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東京都練馬区

公開日:2025-03-27

全国初!財産調査の時間を90%短縮「未納対策支援AI」が職員負担を軽減する。【行革甲子園2024】

財政・税・会計
読了まで:6分
全国初!財産調査の時間を90%短縮「未納対策支援AI」が職員負担を軽減する。【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。

今回はその中から、東京都練馬区の「全国初!『未納対策支援AI』の開発と導入」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

練馬区では、未納対策支援AIの開発と導入に向けて、令和3年の夏に富士通Japan株式会社に提案。

2種類のAIシステムを開発
①財産調査支援AI(財産調査先候補の最適化システム)
→未納案件ごとに最適な財産調査先を提示。
②難易度別分類支援AI(職員の習熟度と案件の難易度のマッチングシステム)
→マッチングアプリのように職員の習熟度に見合った担当案件割当表を作成。

背景

住民税や国民健康保険料の納税体制を整え、税負担の公平性を保つためには、税の納付率を高く保つことが重要。しかし、現実には以下のような問題が存在し、これらは全国の自治体でも共通の課題となっている。

課題①ベテラン人材の不足
→人事異動のサイクルが4年程度
課題②効率的・効果的な財産調査の実現
→職員の習熟度や事案の難易度によって成果が異なる
課題③未納案件は約3万5,000件あり全件着手困難
→マンパワーが限られている

目的

AIシステムを開発・導入し、業務を効率化させ成果を上げることで、納税率を高めることを目指している。また、練馬区で培った知識をもとに開発したAIシステム「練馬区モデル」を全国に普及させ、各地方自治体が問題解決に利用できるようにする。

取り組みの具体的内容

1. 財産調査支援AI(財産調査支援先候補の最適化システム)

財産調査は、滞納者の支払い能力を判断するための基本的な業務。しかし、そのためには滞納者の住所、年齢、家族構成、所得種類、過去の記録等の様々な情報を整理する必要があり、それが時間を取る上、経験豊富な職員と新人職員では結果に差が出てしまった。そこで、AIに数年分の住基情報、収入情報、滞納情報、そして熟練職員のノウハウを学習させて財産調査の効率化を図った。その結果、AIが各ケースにおける最良の財産調査先を示すことができるようになった。
 

【財産調査支援AIの開発イメージ】

AI導入効果①調査先の判断時間を90%短縮(30分→3分)
従来、1案件あたり平均で30分程度かかっていた判断時間が、AIの活用により約3分と大幅に短縮できた。
 


AI導入効果②財産調査の精度が8倍に向上
AIの効果を測るためAIなし(職員が選定)とAIありで実際に財産調査をした結果、AIを活用した方が約8倍も未納者の口座を突き止めることができた。

2. 難易度別分類支援AI(職員の習熟度と案件の難易度のマッチングシステム)

練馬区では、税金の未払い件数が多いため、毎年4月に人事異動に合わせて担当者を変更している。15人の職員が300件ずつの重要な未払い案件を管理しているが、全員が一律に割り振られるため、各職員の進行スピードがまちまちだった。

そこで新たに、職員の経験値と未払い案件の複雑さを評価し、未納案件の住基情報(住所・年齢など)や賦課情報(給与所得・営業所得など)、滞納情報(財産調査回数・処分履歴など)などにもとづき最適な案件を、各職員に割り振るシステムを導入した。まるで「マッチングアプリ」のように、それぞれのレベルに合った案件を割り当てることが可能となった。
 

【難易度別分類支援AIの開発イメージ】


AI導入効果③職員の作業効率UAI
易しい案件については、ほとんどの職員が少ない工数・時間で対応できており、習熟度による差も小さい傾向となり、難しい案件については、熟練職員の工数・時間は比較的少ないものの、新任職員の工数・時間は多くなり、習熟度による差も大きい傾向となった。この違いから、職員の習熟度を4段階に、案件の難易度を3段階に分類することに成功し、AIによるマッチングで、係全体での業務が最適化されるよう担当案件の割当表を作成した。
 

【習熟度・難易度別の処理時間の推移】

【習熟度に応じた案件割当のイメージ】

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

●独自性
練馬区の徴収のノウハウや滞納整理の情報の活用と、民間事業者のAI開発技術を複合させた、ほかにはない独自の取り組みである。

●新規性
徴収職員なら誰もが考え、誰もが望んでいる「未納対策支援AI」であるが、実際に開発に成功して導入をできたのは練馬区が全国初となる。これを裏づけるように、7月には特定非営利活動法人ローカルガバメント・ネットワークが主催する「第14回 LG-Net研修会in いのwith高知県徴収フォーラム2024」(全国自治体の徴収職員向けの研修会)において、当該取組事例の公演予定があり、また、公益財団法人東京税務協会が発行する「東京税務レポート(夏季号)」にも先進事例として掲載予定である。

今回の取り組みは、誰かがやってくれるのを待つ、あるいは、民間からの売り込みで導入するのとは異なり、自ら開発することで仕事への誇りも持てる話題性のある取り組みである。

●工夫した点
開発にあたっては、構想から3年の歳月の間、実務を担っている徴収職員も参加して、主観的評価や客観的評価を行い、試行錯誤を繰り返しながらAIシステムの精度向上に取り組んだ。また、将来は全国展開を視野に入れ、システム標準化を踏まえ、他の自治体でも使い勝手や応用が利くようにシステムの制度設計を構成している。

取り組みの効果・費用

・事務処理の効率化や迅速化、最適化に効果が見られた
・職員の事案解決までの処理スピードの向上が期待できる
・2種類のAIをうまく活用することで、さらに成果向上に期待
→従来の約2倍の処理が可能になるとともに、今まで以上にきめ細かく生活実態を把握できることで、財産があれば「徴収強化」、財産がなく低所得や多重債務などで生活困窮が伺えれば福祉事務所や生活サポートセンターと連携して「生活再建」の支援へつなげる
→「徴収強化」と「生活再建」で「収納率向上」へ
 

【AI活用の効果を試算(イメージ)】

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・AI運用後を見据え、徴収職員からたくさんの意見やノウハウが提出されたが、時間的制約からすべてを取り込むことはできなかった。今後の予定とも重なるが、システムを利用する徴収職員の視点で利便性向上を追及して改善していきたい。
・案件の難易度と職員の習熟度のマッチングシステムを運用する際に、事務処理にかかる時間の効率化を優先させるのか、職員の育成を優先させるのか、優先度の重みづけで判断が迷うこともあった。

今後の予定・構想

・AIの特徴として、使えば使うほどデータは蓄積されアルゴリズムは進化していく。さらなる精度向上のためにもより多くの自治体で導入することで、より進化が期待できる。
・AIの導入により財産調査のスピードが上がっているため、金融機関に対しての照会とその回答取込についてRPAを利用して自動化を進めていく予定である。

他団体へのアドバイス

・AI自体は外部から結果を取ってくるわけではなく、内部の情報を組み合わせて判断しており、住民情報システムや滞納管理システムで持っている情報を使っている。そのため、AI活用のポイントとしては、経過記録などに入力する際は、一定のルールで文言を統一しておくと抽出結果の精度向上を図ることができる。
・AIだけでなくその周りの環境(電子照会システム、RPA、ペーパーレス化など)も整えていくことで、今まで以上に効率よく結果を出すことが期待できる。

 

【練馬区公式ホームページ:プレスリリース】
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/r6/r603/20240327.html

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