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公務員若手職員の離職防止に向けた取り組み「ICHIGO会議 〜若手がホンネと未来を語る会〜」

読者投稿ページは、自治体職員が日々の業務や活動している内容を発表・共有できる場です。読者自ら執筆した原稿の中から、編集室が選出した記事を、ジチタイワークスWEBで公開させていただきます。
ぜひ、皆さんの自治体職員としての経験や取り組みを、編集室にお届けください。
※掲載情報は公開日時点のものです
公務員若手職員の離職問題と課題認識
近年、多くの自治体で、若手職員の離職が増加していると問題提起されています。当市の普通退職者について分析した結果、全国的な傾向に比べると離職者数は少ないものの、採用から1〜5年目の職員、特に20〜30代前半が目立つことが判明。この現状を受けて、若手職員が安心して長く働ける職場環境の整備が急務であると感じ、具体的な対策を講じることにしました。
若手職員が抱える問題の一つは、業務に集中するあまり、他部署との関わりが薄く、孤立感を抱えやすいことにあります。さらに、部署ごとに業務内容や文化が異なるため、職務の全体像を掴みにくく、キャリアに対する不安や迷いが生じやすい現実があります。
若手職員の交流の場「ICHIGO会議〜若手がホンネと未来を語る会〜」

これらの課題に対し、私たちは入庁1〜5年目の若手職員の交流の場として「ICHIGO会議」を立ち上げました。この会議の目的は、それぞれが感じている悩みや不安、孤立感を解消し、互いに支え合う横のつながりをつくることです。本音を語り合うことで、職場環境に対するリアルな課題や改善案を掘り下げ、未来に向けた具体的なアイデアやビジョンを共有します。
会議では、参加者が自己紹介を行い、自身の課題や希望を率直にシェア。その後、少人数のディスカッションを通じて、具体的な悩みや理想の働き方について意見交換を行います。こうした交流を通じて、職員一人ひとりの成長を促し、組織全体の雰囲気を改善し離職を防ぐための具体的なアクションにつながることを期待しています。
ワークショップの成果と今後の取り組み

終了後のアンケート結果では、高い満足度が示され、継続を希望する声が多数寄せられました。参加者の多くは「自分だけが悩んでいるわけではないと感じ、心強かった」と回答し、他部署の業務内容や文化を理解することで視野が広がったとの意見が多くありました。また、「普段関わりのない職員との交流を通じて業務の理解が深まった」といった意見もあり、職場内での孤立感が軽減されたことがうかがえます。

さらに、参加者からは「上司や先輩から感謝の言葉をもらい、仕事のやりがいを再認識した」との声も多く、職場内での承認や感謝の言葉が、モチベーション向上に大きく寄与していることが分かりました。職場内でのフィードバックや感謝の気持ちを伝えることが、安心して働ける環境づくりの上でも重要だと再認識しました。会議で出された意見やアンケート結果を市長に報告し、職員がやりがいを実感できる仕組みづくりについて検討を始めています。
若手職員の離職問題は、当市に限らず全国的に共通する課題です。各自治体におかれましても、職員が安心して長く働ける環境づくりが一層進むことを心より願います。

※本件は、一般社団法人maniken 地域経営部会の活動の一環として実施しました。この部会では、地域における自治体の組織運営や職員の働き方改革等に関する研究を行い、実際の行政課題に対する解決策を実践研究しています。




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