口座情報の確認作業を省き最短1週間で現金給付へ。

水戸市
こども部 こども政策課
係長 千田 庸平（ちだ ようへい）さん

水戸市
こども部 こども政策課
主幹 横倉 孝悠（よこくら たかはる）さん

水戸市
こども部 こども政策課
主事 岩谷 剛（いわたに つよし）さん

口座振込では確認作業に時間を要し支給までに1カ月以上かかっていた。

同市では令和6年度の「出産・子育て応援給付金」を電子クーポンで支給していた。ところが国の方針により、令和7年度からは「妊婦のための支援給付」として“現金その他の確実な支払方法”が原則とされ、支給方法の見直しを迫られた。そもそも電子クーポン導入前は口座振込を行っていたが、その際は申請用紙に記入された口座情報が間違っていないか、通帳などの画像データで確認する必要があった。間違えられない作業のため、窓口や電話での住民対応が落ち着く閉庁後に、確認作業を行うこともあったという。

「申請の中には、口座番号の書き間違いや、外国籍の人ではミドルネームの有無などで内容が一致せず、振り込みできないケースが月に数件ありました。その場合は連絡を取って一からやり直しになりますし、電話がつながらなければ、郵送対応も必要です」と千田さん。さらに、口座振込は作業の多さや月締め処理の関係で、支給までに約1カ月半かかることも課題だったそうだ。また、同課が担当する市独自の給付金事業「小・中学校新入生応援金」でも同様の悩みを抱えていた。申請が始まる毎年6月に、対象者の約9割の申請が集中し、職員の負担は一気に膨れ上がる。2つの事業で効率的な支給方法を模索する中、ジチタイワークスで見つけたのが、セブン銀行ATMを活用した「ATM受取」の記事だった。

住民が好きなときに受け取れる、ATMを活用した支給方法へ。

同サービスは、住民がコンビニなどに設置されているセブン銀行ATMに番号を入力するだけで現金を受け取れる仕組み。自治体・住民ともに同行の口座開設は不要で、原則として24時間365日受け取りができるという。「口座情報を確認せず支給まで進められるので、効率化につながると感じました。ATMの設置台数が多いため、住民にとっても利便性が高いと考えています」と横倉さん。

サービスの導入を目指し、会計課や総務法制課などと調整を開始。各課には、想定されるメリットを具体的に説明することを心がけたという。「会計課は振り込みを担当するので、それがなくなると事務負担の軽減につながります。また、近年は振込手数料も上がってきました。振り込みをしても、口座情報に不備があったら再度振り込みが必要となり、費用が二重に発生します。同サービスならそうした心配がなくなることも伝えたため、前向きに受け止めてもらうことができました」。こうして令和7年度から、当初の予定通りに2つの事業で導入。申請はどちらも、従来から利用している県の電子申請システムで行えるようにした。給付の決定後、同サービスのシステムに給付内容をアップロードし、ATMに入力する番号を住民にSMSで通知する運用をしているという。

支給までの業務が半分以下に減り住民からも好意的な声が続々と。

妊婦のための支援給付では口座振込も選べるようにしたが、申請者の約6割が同サービスを選んでいるという。最短で1週間での支給が可能になり、住民からは“自分の都合がよい時間にコンビニで現金化できて便利”“通帳の画像データをアップロードする手間がなくてラク”といった声が寄せられている。ATMでの受け取り操作についても、“思っていたよりも簡単”と好評だそうだ。

業務の軽減効果も大きい。「以前と比べて、確認作業は半分以下になりました。会計課を通さずに当課だけで支給までの処理ができるようになったのも大きな変化です」と岩谷さん。支給を待つ住民からの問い合わせも減り、心理的な負担も軽くなったそうだ。「同サービスの活用で、口座情報を確認する手間が省け、業務が大幅に効率化できると感じました。さらに活用範囲を広げていきたいです」と千田さんは展望を語ってくれた。

全国に広がるATM網

セブン銀行ATMは、セブン-イレブン店舗以外にも。スーパーなどの商業施設をはじめ、駅や空港、高速SA/PAなどにも設置が進んでいる。

自治体業務を支援

同社は、ATM受取のほか、口座振替など自治体の業務効率化の支援を行う。詳細は問い合わせを。

その他サービスはこちら