埼玉県さいたま市

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不登校支援に活用!みんなを感じられる教育メタバースが、安心できる居場所になる

不登校支援に活用!みんなを感じられる教育メタバースが、安心できる居場所になる

教育メタバースを活用した不登校支援

学校に行くのが難しい子どもたちにとって、人との出会いや交流が心のエネルギーになり、次の一歩につながるという。子どもたちが安心して過ごせる居場所として、教育メタバースFAMcampusが活用されている。

※下記はジチタイワークスINFO.(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

CASE 1|さいたま市|
支援が届かない子とつながるオンラインの居場所が入口に。

不登校児童生徒への支援として、教育メタバースを導入しているさいたま市。オンライン上に気軽に集える居場所をつくることで、子どもたち同士や先生との交流が生まれ、参加・学習意欲の創出や対面支援につながっているという。

プロフィール画像

さいたま市
教育委員会事務局
学校教育部 総合教育相談室 不登校等児童生徒支援係

松本 茂典(まつもとしげのり)さん

既存の支援が届かない子どもとの関係性づくりにメタバースを採用。

全国的に不登校児童生徒数が増加している。同市でもコロナ禍を経て令和3年まで上昇傾向にあり、危機感を強くしたという。「従来の支援は、市内6カ所にある教育支援センターに通うものでした。そのため自宅から出ること自体にハードルがある子どもたちには、支援の手が届きにくい状況がありました」と松本さんは語る。そうした背景から令和4年4月、既存の支援センターとは別事業として、ICTを活用した学習支援やオンライン相談を行う「不登校等児童生徒支援センターGrowth(グロウス)」を開設。外出が困難な子どもたちともつながれる場所をつくることをねらいとした。

「当初はオンライン会議システムで授業を行っていました。ただ、授業はどうしても“教える”“教わる”の関係性であり、授業外の話題を出したりつながったりするのは難しく、それ以上の関係がなかなか生まれません。本来、子どもは学校生活の中で様々な人間関係を構築していきます。“授業と授業の間の余白”をどう埋めるかが課題になっていました」。そこで着目したのがメタバースだったという。

メタバースでの交流から外出や教育支援センターの利用へ。

令和5年7月から導入したのは、「富士ソフト」が提供する教育メタバース「FAMcampus(ファムキャンパス)」だ。オンライン上に校舎のような空間を再現し、子どもたちはアバターで参加。マウスで動かして校舎内を自由に行き来できる。「休み時間にはアバター同士で、ビデオ通話やチャットのほか様々な機能を活用して交流を深めています。鬼ごっこをしたり、昼食会を開催したり、学校のような自然な交流が生まれました」。

メタバースには、俯瞰して見渡せる平面的な2Dと、臨場感を再現できる立体的な3Dがある。同市は実証実験で併用していたが、ブラウザでシンプルに使える2Dの同サービスを日常の居場所とした。子どもたちが互いの存在を直感的に感じられる点も魅力だったという。

一方で、欠かせないのは参加したくなる環境づくりだ。授業担当以外の職員が交代で空間内に常駐。気軽に相談を受けるほか、チャット履歴を定期的に確認し、トラブルの兆候があればすぐに介入できる環境を整えた。そのほか、空間内の掲示板に毎日クイズを出したり、大学生ボランティアが活動したりするなど、様々な工夫も重ねたそうだ。

また、ログインや利用履歴が取得できるため、メタバースへの参加も学校の出席扱いとした。「リアルで会うオフ会も開催しました。メタバースで交流していたので顔見知りとしてスタートでき、対面するハードルが劇的に下がりました」。令和6年度は年間12回のオフ会を開催し、延べ353人の児童生徒が参加。教育支援センターに足を運ぶようになった例も見られたという。

新設した“学びの多様化学校”に引き継がれるメタバースの知見。

組織体制の変更などにより、グロウスは令和7年度で活動を終了。しかし、ここで得たメタバースの知見は、令和8年度に新設した学びの多様化学校「いろどり学園小学部・中学部」で活きているという。こちらは文部科学省指定の不登校支援特例校で、市内6カ所に分散する本校・キャンパスがメタバースでつながっている。基本的には登校が原則だが、それが難しい日はメタバースに参加し、休み時間には空間内で友達や先生と交流できる。「入学した約130人のうち、約70人がグロウスに参加していた子どもたちでした。メタバースは日常的な居場所として定着してきているようです」。

