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埼玉県三郷市

公開型GIS導入による市民サービスの向上及び窓口業務改善に伴う職員の負担軽減【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。今回はその中から、埼玉県三郷市の「公開型GIS(地理情報システム)導入による市民サービスの向上及び窓口業務改善に伴う職員の負担軽減」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

・平成25年度に導入した統合型GISにある地図情報の一部を、広く一般に公開することで、従来は取得のために来庁が必要だった各種図面をホームページから取得できるようにした。

背景・目的

・本市では、平成25年度にそれまでの個別GISを集約した統合型GISを導入し、組織内で地図情報を共有できる取り組みを推進した。

・開発行為、建築等に付随する道路や下水道に関する事業者からの問合せへの電話及び窓口での対応、また各種図面の交付事務が多く、職員の負担となっていた。

・公開型GIS導入による効果として、積極的な情報公開による市民サービス向上と窓口業務の改善に伴う
職員の負担軽減とを併せて進められることが期待された。

取り組みの具体的内容

・統合型GISにある地図情報の中から、公開することで市民等の利便性を高められ、かつ職員の事務負担を
軽減する効果が期待される下記の5図面をホームページ上で公開した。

  都市計画情報
  認定路線網図
  参考地番図
  公園マップ
  下水道台帳

特徴

・本市では作成した多種多様な図面をPDF化し、市ホームページに掲載することにより広く住民等に提供しているが、掲載場所が分かれていることもあり、必要な情報になかなかたどり着けないこともあった。

・しかし、各図面を公開型GISへ集約し、掲載することにより、住民は必要な情報にアクセスしやすくなり、住民サービスの向上に繋がるものである。

・職員が、現場調査など庁舎外でも公開型GISを通じて必要な情報を得られるようになり、業務の即時性を高めることができた。

取り組みの効果・費用

・窓口での調査件数や電話での問合わせ件数が減少し、職員の負担を軽減することができた。

   導入前:来庁→図面閲覧→印刷→図面の交付及び手数料等受領

   導入後:部署によっては導入前に月平均60件あった問合わせの件数が、月30件程度にまで減少した。
       ⇒ 住民等(特に事業者)の公開型GIS利用が進んだ。
       来庁 → 自宅等で公開型GISの図面を閲覧(図面は市民等が自らのプリンター等で印刷)。
       電話問合わせ → 電話等で、公開型GISの図面をお互いに見ながら説明。

・現場調査等の際に活用できる。

   導入前:図面を印刷してから現場に行く。不足する図面等があれば、後日再調査が必要なこともある。

   導入後:手元のスマートフォン等で適宜図面を確認しながら現場調査が可能になった。

・休日や夜間に問合わせがあった場合又は職員が庁舎外にいるときに緊急対応が必要となった場合にも、施設等の状況をスマートフォン等から確認することができるため、迅速な対応が可能となった。

取り組みを進めていく中での課題・問題点

・公開する図面については、個人情報保護と利便性向上とのバランスを考えた上で決定することが必要である。なお、このバランスは、時代とともに変化をするので、柔軟に対応することも大切である。

・統合型GISの運用ルールを、地図情報の公開を前提としたものに改め、明確化する必要がある。

・統合型GISの操作技術は、個人の技量や熱意により習熟度に差がある。そのため、職員の利用を促進し、公開する図面を一層充実させるためには、定期的な研修を実施するなどのほか体系的な学習方法を提示する必要がある。

今後の予定・構想

・現在市ホームページ上で公開しているPDF形式の図面等について、公開型GISへの集約化を進める。

・現在紙で保有している図面等について、統合型GISへの移行を促すことで、部署間での共有を進め、業務改善に繋げていく。あわせて、公開型GISの更なる展開を図っていく。

・タブレット端末等の台数を増やし、現場調査等での利用を拡大する。

・仮名(匿名)化した住民情報を統合型GISに取り込み、高度な統計地図の作成を可能とすることにより、EBPM推進に繋げる。

他団体へのアドバイス

・本市より前に多くの自治体で公開型GISは導入されており、災害対応にも利用され成果を上げている例もあるとのことです。住民が安心安全かつ快適に暮らせるようにすることは自治体の使命であり、公開型GISはその実現に寄与するものと考えられます。また、窓口業務の効率化が図れるなどDX推進の観点からみても公開型GISは有効であると思われますので、ぜひ取り組んでみてください。

【三郷市地図情報システムについて】
https://www.city.misato.lg.jp/soshiki/kikakuseisakubu/johoseisaku/1/9418.html
【三郷市地図情報システム】
https://www.sonicweb-asp.jp/misato/

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