■栗山メロン男子
若手の町役場職員たちが、ふるさと応援寄附で町自慢のメロンをPRする企画。メロン農家の畑を訪れて「ふるさとチョイス」に渾身のレポートを掲載したり、お礼状の裏面に写真とメッセージで登場したりしている。ふるさと納税を通して生まれた町の変化や取り組みを表彰する「ふるさとチョイスアワード2019」(トラストバンク主催)では、全国118事例のうちトップ12に入る優秀賞に輝いた。
※下記はジチタイワークスVol.10(2020年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
北海道栗山町
栗山町ブランド推進課観光推進グループ
原田 恭兵さん
北海道栗山町は、札幌から車で1時間ほどのところにある、人口1万1,000人ほどの町。ふるさと納税の担当になった当時28歳の原田さんが、まちをPRするために考えた秘策とは―。その舞台裏や思いを明かしてもらった。
若手の自由な発想を実現!
「メロン男子の原田くん」と皆さんから呼ばれるようになり、うれしく思っています。私は栗山町出身で、平成23年に入職、平成2年に「ふるさと納税」の担当になりました。返礼品の中でも、断トツの人気はメロン。ただ、右肩上がりだった寄附総額が下がる傾向にあり、ふるさと納税に一緒に取り組んでいた地域おこし協力隊のメンバーと作戦を考えました。サイト「ふるさとチョイス」でメロンを検索すると、おいしそうなメロンの写真ばかり。そこで浮かんだのが、さわやかなイケメンたちがメロンをPRする「栗山メロン男子図鑑」でした。これまでのデータから、まちに関心を持ってくれそうなペルソナとして、東京都・40歳・主婦を設定。メロン男子を掲載することで、都会の主婦の目に留まればと思ったのです。
役場の後輩に声をかけると、各自の勤務に影響しない範囲で快く協力してくれました。企画は「職員が体を張って頑張ってるね」と町内で評判になり、新聞やテレビなどでも取り上げられて町外でも広く知られるように。寄附額は平成29年1億5,500万円から令和元年2億7,000万円と伸びて、栗山町の過去最高額を達成しました。
信念をもとに行動した。
「役所でよくそんな企画が通りましたね」と言われますが、ふるさと納税は新しい取り組みで、若手の私に思い切って任せてくださった先輩や上司のおかげだと感謝しています。また、業務を通じてITやマーケティングの知識が身につき、サイト運営会社のセミナーで全国の自治体職員と知り合いになったことも大きな収穫でした。
私が職員になったのは、安定していて、定時に帰れて、プライベートも充実させられそうと思ったから。実は軽い気持ちでした。でも、仕事を通じて地域の方々と交流するうちに、働くことの楽しさややりがいを知り、地域の役に立ちたいという気持ちがどんどん大きくなりました。
メロン男子が成功したのは、アイデアをもとに仲間を募り行動して、結果として皆さんが協力してくださったおかげだと思います。源泉にあったのは「自分がこうしたい」という熱い思い。自治体としては突拍子もない企画かもしれないけれど、何よりもまちのためを思い、情熱を持ってまっすぐにやっているという信念がありました。
この春、観光の部署に異動になりました。関係人口を増やすための仕掛けを考えているところです。枠にとらわれず行動を続けて、まちをより良くしていきたいです。
最後にこれを読んでくださっている上司の皆さん、若手が何かアイデアを出してきたら、人様に迷惑がかかるようなものでない限り、思いを汲んでチャレンジさせてみてくれませんか。若い人は新しいセンスを持っていて、予想外の突破口になるかもしれませんよ。