ジチタイワークス

埼玉県草加市

地方公務員アワード2024受賞!草加市の安高昌輝さんにインタビュー。

Special Interview
「地方公務員アワード2024」× ジチタイワークス

株式会社ホルグ主宰「地方公務員が本当にすごい! と思う地方公務員アワード2024」で表彰され、さらに本誌の特別協賛社賞を獲得した安高さん。その取り組みや思いについて聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.35(2024年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

埼玉県草加市
市長付みらい戦略担当 兼 市長室広報課 主査
安高 昌輝さん

やすたか まさき:草加市出身。大学を卒業後、2011年、市役所に入庁。市民税課を皮切りに、産業振興課や広報課を経験。現在はシティプロモーションなどに取り組んでいる。


マンガの主人公のように、仲間と苦難を乗り越え、挑戦の物語を紡ぐ。

Q. 審査員から周囲を巻き込む力を主人公のようだと評されましたね。

信念をもって動いていれば、やがて周囲も理解を示し、協力してくれるようになると思っています。途中で信念を曲げてしまうと誰からも信用されなくなるので、自分がぶれないことが大切です。ただし、それを周囲に押し付けるつもりはありません。

実は、かつて自分の考えを主張しすぎて周囲と衝突した経験があります。高校生の頃、市子連の役員に就任したのですが、役員の大半は40代から70代。イベントの準備などは自分たち学生メンバーがやったのに、肝心なところで水を差されて口論になったことも。もともと何でも抱え込むタイプで、当時は“自分たちが全てやっている”という自負もあった。人を巻き込むのが苦手だったからこそ、意識的に克服していったのです。

※草加市子ども会育成者連絡協議会

Q. 周囲をどう説得していますか?

立場や背景が異なる人たちと関わってきた経験から、相手を見てアプローチの仕方を変えるようになりました。熱意をもって伝えるべきか、それとも論理的に話すべきか。最初は“この人は理論派かな?”などと見当を付けて、ジャブを打つ。その反応を見ながら次の手を考えます。また、組織全体を見て、誰からどのように説得していくべきか考えるなど、自分なりに戦略的に動いています。

市民税課での取り組みでは、最初に「給与支払報告書を提出していない事業者がいるのでは?」という疑念をもちました。しかし、税関係のミスは許されないので、組織としては慎重に対応せざるを得ません。そこで、「公平課税が担保されなければ、市が信用を失ってしまう。苦情は全て自分が対応するから、まずは1事業者だけでも調査させてください」と上司や先輩に訴え、説得に成功。そうして周囲の協力を得て、3年後には全事業所の調査を実施するように。今でもこの取り組みは、市民税課で継続されています。

Q. 入庁直後から改善を重ねていく、安高さんの実行力の源は?

大学3年生の頃まで、公務員には絶対になりたくないと思っていました。当時は公務員バッシングがひどくて……。一方で、外から文句を言うことにも違和感がありました。今思うと生意気ですが、“それなら自分が変えてやる!”という反骨精神で入庁したんです。それが実行力につながっているのかもしれません。ただ、入庁してみたら、市民税課の先輩たちは夜遅くまで残業するのが当たり前。偏見だったと心から反省しました。

また、産業振興課で担当した「リノベーションまちづくり」では、参加者の熱意に動かされましたね。事業を始めるとなると、参加者は借金を背負い、人生をかけることになる。もちろん、市が投入した税金もムダにはできません。そこで“1年以内に100%事業化すること”を目指し、土日も関係なく伴走。参加者からは「あのとき安高君がいなかったら今はない」という言葉をかけてもらったこともあります。

Q. 配属された部署を問わず活躍できる理由は?

“まちをよくしたい”という大きな目標があるので、異動しても“この部署でまちのためにできることは何だろう”と考えます。目標を大きく掲げていれば、どこに配属されてもおのずとやりたいことが見えてくる。

広報課では、まちの人に草加を好きになってもらおうと、広報紙のリニューアルに取り組みました。目指したのは、若い人が読みたくなる広報紙。まず特集の予算をもっていた産業振興課の課長に、「いいものをつくるので私たちに予算をください」と交渉(笑)。ライティングや撮影などは、それぞれ得意な課員に依頼して、広報課全員でつくりあげた冊子です。発行後のアンケートでは、80%以上の市民が“前よりよくなった”と言ってくれました。

Q. 最後に今回の受賞の感想をお願いします。

この賞は、自分の努力で獲得できるものではなく、周囲が“推薦したい”と思って初めて取れるもの。そういう人になりたいと思ってやってきたので、評価してもらえたのは素直にうれしいですね。受賞を知って、たくさんの人が祝福してくれました。会ったこともないのに、ニュースを見てわざわざ電話をくれた住民もいて、これまでやってきたことが認められたと感じます。

せっかく受賞させてもらったので、“頑張ることは恥ずかしい”“熱い思いをもつのはダサい”という考えを壊していきたいですね。若い職員には“頑張ってもどうせ給与は変わらないのに……”と思うのではなく、“頑張って結果を出すのはカッコイイ!”と思ってもらいたい。そのために、これからも自分が率先して動いていくつもりです。

 

 

2000-継続中 子ども会

高校2年生で市子連の役員に!

■人手不足で存続の危機にあったため、当時高校生の安高さんが手を挙げて役員に就任。

■2年後、草加市子ども会を設立。保護者の代わりに、中学生・高校生・大学生が中心となって運営する体制を築く。

■現在も市子連の副会長、市子ども会の相談役を務める。

 

2011-2017 市民税課

約5,000万円の税収増に貢献

■住民に対して行う未申告調査の結果、市に給与支払報告書を提出していない事業者がいることに気づく。

■最初に調査した1社だけで、約700万円分の未申告(過去3年間分)を指摘。

■3年かけて、1人でも未申告が判明した事業者は全て調査するように。

■年間約5,000万円ほどの税収増につながる。

 

2017-2019 産業振興課

在籍した2年間で6案件が事業化

■空き物件を利活用する、リノベーションまちづくり。「この事業で、まちが変わる!」と確信し、課員と奮闘。

■事業計画の策定・資金調達・工事・宣伝などを伴走支援。

■「草加はオシャレなまち」「好きな場所がたくさんある」という移住者の声も寄せられている。

 

2023-今に至る 広報課

読みたくなる広報紙をつくる!

■読者のペルソナを32歳の女性に設定して制作スタート。

■熱意をもって思いを伝え、広報課全員を巻き込むことに成功。

■「令和6年 全国広報コンクール埼玉県審査」の広報紙部門で見事2位に輝いた。

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