サービスの向上への第一歩。

令和5年に策定された「奈良デジタル戦略」には“行政サービスのユーザーである住民のためにデジタル化によりできることを実現する”とある。生成AIの活用で業務を効率化して、住民や事業者と向き合う時間を増やす。そうすることで“まちの声”を集めて政策に反映させ、行政サービスの向上につなげるねらいだ。「知事からも生成AIなどのツールを駆使して、最小限の労力で成果を上げることを求められていました」と丸岡さんは話す。

従来、同県の生成AI活用は、文書作成のサポートなど部分的な利用にとどまっていたという。しかし、全庁展開には、現場の職員が業務で使えるという実感が必要だ。そこで、庁内の働き方改革ワーキンググループなどを通じて、各課で共通する負荷の高い業務を調査。その結果を踏まえて、令和6年度に議会答弁に関する業務と仕様書作成について、令和7年度に会計規定の問い合わせ対応などについて実証実験を行った。

本格導入に向けては、生成AIの回答精度を担保できるように細かく調整できることや、回答のために必要な庁内データを格納できるセキュアな環境であることを条件に盛り込んだ。比較検討の結果、「ソフトバンク」が提案した生成AIサービスが採択された。「同社は全国の自治体との交流や職員派遣の実績があり、課題に寄り添った提案をしてくれました」と決め手を振り返る。



理解度や職位に分けた研修で実際に触れて利便性が分かる。

同サービスでは、最新の生成AIモデルや、使い勝手のよいUI、データ連携機能、安心のセキュリティ環境などを包括的に提供している。サポート窓口もあり、独自に環境を構築するより導入コストが抑えられ、実装までのスピードも速い。同社はサービスをすでに導入している他自治体と同県をつないでヒアリングの場を設けるほか、プロジェクト全体の管理や伴走支援を行っている。

両者が全庁展開に向けて特にこだわったのは、生成AIの理解促進だった。「とにかく生成AIに触れて、使うことで業務が効率化すると思ってほしかったのです。そのために入門編の研修を用意したのですが、入門編でも難しいという声が寄せられました。そこで、さらにかみ砕いた内容にするなど、職員に寄り添った研修を実施しました」と野瀬さん。研修は理解度別だけではなく、職位ごとにも実施している。これは、生成AI活用を管理職から広めていき、現場に浸透させたいという思いからだという。また、生成AIの利用ガイドラインの作成も進めていった。

議会分野の生成AI活用から職員の“使える”を増やす。

令和7年度は、議会分野での利用を推進している。9月議会後のアンケートによると、一般質問を受けた職員のうち、約34%が過去情報の検索など議会準備のために生成AIを活用した。その中でも90%の職員が、回答精度に対して“非常に有効・有効・やや有効”と答えているという。これを受け、以降の議会でも引き続き利用支援を行うことになっている。また、研修の実施と改善を続けるほか、質問や相談をフォームから投稿できる「生成AI活用相談窓口」を開設するなど、業務活用を推進する工夫も取り入れた。

今後の展望を尋ねると「現状の推進策は、新しい働き方やツールを使うことに抵抗がない職員に向けたものです。しかし全庁展開には、そうではない職員も生成AI活用の効果を実感できたり、メリットが可視化されたりすることが重要だと考えます」と丸岡さん。また、他自治体へのメッセージとして「先行事例をそのまま展開するのではなく、自らのビジョンをもつことが大切です。その上で、予算を含めた実現可能性の検討を行うことが欠かせません」と答えてくれた。


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