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【セミナーレポート】 長沼町に学ぶ、「経費削減」×「職員満足度」×「行政サービス向上」を生み出す方程式とは?

財政・税・会計
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【セミナーレポート】 長沼町に学ぶ、「経費削減」×「職員満足度」×「行政サービス向上」を生み出す方程式とは?

毎年のように求められる「コスト削減」。そんな課題に対し、北海道長沼町は“印刷環境の最適化”による行政改革に取り組みました。本セミナーでは、改革を先導した職員のリアルな声とともに、その実例を紹介します。

さらに、エプソン販売株式会社の最新機器や行政改革の戦略についても解説。「やらされ感のあるコスト削減」から「現場に感謝される行財政改革」へ——その転換のヒントをお伝えします。

概要
■テーマ:長沼町に学ぶ、「経費削減」×「職員満足度」×「行政サービス向上」を生み出す方程式とは?
■実施日:令和7年11月20日(木)
■参加対象:無料
■申込者数:57人
■プログラム
<Program1>【長沼町】6年間で2,000万円コスト削減⁉
<Program2>バックオフィス業務コストの削減に繋がる エプソンのインクジェット複合機のご紹介
<Program3>バックオフィスから始める自治体改革:『共創する自治体に進化する』

【長沼町】6年間で2,000万円コスト削減⁉

第1部に登壇したのは、長沼町役場総務財政課の荒島卓也氏。事務作業における「印刷」部分の業務効率改革として、エプソンのスマートチャージにすべてを集約させた経緯と導入後の変化を伺った。

学校法人先端教育機構出典元:月間事業構想
学校法人先端教育機構出典元:月間事業構想

【講師】
荒島 卓也 氏
長沼町役場 総務財政課
財政管財係長

税務、法制、人事、採用、町長秘書を担当し、2021年4月から財政担当。予算編成を統括し、予算の組み方から抜本的に見直しを図ることで、長沼町の財政状況の改善に成功。財務関連の事務の見直しにも着手し、全職員を対象とした財務に関する事務の効率化を実現。 【研究成果】『附属機関の整理(地方公務員法第3条第3項第2号の特別職の整理)』※全国町村会法務支援室と共同研究

エプソンのスマートチャージ導入経緯

長沼町役場の総務財政課では、モノクロレーザープリンターが3台、カラーレーザープリンターが1台、FAX専用の受信機が1台……と、全64台の印刷機器を運用していました。

こうした消耗品はいずれ更新期を迎えますが、すべて取り替えるには大幅なコストがかかってしまいます。どうしたらいいかと悩んでいるときに機能を1台に集約したエプソンの「スマートチャージ」に出会ったのです。2年かけて導入し、現在では12台で運用することができています。

今回導入した「LX-10050MF」はモノクロレーザープリンター、カラーレーザープリンター、FAX、コピー機、印刷機(共有)の機能を1台でカバーするというもの。1分間に100枚を印刷できる高速インクジェットプリンターで、従来のレーザープリンターと比べても印刷速度・性能ともに大きく向上しています。また「省電力で運用コストが安い」「紙詰まりがほとんど発生しない」といった点も魅力です。

さらに、インク残量を自動で検知し、センターから自動配送される仕組みになっているのもポイントです。そのため「トナー発注」「見積もり合わせ」「在庫管理」といった事務作業がすべて不要になり、業務負担が軽減されました。

スマートチャージ導入効果

今回、講演タイトルに「6年間で2,000万円コスト削減」と謳っています。この内訳ですが、まず1点目は、従来のレーザープリンターを更新し続けた場合と比較した場合の差額で、約1,000万円。そして2点目が、印刷にかかるランニングコスト——つまりトナー代がインク代に変わったことによる削減が約1,000万円。この2つを合わせて、合計約2,000万円の削減効果が得られる見込みとなっています。

節電効果・電気代に関しては、年間70万円の電気代削減という結果が出ています。なぜなら、高い熱を使うレーザープリンターに比べ、インクジェットプリンターは一切熱を使わないからです。ここでご説明している金額は「使用量×電気単価」で算出した数字のため、実質的な削減額はさらに大きいと考えています。

