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公開日:2025-11-28

肝疾患リスクから住民を守るため約1年で実現させた静岡県の新事業。

福祉・医療
読了まで:8分
肝疾患リスクから住民を守るため約1年で実現させた静岡県の新事業。

住民の健康寿命を延ばすには、慢性疾患への対策は重要だ。しかし“何から始めたらいいのか”と悩む自治体も多いだろう。静岡県では、医療機関や医師会、基礎自治体への丁寧なアプローチから着手し、肝疾患の高リスク者を専門医療機関へつなぐ仕組みづくりを進めているという。


【地域で取り組むこれからの慢性疾患対策とは。】

(1)【Q&A】これからの慢性疾患対策について知っておきたい4つのポイント。
(2)【インタビュー】肥満症患者が一歩踏み出すために、自治体だからできること。
(3)適切な肥満症対策の受診スキームを医療機関との連携で確立する。
(4)地域の健康課題や体制に合わせた肥満症対策が各地でスタート。
(5)肝疾患リスクから住民を守るため約1年で実現させた静岡県の新事業。←今回はココ
(6)【インタビュー】慢性疾患対策を通じて、住民と地域社会の健康の向上に貢献したい。

※下記はジチタイワークス特別号(2025年11月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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プロフィール画像

健康福祉部 医療局
感染症対策課
主任
勝間田 光(かつまた ひかる)さん

肝疾患の実態変化を受けて計画の変更に踏み切った。

平成24年、同県は国の肝炎対策基本指針にもとづき「肝炎対策推進計画」を策定。地域での取り組みを続けてきたが、令和6年3月改定の第4期計画から「肝疾患対策推進計画」に改め、その対象を拡大した。変更のきっかけについて、勝間田さんは「当初の計画は“ウイルス性”の肝炎対策としてつくられたものでした。近年は治療法が確立されてウイルス性肝炎による死亡者は減少したのですが、一方で、脂肪肝などを含む“非ウイルス性”が増加。新たな対策の必要性が高まっているのは明白でした」。

さらに、コロナ禍において運動不足や自宅での飲酒が増えたことにより、脂肪肝に関心が高まった。令和5年には日本肝臓学会が、肝疾患の重症化予防に向けて「奈良宣言」を発表。血液検査でALT値が30を超えている人へ医療機関の受診を促したこともあり、同県としても計画変更に踏み切ったという。

変更内容については、同県が設置した委員会で協議を重ね、ウイルス性肝炎患者会からも賛同を得た。そうして従来のウイルス性肝炎対策に加え、脂肪肝などの予防・啓発と、ALT高値者に対する受診勧奨などを新たに追加。具体的な取り組みを検討していたところに、新計画を知ったノボ ノルディスク ファーマの担当者から、モデル事業と連携協定の提案があったという。「説明を聞き、方向性が同じだと確認できました。同社の知見とリソースを活かせば、計画に沿った取り組みができそうだと期待が高まりました」。この出会いから、本格的な動きが始まった。

実現に向けた第1ステップは事業全体の設計と地域の選定。

同県が考えたのは、市町で実施した特定健診の結果をもとに、高リスク者をスクリーニングし、専門医療機関での受診を促す仕組みだった。「FIB-4(フィブフォー)インデックスという数値を算出し、基準値を超えている人に対して個別に検査結果票と受診勧奨の通知を郵送します。受け取った人は、まずかかりつけ医に相談し、血液検査などを受ける。ここで高リスクという診断であれば、専門医療機関を紹介して治療につなぎ、その必要がなければ経過観察、という流れです」。診断や対応の結果については、担当した医師から市町に報告してもらい、その集計結果が県に報告されて、全体の分析が行われる。

このFIB-4インデックスによるスクリーニングを実施するには、“血液検査で血小板数を測定していること”が条件。しかし特定健診の必須項目ではないため、この測定を行っている自治体は限られるという。取り組みを進めるため、同県は県内の基礎自治体における健診実施項目を調べ、3市町が候補として浮上した。「対象となったのは、伊豆市(いずし)、伊豆の国市(いずのくにし)、函南町(かんなみちょう)です。近隣に専門医療機関があるので、モデル事業として絶好の地域でした」。この結果をもとに、3市町への協力依頼と、地域医療機関との連携を、同時並行で進めることにした。

医療機関や市町との体制構築が事業スタートへの第2ステップ。

今回の取り組みにあたって、医療機関の協力は不可欠だ。同県は、各方面から協力を得るために奔走。高リスク者を受け入れる専門医療機関については、厚労省通知にもとづき県が指定する、肝疾患診療連携拠点病院に依頼した。「事業の設計段階から相談をしていました。すでに課題意識があり、県とのつながりもある病院だったため、スムーズに協力を得られました」。次に、医師会と調整を行い、3市町のクリニックへ周知。事前説明会などで協力を要請していった。

こうした動きと同時に、3市町にもアプローチ。FIB-4インデックスの算出や対象者の抽出・通知の発送作業は市町の担当となる。そのため業務負担のことも含めて丁寧な調整を行い、理解を得ていったという。拠点病院が取り組みに前向きだったため、同病院の医師が同席しての打ち合わせも実施。同社の担当者も参加して説明を行い、最終的に同意を得ることができた。「3市町合同での勉強会も行いました。医療機関の協力だけでなく、市町の足並みが揃わないと、この取り組みは実現が困難だったため、各担当者には非常に感謝しています」。

