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公務員にオススメの資格6選!難易度とメリットを比較し、キャリアアップにつなげよう

公務員として日々の業務をこなしていく中で、専門性を高めることやキャリアアップを目指すために資格取得を検討している職員は多いのではないだろうか。

しかし、どの資格を取るべきか、また資格が本当に仕事に役立つのか悩むこともあるだろう。本記事では、公務員が資格を取得するメリットや、オススメの資格について詳しく解説する。

資格取得をきっかけに自身のキャリアを広げ、業務に役立てるための参考にしてほしい。

【目次】
 • 公務員が資格を取るメリットとは?

 • どの資格を取るか考えるときに確認したいポイント
 • 働きながら取得!公務員にオススメの資格4選
 • 働きながら取るのは難しいが、努力すれば可能な資格2選
 • 働きながら取るのはかなり難しい資格
 • 仕事をしながら勉強する工夫とは
 • 仕事の幅が広がり、キャリアアップにもつながる公務員の資格取得

※掲載情報は公開日時点のものです。

 監修 

 庄田 秀人(しょうだ ひでと)さん
 石川県加賀市 政策企画部 企画課

 2001年入庁。人事担当課、障害担当課を経て、DX推進担当課では全国初の市内3Dマップ化プロジェクトなどを推進。資格取得を通して人生の幅を広げ、公務員の仕事の楽しさを知ってほしいと考えている。「公務員試験受験ジャーナル 7年度試験対応」(実務教育出版)にて、「加賀市職員が見た能登半島地震」を連載中。

保有資格
社会保険労務士、法務検定スタンダード、年金アドバイザー3級、加賀ふるさと検定上級、2級FP技能士、第一種衛生管理者、G検定など

公務員が資格を取るメリットとは?

公務員が資格を取るメリットとは?

公務員の資格取得は、業務における専門性を高め、キャリアアップにつながる可能性がある。まずは資格取得のメリットを見ていこう。

日頃の業務に活かせる!

資格を取得することで専門性が向上し、高度なスキルを求められる業務や職場に配置される可能性が高まる。

例えば、IT関連の資格をもっていれば、自治体のデジタル化推進プロジェクトにおいて重要な役割を任されるかもしれない。ファイナンシャル・プランナーの資格を取得すれば、社会保障関係の部署や市民税課、専門的な知識が求められる業務に活かせるだろう。

専門性をもつことでキャリアアップも視野に

資格取得により、今後のキャリアアップも視野に入れることが可能だ。

資格は、自己のスキルを証明する客観的な基準となり、新たな職務に挑戦する際にも役立つ。特に異動の際には、専門知識をもっていることが大きな強みとなるだろう。

どの資格を取るか考えるときに確認したいポイント

資格取得の勉強には、受験料や参考書、通信教材などの費用がかかる。また、難易度によっては働きながら勉強するのは困難かもしれない。以下の2つのポイントを事前に確認しておこう。

資格を取るのに必要な金額

資格取得には、受験料や参考書、通信教材、専門学校など、様々な費用がかかる。資格によっては受験料が高額になることもあるため、事前に費用を確認しておこう。また、自動車免許のように更新料(年会費)がかかる資格もあるため、思わぬ出費にならないよう注意が必要だ。

資格の難関度

資格の難易度は、合格率や学習内容に応じて異なるため、自分がどれだけの時間を学習に割けるかを考慮して選択しよう。働きながら資格を取得する場合、負担が少ない資格から始めることも一つの方法だ。各資格の難易度や合格率を調べ、自分に合った資格を選ぶことが、資格取得への近道となる。

働きながら取得!公務員にオススメの資格4選

働きながらでも取得可能で、特に公務員の業務に役立つとされる4つの資格を紹介する。それぞれの資格で、業務における活用法や取得難易度が異なるため、自分の職務やキャリアプランに合わせて検討してほしい。

1.日々の業務の効率化に「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」

日々の業務の効率化に「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」

MOSとは、Word、Excel、PowerPointといったMicrosoft Office製品実務レベルで使いこなせることを証明する資格だ。1科目から受験可能で、4科目(Wordエキスパート・Excelエキスパート・PowerPoint・Access または Outlook)の資格を取得するとMOSマスターとなる。
公務員の仕事においても、資料作成やデータ管理などで頻繁に利用されるため、取得しておくと業務の効率化に大いに役立つだろう。

ここがオススメ!