具体的な効果を紹介します。本庁舎へスマートチャージを8台導入したのが2023年3月17日のこと。庁舎にはサーバー室などもあるため、基礎電力は約600kWh。通常業務での消費量は、そこに加えて300kWhほどでした。ところが、スマートチャージを導入した翌週から、この通常消費分が約100kWhも一気に減少したのです。照明を消したり、エレベーター使用を控えたりといった取り組みではどうしても下がらなかった電力が、プリンターを変えただけでここまで減るのは大きな驚きでした。

さらに、意外と大きいのが事務作業の削減効果です。従来は各担当がバラバラにレーザープリンターを使い、トナーが切れるたびに発注し、自治体によっては見積り合わせまで必要でした。今回のスマートチャージでは財政部門が一括発注し、カウント方式のため請求書は毎月1枚だけ。導入前(令和4年度)の決算統計を調べると、トナー関係の伝票は421枚に対し、現在はわずか12枚にまで減っています。

さらに、省スペース化にも効果をもたらしました。自治体では、トナーを買い溜めする傾向があるため、どうしてもトナー置き場が山のようになってしまいがちです。しかし、スマートチャージにしてからは状況が一変。必要なのは4色の小さなインクタンクだけで、残量を自動検知して配送されるため、ムダな買い溜めが不要になりました。機器更新の際に大量のトナーを廃棄する心配もなくなっています。

税務分野での具体的な効果

長沼町役場では、他の自治体と同様に通常のインターネットにつながるパソコンとは別に、閉域ネットワークを持っています。それぞれ独立したネットワークのため、これまではレーザープリンターも2系統で設置する必要がありました。——しかし今回のスマートチャージは、LANの拡張ポートを複数搭載しており、2つのネットワークを1台で扱えるという特徴があります。

また、税務の現場では住民全員分の納税通知書を大量に印刷します。従来のレーザープリンターでは、担当者がなるべく速い機種を選んでも別室で1.5〜2日間かかっていました。しかし、スマートチャージ導入後は自席からわずか2時間で完了するようになりました。

さらにスマートチャージは非常に高精細で、細かいバーコードも正確に印刷可能です。品質面でも十分に行政利用に耐えうることが確認されています。

DXは業務改善してこそ

国では電子決裁が徹底されていますが、自治体業務はほとんどが住民からの紙の申請でスタートします。そのため、紙→電子→紙→電子という“往復”が生まれ、電子化だけでは効率化にならないのが現実です。長沼町では、紙で業務を完結→最後の保存だけスマートチャージで一括スキャンという、現実に即した運用を採用しています。

また、支出伝票も大きく削減され、421枚 → 12枚、約200時間削減という成果が出ています。

つまり、DX=電子化ではなく、業務そのものを改善することが重要であり、スマートチャージがその実現を後押しした、ということになります。

導入後の気づき

最後に、子ども関連部署の導入効果を紹介します。長沼町では、保育園・児童センター・子ども育成課にスマートチャージを導入しました。以前は大量印刷のたびに、子どものお昼寝の時間に2km離れた庁舎へ往復しており、庁舎の高速機が塞がっていると印刷できず、何度も出直す状況だったそうです。しかし、スマートチャージを直接配置したことで 施設内で高速印刷が完結し、業務負担が大幅に軽減されたと聞いています。保育士さんからは「子どもがいるからこそ園を離れられず、つらかった」という声もあり、職員数ではなく“業務の性質”に応じて機器を選ぶ重要性を改めて実感しました。

このほかにも、地域の方や職員からありがたい声をいただいています。特に、85歳のおばあちゃんから「配布されるプリントが見やすくなった」と喜ばれたときはうれしかったです。綺麗なものを高品質で低コストで提供するのも、自治体職員の仕事ではないかと感じます。もっと「ありがとう」と言われる場面を増やしていきたいですね。

【参加者とのQ&A】

  1. Q.機器数削減により、職員の各プリンターまでの移動距離が大きくなっていると思いますが、職員から反対はありましたか。
  1. A.導入前は機器数の減少による、「プリンターの混雑」「プリンターまでの距離」を心配する声が寄せられていました。そのような不安に対応するため、スマートチャージ導入の際に、あえて既存レーザープリンターを回収しないで、各課に1台のスマートチャージを新たに追加で設置しました。私からは、「スマートチャージ推奨ですが、どちらを使われてもOKですよ」とアナウンスをしました。

