埼玉県松伏町

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専門機関の支援を受けて、実地調査に必要な知識を組織に受け継いでいく

財政・税・会計
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専門機関の支援を受けて、実地調査に必要な知識を組織に受け継いでいく

外部知見の活用による償却資産業務の専門性向上

人事異動のある自治体で、専門性が求められる償却資産の課税業務をどう継続していくか。松伏町は支援委託を人材育成の機会と位置付け、実地調査などを通じて、職員の実践力を高める取り組みを進めたという。

※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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松伏町
税務課
大塚 瞳(おおつか ひとみ)さん

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松伏町
税務課
藤間 駿(とうま しゅん)さん

制度への正しい理解と定着に向けて適正課税へ向けた取り組みが始動。

自治体の固定資産税業務は、大きく「土地」「家屋」「償却資産」の3つに分けられ、いずれも高い専門性が求められる。小規模な自治体では、家屋担当が償却資産業務を兼務するケースも珍しくなく、同町もそうした体制をとっていた。

背景には、両者の区分が複雑だという事情がある。一般的な建物設備は“家屋”だが、事業用の特殊な設備は“償却資産”になるなど、家屋の評価知識がないと判別が難しい。「課税対象かの判断には、国税や会計などの幅広い知識が必要です。企業の固定資産台帳を読み解く必要があり、税理士でも判断に迷うことがあります」と大塚さん。業務の難しさに加え、人事異動でノウハウが途切れ、組織に蓄積されにくいことも課題だったそうだ。

こうした中、県の調査で、同町の償却資産の税額が同規模の自治体と比べて少ないことが分かった。「償却資産には申告義務がありますが、制度の認知不足から未申告となるケースも少なくありません。申告の有無で税負担に差が生じるのは、公平性の観点から望ましくありません」。

そこで同町は、適正課税に向けて動き出すことに。制度の正しい理解を促す周知や働きかけに加え、申告内容と実態が合っているかの実地調査にも力を入れることにした。しかし、家屋業務との兼務や人員の制約もあり、調査の進め方や判断基準が十分に定着していなかったという。「これまで本格的な調査まで手がまわらず、限定的な対応にとどまっていました。実地調査をどう進めればいいのか、手探りの状態からのスタートでした」。

“丸投げしない”支援委託によって職員が知識を習得し経験を積む。

こうした課題を解決するため、同町が目を向けたのが外部の専門機関による“支援業務委託”だった。目指したのは業務の切り出しではなく、職員自らが調査を進められる判断力を培うこと。「委託するだけでは職員に知識が残らず、その年限りで終わってしまいます。予算が毎年確保できる保証もなかったので、組織として自走できる体制をつくることを重視しました」と藤間さん。

令和7年度に公募型プロポーザルを実施し委託先を決定。実地調査計画の策定や調査対象企業の選定への支援、相談、研修対応など、職員が実務を進めるための支援内容を盛り込んだ。

実際の取り組みでは、年5回の対面指導を通じて段階的に進めた。実地調査は、固定資産台帳などを分析する書面調査と、それでは判断できない現物を確かめる現地調査の2段階で進行。進める中で判断に迷うことがあれば、その都度相談し、一つひとつ疑問を解消しながら理解を深めていった。

研修では、申告漏れ資産の見極めや家屋との区分など、実務に即した講義やグループワークを実施。近隣自治体にも参加を呼びかけ、一緒に学ぶ機会を設けた。法人税の申告や企業会計などの専門知識も得られたという。「普段の業務ではなかなか聞けない話も多く、新たな学びがありました」。

▲手元の資料と画面を突き合わせ、課税対象の確認を行う。
▲手元の資料と画面を突き合わせ、課税対象の確認を行う。

外部の知見を活用しながら調査を継続できる組織へ。

大きな成果となったのが、これまで着手が難しかった現地調査を実施できたことだと大塚さん。「書面上の設備名称だけでは判断できない場合も多く、現場で確認することの重要性を実感しました。現物を見た上で判断すれば、課税対象となる理由を根拠にもとづいて説明できます」。また、職員間で償却資産への理解を深めようという意識の変化が生まれたことも収穫だったという。

令和8年度は、同じ委託先と随意契約を結びつつ、前年度の取り組みを踏まえて委託する業務範囲を縮小した。調査を一通り経験したことで、対象企業の選定など、職員だけで対応できるものは自ら進めるようにしている。今後について藤間さんは、「得られた知識を組織に受け継いでいくためにも、委託は継続していきたいですね。今後はこれまでの学びを整理し、マニュアルをつくる予定です」と意気込む。

こうした調査は制度への理解を広げ、適切な申告を促す役割も担う。一部の税理士の間では、自治体による実地調査の動きが話題にのぼるなど、適正な申告に向けた意識の変化や捉え直しが広がりつつあるという。「実地調査が全国に広がることで、適正課税につながっていくのではないでしょうか」。

外部の知見を職員の成長と組織の力につなげる。こうした自走を後押しする支援委託は、持続可能な自治体運営として今後さらに広がりを見せそうだ。

予算情報

令和7年度 162万8,000円
「松伏町償却資産実地調査計画策定及び実地調査等支援業務委託」として




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