公務員の業務ではWordやExcelの使用頻度が高い。オフィスソフトを実務レベルで使いこなせることは、職場全体の業務効率化に貢献できる。また、職種や部署を問わず活用できる汎用性の高さも魅力だ。

難関度

MOSには「スペシャリスト(一般レベル)」と「エキスパート(上級レベル)」の2つのレベルが存在する。合格率は公表されていないが、 一般レベルの合格率は約80%、上級レベルは約60%と推測されており、 比較的取得しやすい資格といえる。

2. 基礎的なITスキルをもっていることを証明できる「ITパスポート」

ITパスポートは経済産業省認定の国家資格で、情報技術に関する基礎的な知識を証明する資格だ。公務員の業務でも、デジタル化やシステム管理に関わる業務が増加しているため、基礎的なITスキルをもっていることは強みとなる。

ここがオススメ!

行政業務のデジタル化が進む現代において、ITスキルは業務の効率化や管理システムの活用に役立つ。基本的な知識をもつだけでも、日々の業務で活用できる場面が増える。

難関度

IT関連資格の中では難易度が低く、取得しやすい資格である。合格率は平均50%程度となっている。

3.資産形成に関する幅広い知識が身に付く「ファイナンシャル・プランナー」

資産形成に関する幅広い知識が身に付く「ファイナンシャル・プランナー」

ファイナンシャル・プランナー(FP)は資産運用や保険、年金、税制に関する幅広い知識を有する専門家のことを指す。

主なFP資格に、厚生労働大臣の指定を受けて日本FP協会が実施するファイナンシャル・プランニング技能検定という国家検定がある。公務員としても、税務や福祉関連の業務に従事する場合、非常に役立つ資格だ。

ここがオススメ!

FPの知識は、社会保険や年金、税金に関わる部署で直接役立つ。また、保険や年金に関する知識は市民への助言や支援業務にも役立つだろう。加えて、不動産や相続に関する知識は、建築行政や都市計画行政にも応用できるため、広範囲にわたって活躍できる資格である。

難関度

ファイナンシャル・プランナーは1級、2級、3級の3つのレベルに分かれており、それぞれ学科試験と実技試験がある。FP2級の合格率は、学科で59.29%、実技で54.87% と半数をやや超える状況だ。それなりに勉強は必要だが、挑戦しがいがある資格といえる。

4.プライベートでも役に立つ!「宅地建物取引士」

プライベートでも役に立つ!「宅地建物取引士」

宅地建物取引士(宅建士)は、宅地建物取引業法にもとづく国家資格である。特に、建築行政や都市計画行政に関わる公務員にとって役に立つ資格であり、土地の利用や売買に関する知識を活かして幅広い業務に従事できる。

ここがオススメ!

宅建士の知識は、固定資産税の評価や用地買収、建築行政、都市計画など、地方自治体の業務の中で役立つシーンが多い。住宅政策に関する部署や、管財、資産管理を担当する部署でもその知識を活かすことができる。プライベートで住宅ローンの契約や不動産投資を行う際に宅建士としての知識が役に立つだろう。

難関度

宅建士試験の令和5年度の合格率は17.2%と、やや難関といえる。ただし、試験に向けた学習方法や適切な教材を用いれば、働きながらでも十分に取得可能な資格だといえるだろう。

ここで紹介した以外に「ビジネス文書検定」「衛生管理者」「ご当地検定」も公務員が働きながら取得しやすい、庄田さんオススメの資格だ。

働きながら取るのは難しいが、努力すれば可能な資格2選

働きながら取るのは難しいが、努力すれば可能な資格2選

1.公務員には特認制度も!「行政書士」

行政書士は、行政書士法にもとづく国家資格であり、官公庁や自治体での許認可手続きに必要な公的書類を作成する専門家である。公務員としての業務に直結しやすい資格の一つで、行政手続きに関わる業務を担当する職員にとって特に有用だ。

ここがオススメ!