    結果、スマートチャージの圧倒的な印刷スピードと、高品質な仕上がりにほぼ全職員が、近くにあるレーザープリンターではなく、自ら進んで少し遠くあるスマートチャージを選択するようになりました。
    これにより、「プリンターを減らされた感」のマイナスイメージから、「高性能の機器を自分の課に入れてもらえた」という喜びのイメージに変えることができました。(既存レーザープリンターは職員が使用しなくなった頃合いを見て撤去しました)

    従来はレーザープリンターでページ数の多いものを印刷すると、印刷ボタンを押してから、印刷完了まで時間があるため、自席で印刷が終わるころを見計らって、プリンターに取りに行く習慣でしたが、スマートチャージは印刷ボタンを押してから、機器に取りに行くまでに既に印刷が完了してしまうことから、長沼町役場の職員は、印刷ボタンを押すとすぐ席を立ってプリンターに向かうという習慣が自然と身についてしまいました。そのため、職員がすぐに印刷物を取得するため、プリンターを集約したにもかかわらず、印刷物の混在は、従前より減るという、予想外の結果となりました。
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  1. Q.印刷環境の最適化で苦労したこと、現在感じている改善点を教えていただきたいです。
  1. A.プリンター台数を削減することへの、職員からのハレーションや不満への心配が大きかったことを覚えています。また、すべてをインクジェットにすることは初めての試みですので、その不安もありました。
    台数削減は上記回答の通りで、逆に好評の事案となり、現在では、スマートチャージが導入さていない別部門(公営企業、一部事務組合)からも、逆にレーザープリンターからスマートチャージに集約したいと声が上がっているくらいです。

    また、インクジェットに対する評価ですが、一般家庭で使用するようなインクジェットとは違いスマートチャージは、にじみがほとんどなく高精細ですので、インクジェットに対するイメージも変わりました。セミナーで税の納付書にも活用していることをご紹介しましたが、金融機関や各システムのベンターのSEからは、事前の相談では「インクジェットは難しいのではないか」との懸念が寄せられていました。実際にスマートチャージで納付書を出力していただき、印刷物を確認いただいたところこちらも「インクジェットのイメージが変わった。素晴らしい機械ですね。」との声をいただきました。
    現行の運用では改善点は見当たりませんが、ひとつだけ反省点があるとするならば、初年度に8台、2年目に1台、3年目に3台と少しずつ増やしたため、次回の更新のタイミングにずれが生じています。本来であれば、ここまで好循環を生む機器なら、当初に全台導入しておけばよかったと後悔しています。
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  1. Q.納付書(その他指定用紙等)の印刷については、エプソン複合機で印刷してもベンダー・金融機関としても問題ないという結果だったのでしょうか。
  1. A.ベンダーは実施前はインクジェットはちょっと・・・と印象でしたが、実際に印刷物をご覧いただて高品質な仕上がりでOKとなりました。金融機関は意外とあっさりOKでした。
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  1. Q.納付書(その他指定用紙等)の印刷テストをされていましたら、苦慮した点・気を付けるべき点はございますか。
  1. A.全く苦慮するようなシチュエーションは発生しておりません。
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  1. Q.集約すると原課の職員から少なからず反発があったかと思います。職員の説得はどのようにされたのでしょうか。
  1. A.機器の導入前の調整の段階では、やはりプリンターまでの距離の不満が一番多くありました。しかし、印刷品質と印刷速度が圧倒的に改善したため、導入後の不満は全くありませんでした。台数の縮小というマイナス要因を、機能向上が飲み込んだ印象です。
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バックオフィス業務コストの削減に繋がるエプソンのインクジェット複合機のご紹介

第2部に登壇したのは、エプソン販売株式会社の永沼開登氏。エプソンのインクジェット複合機を活用した、バックオフィス業務のコスト構造改革と環境負荷低減の可能性についてご紹介します。

プロフィール画像

【講師】
永沼 開登 氏
エプソン販売株式会社
ビジネス営業企画部 業種企画担当

エプソン販売に入社後、ビジネス営業本部にて自治体や民間企業への課題解決に向けた伴走支援に従事。現在はビジネス営業企画部の業種企画を担当し、自治体分野で培った現場視点と業務理解を基盤に、調達業務の最適化やDX推進、バックオフィス領域のコスト構造改革を支援。

インクジェット方式の複合機がお役に立てること

今回長沼町役場様に導入いただいたのは、インクジェット方式の複合機です。多くの自治体では長年レーザー方式を利用していると思いますが、インクジェット方式に切り替えることで消費電力を大幅に抑え、CO₂排出量を約47%削減できます。

