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公益通報とは?内部通報との違いや公務員の通報先・保護制度を解説

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公益通報とは?内部通報との違いや公務員の通報先・保護制度を解説

職場で不正行為や法令違反を目撃し、“このまま見過ごしてよいのか”と悩んだ経験はないだろうか。そのような場面で活用できるのが、「公益通報制度」だ。自治体職員も一定の要件を満たせば保護の対象となるため、制度を正しく理解しておきたい。

※掲載情報は公開日時点のものです。
※2026年7月24日に最新情報を反映しました(初回公開:2025年6月27日)

公益通報とは?制度の目的と概要

公益通報とは、職場における不正行為や法令違反を発見した際に、従業員や関係者が勤務先や行政機関などに知らせる制度だ。通報者が不利益な取り扱いを受けないよう保護するため、平成18年に「公益通報者保護法」が施行された。

法令違反の早期発見・是正につなげ、消費者や社会全体の利益を守ることを目的としている。

公益通報の通報先は、大きく3つに分類される。

  • 勤務先に設置された社内窓口への内部通報
  • 行政機関などへの外部通報
  • 報道機関や弁護士などへの第三者通報

公益通報と内部告発の違い

公益通報と内部告発は、通報先や法的保護の有無に違いがある。

項目
公益通報
内部告発
目的
法令違反の是正
不正の公表・告発
主な通報先
勤務先・行政機関など
報道機関などの組織外
法的保護
公益通報者保護法の対象
公益通報に該当する場合は保護対象

公益通報として保護を受けるには、公益通報者保護法で定められた要件を満たす必要がある。一方、内部告発は法の保護が及ばない場合が多く、リスクを伴う。

公益通報者保護法の役割

公益通報者保護法は、公益通報を理由とした不利益な取り扱いから通報者を守るための法律だ。通報しやすい環境を整えるため、様々な保護措置が設けられている。

主な保護措置は次の通り。

  1. 公益通報を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止
  2. 公益通報を理由とする事業者の損害賠償請求の制限
  3. 公益通報を理由として労働者を解雇・懲戒をした者及び法人に対する刑事罰 ※
  4. 公益通報から1年以内の解雇・懲戒は公益通報を理由とするものと推定する(立証責任の転換) ※

ただし、これらの保護を受けるには、法律で定められた要件を満たしている必要がある。

※令和8年7月時点では、3・4は未施行であり、令和8年12月1日に施行予定。
※出典:消費者庁「令和7年 改正概要(公益通報者保護法、法定指針)」より

公益通報者保護法で保護されない場合

公益通報者保護法では、すべての通報が保護されるわけではない。

次のような場合は保護の対象外となる。

  • 不正な目的での通報
  • 従業員・職員以外からの通報 ※1
  • 定められた通報先以外への通報 ※2
  • 内容が不正行為や違法行為に該当しない通報 ※3

※1 通報者本人の承諾を得たうえで家族など第三者が代わりに通報した場合は、本人が保護の対象となる。
※2 通報先によって保護要件が異なる。詳しくは、後述の「公益通報の通報先と対応窓口」を参照。
※3 違法行為に該当するかどうかは通報を受けた機関が調査・判断するものであり、通報者自身が事前に違法行為と断定する必要はない。不正があると信じるに足る根拠があり、公益目的での通報であれば、結果として違法行為が認定されなかった場合も保護の対象となりうる。

公益通報による“保護”の対象者

公益通報者保護法では、労働者をはじめ、一定の条件を満たす人も保護の対象だ。

主な対象者は次の通り。

  • 勤務先を退職して1年以内の者
  • 契約に基づいて事業を行う取引先の従業員や役員
  • 取締役・監査役など法人の経営に従事する役員

これらは公益通報者保護法上の“労働者等”に位置づけられ、正当な公益通報を行った場合は法的保護を受けられる。

公益通報の対象となる具体的な行為とは

公益通報の対象となるのは、国民の生命・身体・財産の保護、消費者利益の擁護、環境保全、公正な競争の確保などに関わる法令違反だ。

地方自治体では、次のような行為が公益通報の対象となる可能性がある。

  • 公金の横領
  • 贈収賄
  • 官製談合・入札不正
  • 違法なサービス残業
  • 個人情報の不正利用・漏えい など

パワハラやセクハラは原則として公益通報に該当しない

パワハラ(パワーハラスメント)やセクハラ(セクシャルハラスメント)は、それだけでは公益通報の対象とはならない。ただし、暴行や脅迫などの犯罪行為や法令違反を伴う場合は公益通報の対象となる。

公益通報の通報先と対応窓口

自治体職員が公益通報を行う場合、主な通報先・窓口は次の通り。

  • 上司・組織内部(監察担当部署、人事課など)
  • 所属自治体が委託している外部窓口(法律事務所など)
  • 権限を有する行政機関(総務省、厚生労働省、消費者庁など)
  • その他の外部機関(報道機関や弁護士会、労働組合など) 

自治体職員は、まず組織内の窓口への通報が一般的だが、内部での対応が期待できない場合などに外部通報を検討する。公益通報者保護法の要件を満たし、正当な手続きで通報を行った場合は、守秘義務違反には該当しないとされている。

また、通報先によって保護要件は異なる。

組織内への通報は“違法行為がある、またはそのおそれがある”と信じるに足る理由があれば保護される。一方、報道機関や労働組合などへの通報は、より厳しい要件を満たす必要がある。

消費者庁「公益通報の通報先・相談先 行政機関検索」はこちら

公益通報者保護制度における自治体の役割と対応体制

公益通報者保護制度では、自治体は公益通報を受け付ける立場としても重要な役割を担う。

主な通報受付は、次の2種類。

1. 自治体が事業者として受ける「1号通報」 内部職員などからの通報を受け、内容を確認した上で適切に対応する。

2. 自治体が行政機関として受ける「2号通報」 外部の労働者などから法令違反の疑いに関する通報を受け、必要に応じて調査や措置を行う。

自治体には通報者の秘密を守り、不利益な取り扱いを防ぐとともに、安心して通報できる体制を整えることが求められる。

自治体へ公益通報があった場合の対応

自治体へ公益通報があった場合、迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが求められる。国の行政機関向けガイドラインでも、通報対応の基本的な考え方として、次の4つが示されている。

  1. 通報対応の体制整備:通報対応窓口の設置と担当者育成など
  2. 通報への対応:受け付け、調査、必要な措置の実施など
  3. 通報者の保護:不利益な取り扱いの防止、通報後のフォローアップなど
  4. 制度の運用・改善:資料管理、運用状況の公表・改善など

消費者庁「令和8年5月29日公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関する ガイドライン(内部の職員等からの通報)」をもとに編集室が作成

【その他】通報行為において気になるポイント

・自治体職員が公益通報する場合の注意点は?

職務上の守秘義務を守り、公益性の高い法令違反について適切な窓口へ通報することが大切。まずは組織内部窓口への通報を基本とし、必要に応じて外部通報を検討する。

・匿名で通報しても保護されるか?

 匿名通報も可能。ただし、事実確認や調査に必要な情報が不足すると、十分な調査が行えない場合がある。そのため、可能であれば氏名を明らかにして通報することが望ましい。