行政書士試験には「特認制度」がある。特認制度を利用すれば、国家公務員や地方公務員として行政事務に17年以上(中卒の場合は20年以上) 従事している公務員は、書類審査をもって行政書士試験が免除される。

難関度

令和5年度の行政書士試験の合格率は約13.98%と、決して簡単に取得できる資格ではない。ただし前述したとおり、公務員には特認制度があるため、書類審査のみで取得できるメリットがある。

2.人事労務のプロフェッショナル「社会保険労務士」

社会保険労務士(社労士)は、労働や社会保険に関する専門知識をもつ国家資格であり、人事労務のプロフェッショナルである。公務員の中でも、特に人事や労働関係の業務に従事する職員にとっては非常に有用な資格だ。

ここがオススメ!

社労士の知識は、市役所の人事課や国民健康保険、年金、医療助成などの部署で活かせる。また、労働法に関する知識を活用することで、市民からの労務相談に的確な対応ができるほか、自治体内での労務管理の改善にも貢献できる。

難関度

社労士試験は難易度が高く、令和5年の合格率は6.4%であった。働きながら取得するには相応の努力が必要だが、取得すれば強力な武器となる資格である。

働きながら取るのはかなり難しい資格

働きながら取るのはかなり難しい資格

公務員としての業務と並行して資格取得を目指すことは大きな挑戦であるが、特に税理士や司法書士のような難関資格に関しては、その挑戦の難易度が格段に高い。これらの資格をもっていれば公務員としての業務にも大いに役立つが、残念ながら働きながら取得することは困難かもしれない。

企業や個人の税務申告をサポート「税理士」

税理士は、税法や会計に関する高度な知識をもつ専門家であり、主に企業や個人の税務申告をサポートする役割を果たす。自治体内でも、税務課や財務課での業務に役立つことは間違いないが、そのためには多くの試験科目をクリアしなければならない。

難関度

税理士試験は非常に難しく、試験合格には通常数年の学習期間を要する。合格までに必要な努力や時間を考慮すると、働きながら取得するのは非常に困難だろう。

司法や法律に関する手続きを専門に行う「司法書士」

司法書士は、不動産登記や会社設立、相続手続きなど、法務に関する広範な業務を担う専門家だ。公務員の業務では、不動産関連業務や法務部門で役立つ場面が多い。しかし、その試験内容は非常に難易度が高く、合格には法律に関する高度な知識が求められる。

難関度

司法書士試験の合格率は5%前後であり、非常に難関の資格といえるだろう。税理士同様、試験勉強には長い時間と相当な努力が必要となる。特に働きながらでは、勉強時間の確保が大きな課題となり、取得までに数年を要することが多い。

以上の資格は非常に魅力的で、公務員としてのキャリアにも有益であるが、働きながらの取得には多大な努力と時間が必要であることを理解しておくべきである。

仕事をしながら勉強する工夫とは

働きながら資格を取得することは決して簡単ではないが、計画的に学習時間を確保することで十分に達成可能だ。以下に、勉強時間を確保し、効率的に学習するためのポイントを紹介する。

1.勉強時間を生活のリズムに組み込もう

勉強時間を生活のリズムに組み込もう

早朝や就寝前などのスキマ時間をうまく活用して、無理なく学習時間を確保できるようにしよう。ルーチンに組み込むことで、勉強を習慣化することが成功の秘訣だ。

2.具体的な目標、計画を設定する

具体的な目標、計画を設定する

目標を具体的に設定し試験日や学習完了日を決めることで、日々の学習が効率的になる。目標に向けて計画を立て、コツコツと進めることが合格への近道となる。

3.休日を上手に利用しよう

休日にはまとまった時間が取れるため、その時間を利用して一気に学習を進めることも有効だ。また、適度な息抜きを挟むことで、効率的な学習ができるようになる。

仕事の幅が広がり、キャリアアップにもつながる公務員の資格取得

公務員として資格を取得することは、仕事の幅を広げるだけでなく、キャリアアップにもつながる有意義な選択である。日々の業務に役立つだけでなく、将来のキャリアの選択肢を広げるためにも、今から資格取得に向けた一歩を踏み出してほしい。
 

庄田 秀人(しょうだ ひでと)さんの著書

『公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル』(学芸出版社) 

『公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル』(学芸出版社)

異動が多い公務員こそ“リスキリング”を!

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