
小・中学校専用の集金代行サービス
給食費が無償化されても、教材費などの現金集金を続ける学校が多いようだ。湯浅町では集金代行サービスを導入し、小・中学校での集金を口座振替に変更。保護者の負担軽減と教員の業務効率化を図り、学校現場の働き方改革を進めている。
※下記はジチタイワークスINFO.(2025年7月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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湯浅町
教育委員会 指導主事
南 紳也(みなみ しんや)さん
教員の働き方改革を進めるために“集金が当たり前”の環境を見直す。
同町では、令和4年度から公立の小・中学校で給食費の無償化を実施している。学校で給食費を扱うことはなくなったが、学級費などの集金業務は残っていたという。数年前まで小学校の教員を務めていた南さんは、現場の状況をこのように振り返る。「教員にとって集金業務は、“やって当たり前”という感覚。困り事の認識すらありませんでした。とはいえ、負担が大きいのは事実。一人ひとりが持参したお金を小銭まで数えた結果、過不足があることも。手間と時間がかかる上、保護者への催促が必要になるなど、精神的な負担もありました」。近年、小学校から英語教育がスタートし、小・中学校ともにプログラミングが必修化されるなど、教員の業務負担は増している。「だからこそ、働き方改革を進める上で、新たな取り組みが必要でした」。
そのような中、令和6年5月に行われた校長会で、集金方法を口座振替に変えたいとの意見が上がった。「近隣の自治体でも口座振替を導入したと聞いていましたが、銀行の手数料が上がるタイミングでもあり、保護者に負担を求めることに戸惑いがありました。しかし、教員の働き方改革は進めたい。それなら、まちが契約して手数料を負担すれば問題は解決できる。そこで複数社をピックアップし、検討に入りました」。
学校だけでなく保護者の負担も軽減できる仕組みを目指した。
そして選定したのが、「リコーリース」が提供する集金代行サービス「スクールコレクト」だ。重視したのは、“保護者も学校もラクになること”だったという。一般的に、口座振替は学校が地域の金融機関などと契約し、保護者はその金融機関の口座を準備する必要がある。しかし、同サービスは全国の主要な金融機関に対応しているため、保護者がすでに利用している口座をそのまま使える可能性が高い。
学校側は保護者から回収した口座振替依頼書をもとに、口座番号や名義、振替金額などの一覧をExcelで作成。それをWEB上のシステムへアップロードするだけで登録が完了するという。データは学年や学校が変わってもシステム内で引き継げるため、小学校の入学時に手続きすれば中学卒業まで継続して運用できる。また、導入にあたっての初期費用や月々の基本料はかからず、手数料は振替1件につき税抜き100円※だそうだ。「同サービスは、保護者と学校双方の負担を軽減したいという当町の要望を満たしていました。回収金は、各学校もしくは各学年の指定口座に入金される点にも利便性を感じています」。
※令和7年6月時点
短い準備期間で口座振替に変えて進学に伴うデータ移行もクリア。
同町には1つの中学校と4つの小学校がある。その中で児童数が一番多い小学校と中学校で、同年11月からの運用を目指した。保護者に夏休み明けに連絡し、口座振替依頼書を配布。トラブルなく運用を開始できたという。「保護者からは“現金を用意する手間がなくなりラクになった”との声が寄せられ評判も上々。学校現場では、作業時間がかなり削減された上、指定日に入金されるので喜ばれているようです」。その後、年度替わりのデータ移行も、問題なくクリアできたという。
令和7年度からは、さらに2つの小学校でも運用を開始した。手数料は引き続き同町が負担しており、各学年で学期ごとに最大2回の集金があると想定して、予算化したそうだ。「残る1校は児童数が少なく、集金業務の課題はないということで導入を見送りました。しかし、小・中学校の連携を考えると、いずれは口座振替に変えたいと考えています」。
これまでの方法にとらわれることなく、学校現場の働き方改革を進める同町。南さんは、「教員には、教材研究や保護者との情報交換など、本来やるべき仕事に時間を割いてほしいですね」と語ってくれた。