また、こうした調整の中で助けられたのが、庁内の保健師からのアドバイスだったとも振り返る。「新しい事業なので、3市町にとっては負担になります。納得してくれるか不安だったのですが、『住民と直接向き合う保健師には、健康を守る意識や現状への危機感が強い人が多い。住民のためならと理解してくれるのでは』と助言を受けました。関わってもらったおかげで、保健師目線での対話ができたと思います」。

事業者のリソースを活用して周知活動を多方面で展開する。

受診勧奨に関わる顔ぶれは揃ったが、取り組みを進めるためには住民に対する周知・啓発活動も行わなくてはならない。この部分は、同社との二人三脚で進めているという。「啓発動画とポスターを同社に作成してもらっています。動画は県公式YouTubeへのアップや、公共施設のデジタルサイネージなどで広く発信する予定です。拠点病院からも“待合スペースで使いたい”という声が上がっています」。また、ポスターには動画に直接アクセスできる二次元コードを掲載し、県内の医療機関や自治体に掲出の協力を依頼していく予定だ。

こうした動きについては、「知見だけでなく、コストの面でも助かっています。我々の力だけでは、仮に予算が取れたとしても、ここまでツールを充実させることはできなかったでしょう」と官民連携の大切さを強調する。ちなみに、啓発動画の制作については同社が日本肝臓学会に働きかけ、内容の監修を受ける予定となっているそうだ。

ほかにも、拠点病院で実施している市民公開講座に、脂肪肝に関するコンテンツを入れてもらうなど、医療現場からのアプローチも実施。「拠点病院の皆さんは非常に強い課題感をもっているので、前向きに協力してくださっています。こうした応援の力も、すごくありがたいですね」。



▲受診勧奨リーフレットにはイラストを大きく使用。視覚的に訴えかけ、関心を引くよう作成している。

同じ志をもつ仲間たちが集まり健康都市の実現を目指す。

3市町での受診勧奨は令和7年7月にスタートし、各自治体から対象者に通知を順次郵送。すでに届いた住民から問い合わせなども入っており、関心をもってもらえていることがうかがえるという。

「大変な部分もありましたが、医師会の先生も、拠点病院の先生も声を揃えて『意義のある活動だ』と言ってくれました。また、3市町の職員や保健師たちも『住民のためなら』と受け入れてくれた。同社の担当者も含めて、同じ志をもった人たちが集まり、支えてくれたおかげでここまでこられたと思っています」。

今後は定量的な分析を行い、対象者の反応や問い合わせ内容なども踏まえて成果と改善点をまとめ、ほかの市町への展開を検討していく予定だ。すでに、この取り組みを知った他県の自治体から問い合わせが入っているという。勝間田さんは、「県がやるべきこととして、まず基礎自治体の状況把握が大切です。また、推進計画に反映させておくことで関係者の認識が統一でき、ブレずに動けると実感しています」とアドバイスする。

事業者との出会いから実際の活動開始まで1年足らず。実現までかなりのスピードで駆け抜けた同県の取り組みは、始まったばかりだ。地域の健康づくりにおける一つのモデルケースとして、全国に広がることを期待したい。

モデル事業開始までの流れ 

▼令和6年3月
・第4期静岡県肝疾患対策推進計画を発表
▼令和6年5月
・ノボ ノルディスク ファーマの提案に同意
▼令和6年6月~ 
 ・事業開始準備 
▼令和7年3月
・同社との連携協定を締結
▼令和7年4月
・モデル事業スタート 


モデル自治体の声
住民を中心に関係機関が連携し、新たな対策にチャレンジ!

田方地区(たがたちく)
左:伊豆市 健康長寿課
増田 貴美枝(ますだ きみえ)さん
中央:伊豆の国市 健康づくり課
井上 美佐(いのうえ みさ)さん
右:函南町 健康づくり課
渡辺 祐花(わたなべ ゆか)さん

Q 肝疾患対策の現状や課題を教えてください。

田方地区では、血糖値・血圧・脂質の異常を併せもつメタボリックシンドロームの人が多く見られます。サービス業従事者が多い地域では、食事が偏り飲酒率も高く、健康上の問題につながっていると考えられます。さらに車中心の生活で運動不足となり、脂肪肝を抱える住民も少なくありません。健診や精密検査の未受診者に加え、薬を服用しながらも生活習慣の改善に取り組まない人が一定数おり、どう働きかけるかが課題です。

Q 今回の取り組みに期待することは?

今回は、県肝疾患診療連携拠点病院の先生や県の感染症対策課を中心に、関係者が集まり、勉強会や評価方法の検討を進めました。また、協力を依頼する地域の医療機関向けに研修会・説明会も開催。FIB-4インデックスの理解が進み、高リスク者に限らず脂肪肝やメタボの予防に取り組む住民が増えることを期待しています。関係機関が連携して受診につなげる体制を整え、さらなる予防意識の向上を目指します。

お問い合わせ

サービス提供元ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

東京都千代田区丸の内2-1-1
明治安田生命ビル

TEL:03-6266-1000(代表)

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