では、なぜこのような削減効果が生まれるのでしょうか。インクジェット方式が低消費電力なのは、印刷工程で熱を使わない構造になっているためです。イメージとしては、レーザー方式は紙にトナーの粉をのせて、熱で焼き付けるような仕組みです。一方、インクジェット方式は、用紙にインクを吐き出すだけのシンプルな印刷工程で、熱を使いません。消費電力が少ないということは、燃料消費やCO₂排出量の削減につながり、環境負荷を大きく減らせます。

また、ウォームアップが不要なため、印刷開始までの待ち時間が短いことも業務効率化につながるポイントです。

こちらはインクジェット方式に切り替えた場合の削減イメージです。左の円グラフにある通り、一般的なオフィスではプリンター複合機が全体の約10%の電力を占めています。現在レーザー方式をご使用中であれば、インクジェット方式に切り替えることで、庁舎全体で見ると約5%の電力削減を見込むことができます。

さらにインクジェットの技術も大きく進化しています。
例えば、水に滲みにくい顔料インクを採用しているため、住民の皆様に向けた通知や証明書など重要な印刷物でも安心してご利用いただけます。
結果として、環境に優しいだけでなく、運用面でもメリットがあります。印刷単価も抑えられるため、庁舎全体のコスト負担を軽減する効果も期待できます。

製品ラインナップ

自治体様のさまざまな利用環境に対応できるよう、幅広い機種を取り揃えています。
印刷室や大量印刷が必要な部署向けには、1分間に最速100枚の印刷が可能な高速タイプから、窓口業務など限られたスペースでの利用に向けた、卓上タイプもラインアップしています。

このように、執務室、印刷室、出先庁舎など、庁舎全体の業務フローに合わせて最適な機器配置をご紹介できます。

エプソンができること

前提として、私たちは「いきなり複合機をすべて入れ替えるのは難しい」という点を重々承知しています。そこで、将来的な入れ替えに向けて、よく自治体様から伺うお困り事にあわせた支援を提供しています。

1:機器稼働状況の可視化
ネットワーク経由で印刷情報を収集できる機器を一定期間設置し、データを見える化します。この仕組みはエプソン製品だけでなく、他社製の複合機やプリンターにも対応しています。収集できる情報は、印刷枚数のカラー/モノクロ別内訳、コピーやFAXの利用状況など、詳細な内容まで確認できます。

設置はネットワーク単位で実施しますので、LGWAN系・インターネット系・住基系の3層分離環境にも、3台の機器で対応できます。必要に応じて、情報システム部門への説明もエプソン側で対応しますので安心してお任せください。

また、ネットワークに接続していない印刷室の機器や執務室の複合機については、庁舎を訪問して実地調査を行うことも可能です。
このように、庁舎全体の印刷環境を正確に把握することで、最適な機器配置や削減効果の検討をサポートします。

2:消費電力量の実態可視化
ワットチェッカーという測定器を複合機とコンセントの間に差し込むだけで、ネットワークを経由せずに簡単に計測できます。期間中に実際に使用した電力量を計測するため、自治体様の実態に即した数値を取得できます。消費電力だけでなく、印刷コストのシミュレーションをご希望の場合はそちらも併せてご提供可能です。

3:最新インクジェット複合機の無償貸し出し
現状を可視化していただき、定量的なコスト面でのメリットが明確になってもなかなかインクジェット方式の入替に踏み切れないというお声を頂戴します。
このような場合は、無償で最新のインクジェット複合機をお貸し出しします。貸出期間中のインク代やメンテナンス費用は不要で、自治体様には用紙をご準備いただくだけで体験可能です。

この機会に、インクジェット複合機の性能を実際にご体感ください。

バックオフィスから始める自治体改革:『共創する自治体に進化する』

第3部に登壇したのは、組織変革を支援するあまねキャリア株式会社の代表取締役・沢渡あまね氏。バックオフィス発の改革を成功に導く「3つの戦略的な投資」を解説してもらった。