今後は支援の入口を増やすことが大切だと松本さんは語る。「“支援はオンラインより対面だ”という声もありますが、対面かオンラインか、ではなく、どちらも選べることが当たり前になってほしいと思っています。4年間の取り組みでそれが確信でき、選択肢が増えたと実感できました。それでもまだ、支援が届いていない子どもたちはいますので、引き続きアプローチしていきます」。


CASE 2|埼玉県|
県と市町村でメタバースを共同運営し、相談も学びもかなえる空間へ。

不登校支援のためにメタバース空間を用意し、市町村と共同運営している埼玉県。予算の確保や運営体制の構築など、これまでの経緯を聞いた。

埼玉県 教育局 生徒指導課
総務・不登校対策・中退防止担当
左:水野 竜弥(みずの たつや)さん
中:川端 友貴(かわばた ともたか)さん
右:髙𣘺 尚希(たかはし なおき)さん

最初から共同運営を思い描き、3市と協力して小さく試行。

「当県でも不登校は増えています。自宅から出られず、相談や指導につなげられていない児童生徒に対して、ICTを活用して何か支援ができないかと考えていました」と、川端さんは振り返る。

そこで令和7年に導入したのが、教育メタバースのFAMcampusだ。県が導入したメタバース空間は、東西南北に分けた市町村フロアと、県が管轄する共通フロアの計5フロアで構成されている。「日常的な居場所をつくり、気軽に相談できる体制を整えることが第一でした。その上で学習支援にもつなげたいと考え、市町村と共同で運営しています」。

共通フロアにはスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのいずれかが常駐し、個別の相談に対応できる体制を整備。市町村フロアでは各自治体がもちまわりで授業などを行うほか、開発元の富士ソフトが派遣するオンライン支援員が常駐し、日常的なサポートを行っている。「こうした体制を最初から見据え、まず令和6年に3市と共同でスモールスタートを切り、3カ月間検証を重ねました」。共同運営する方法や学習の仕組みを一緒に検討。独自に先行導入していたさいたま市にも話を聞いたという。

試行をもとに説得材料を揃え、予算化への庁内合意を得る。

並行して、令和7年度の予算要求に向けて動いた。「“既存の支援が届いていない児童生徒に支援を届ける”ことを説明の軸としました。また、学びだけを目的としたものではなく、授業の前後にも会話ができ、家から出られない子ともつながって、日常的な居場所をつくることが必要な点を強く訴えました」。

成果指標に関しては、児童生徒の状況はそれぞれ異なること、個々に応じた自立や学びの継続につなげることを説明した。「学校復帰だけが目標ではありません。一つの指標ではなく、参加者数、相談や支援先への接続など、行動の変化を測ることで理解を得ました」。

また、県が主導する理由や市町村との役割分担については「相談体制の整備として、県が主導してメタバース上に居場所をつくる意義はあると考えています」と川端さん。その意義について、共通フロア運営に関わる水野さんは「県が子どもたちの興味関心を高める共通プログラムを用意し、参加のきっかけをつくる。市町村が個々の様子を見守り、寄り添い支援を行う。そうした県と市町村の連携体制を構築しました」と話す。

その後、プロポーザルを実施。提案内容を総合的に評価し、同サービスの採用が決定した。導入後、初年度の利用者アンケートでは、“事業を評価できる(保護者)”“参加してよかった(児童生徒)”の回答がいずれも約85%となったそうだ。

指導主事の髙𣘺さんは「初年度の参加は35自治体でしたが、そうした声を受け令和8年度は50自治体へと拡大しました。県内全ての子どもたちにこの環境を届けるため市町村を訪問し、メタバース空間でできることや、対面支援への入口にもなることなどを説明しています」と話す。同県ではさいたま市のほかにもメタバースを独自運用している市があり、全63市町村の8割以上がメタバースを導入済みとなっている。今後は子どもたちの視野を広げる授業や交流の機会を増やしたいと、展望を語ってくれた。

お問い合わせ

サービス提供元富士ソフト株式会社

神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1-10-10

TEL:0120-964-529
Email:famcampus-info@fsi.co.jp

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