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税務DXで平時の業務を見直し、迅速な災害対応につなげる

罹災証明書の交付を効率化するソリューション
震災を経験し、罹災証明書の交付・被害認定調査業務に苦慮した北広島市。その後は災害対応に関する研修を重ね、平時業務を見直す過程で罹災証明交付業務のDXソリューションを導入。フェーズフリーを推進している。
※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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北広島市
財務部 税務課
主査 宮川 敬(みやかわ たかし)さん
研修で業務知見をもつ職員を増やし、事務の効率化に向けてDXにも着手。
平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震。同市では約50世帯が全半壊した。税務課の4人の職員を中心に、未経験だった罹災証明書の交付・被害認定調査業務に追われたという。「データ整理や、手計算で損害割合の算出を行う中で、担当者は疲弊していました」と宮川さん。
この経験をもとに平時からの備えを強化。知見の確保を目的に、令和元年より研修を開始した。税務・債権管理の初任者が対象の研修や、過去に在籍していた職員も含めた実地での調査研修を実施。令和4年以降は近隣市をはじめ、民間企業などを招いた合同研修も行っている。「業務知見をもつ職員は約50人に増えました。ただし全市的な被害が生じた場合、迅速に調査を終えるには人手が足りません。他自治体からの応援職員の派遣にも限界があるため、業務フローの見直しやデジタル活用が必要だと考えました」。
その過程の一つで、平時業務として行う固定資産税の家屋評価で保有・作成した図面を、住家被害認定調査にも利用できるよう国に要望。その必要性が認められ、令和5年に災害対策基本法が改正された。令和8年3月には、家屋評価図面を有効活用するため、家屋評価システムと、図面などを保管するシステムを更新。さらに「富士フイルムシステムサービス」の「罹災証明迅速化ソリューション」も導入し、連携している。

タブレットによる調査と自動計算で職員の負担とミスのリスクを軽減。
同ソリューションは、家屋図面や写真を一元管理するとともに、損害割合を自動計算し、罹災証明書交付までのプロセスを効率化するもの。複数自治体との共同研究を経て開発され、現場の負担を軽減する機能が盛り込まれている。同市は、タブレットで現地調査ができる点と、損害割合を自動計算できる点に魅力を感じて導入を決めたという。「これまでは紙の図面に被害の範囲や程度を書き込み、面積を出した上で表計算ソフトなどにかけていました。今後はタブレットの入力で済み、手作業による計算の負担やミスが軽減。現地で判断に迷う箇所を撮影し、後から写真をもとに確認・判断できる点も効率的だと思います」。
実地研修で活用すると、1人当たりの調査および損害割合計算に要する時間で、1~2時間の短縮効果が確認された。操作も直感的で、事前説明を受けていない職員も問題なく使えたという。
同市では、書庫などに大量に保管していた過去の家屋評価時の図面を全てデータ化し、新たに導入した図面管理システムに保存。「保管場所や手法の課題が改善されました。ソリューションと連携することで、これらを災害時にも使うことができます。図面の再作成が不要になり、業務の円滑化につながると考えています」。
平時の業務を効率化することが災害時への備えにつながる。
同ソリューションには、災害時だけでなく平時から活用できる機能がある。家屋の増減などを判定する業務では、AIが新旧の空撮画像を比較。同市では、ドローンを使って市内を撮影し、状況確認の作業を効率化するという。「以前は車で一軒ずつ見てまわり、全て確認するのに2~3カ月を要していました。今後は事前に変化の可能性がある場所を絞れるので、現地確認の期間は半分ほどになると見込んでいます」。効率化によって生まれた時間は、これまで取り組めていなかった償却資産の帳簿調査に充て、適正な課税の推進につなげる考えだ。
罹災証明書の交付は被災者支援の出発点であり、速やかに行うことが望まれる。同市では今後も研修を続け、迅速に対応できる体制づくりを目指すという。「災害が起きたときにゼロの状態ではなく、少しでも備えがあれば動きやすいのではないでしょうか。日常の業務が効率化されながら、その積み重ねが災害時にも活かされ、フェーズフリーにつながると感じています」。

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