プロフィール画像

【講師】
沢渡 あまね 氏
あまねキャリア株式会社
代表取締役

作家・企業顧問/組織開発&ワークスタイル専門家。一般社団法人ダム際ワーキング協会代表、『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰。磐田市”学び×共創”アンバサダー。大手企業人事部門・開発部門、食品製造業ほか顧問。労働法大改正戦略コンソーシアム総合顧問、プロティアン・キャリア協会アンバサダー、DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなど(情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などを経験)を経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書:『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『組織の体質を現場から変える100の方法』『「推される部署」になろう』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』『マネージャーの問題地図』『業務デザインの発想法』趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング推進者。

景色を変えて、組織を変える

私たちは組織開発を専門とする企業で「景色を変えて、組織を変える」をミッションに、全国400以上の企業・自治体の組織変革を支援してきました。

私たちの拠点は浜松ではありますが、静岡・愛知・長野などの県境をまたぎながら、
行政・企業を巻き込み、越境して学び、共創する文化づくりを行ってきました。今日はそのような立場から、「推される自治体」をどう作っていくかというお話をさせていただきたいと思っています。

推される自治体になるために必要なこと

推される自治体、進化する自治体になるには、3つの投資が必要です。

1:環境改善への投資
私は全国の自治体や企業で「カラフルな組織・地域をつくっていこう」という話をしています。しかし、良くも悪くも製造業文化が強く、固定観念に縛られがちな地域は多い。そこで必要なのは、地域に面白い仕事を増やすことだと考えています。

地域に面白い仕事が増えると「この地域に関わってみたい」と感じるファンとしての関係人口が増えていきます。そうなると、行政と民間、地域の内と外が越境しながら共創し、結果として組織や地域の文化度が上がるのです。

私たちは言うだけでなく、実際に実践もしています。例えば、グローバル企業・Slack Japanのマーケティングイベントを「東京ではなく浜松でやりましょう」と働きかけて実現しました。また、NTTグループ4〜5社のDXイベントも、「浜松初で全国配信した方がテレワーク推進の説得力がある」と提案し、浜松で開催していただきました。

決められた仕事を、目の前のタスクだけをこなすやり方では、こうした化学反応は絶対に起きません。だからこそ「皆さんの地域では、どこに風穴をあけていきますか?」という問いを、今日は投げかけたいと思います。

2:カルチャー変革への投資
このように新しい行動を取り入れていくと、文化や人の行動様式、固定観念がやわらかく溶けていきます。その結果、さまざまな人とつながり、「共創」が進むという状態が生まれます。この点については、私と東北工業大学の下總良則先生で執筆した『チームプレイの天才』の中でも解説していますので、ぜひご一読ください。

長沼町役場・荒島氏の言葉にも、共創の行動があらわれていました。それは「ありがとうと言われる場面を増やしたい」というもの。相手をリスペクトする・相手からリスペクトされる状態をつくる——こうした基本行動をインストールすると、地域や部署の「ファン」=心地よく共創したくなる相手が増えていきます。

3:育成への投資
共創を進めるためには、プロジェクトマネジメント力が必要です。そこで、私たちは磐田市職員向けのプロジェクトマネジメント研修を行いました。磐田市では「市長が“共創のまちづくり”を掲げる一方、職員はまだ共創の動きに慣れていない」という課題がありました。そこで、市長の大きなビジョンを正しく捉え、タスクに分解し、役割分担をしながら確実にゴールをする力を身につけるために実施したのです。

プロジェクトマネジメント力が育つと「職員ができることが増える」「仕事の意外な面白さに気づく」「ファシリテーターになる」といった効果が期待できます。今日、荒島氏が楽しそうに取り組みを語っていたように、「面白い仕事」「まだ気づいていない価値」に出会える行政になっていくのです。

「3つの空白」も大切

また、私は「余白のデザイン」も大切だと考えています。1つめは「空間の余白」。例えば最新プリンターで省スペース化が進むと、空いた空間から対話が生まれます。「どんな地域にしたいか」「どんな未来を描きたいか」といった内発的な動きが、共創を生むのです。

2つめは「時間の余白」。業務時間が減れば、未来の対話やアイデアづくりに時間が使えます。この変化こそが、組織の変化を生むのです。そして、最後に「心の余白」。空間と時間が整うと、心に余裕が生まれます。公務員の皆さんが外に出て、ファンを増やす行動ができるようになる。そして、これが地域の力になるのです。

さあ、みなさんはどこから余白をつくりますか。景色が変われば、組織が変わる。地域が変わる。一緒に未来の景色をつくっていきましょう。