ジチタイワークス

静岡県三島市

【山添 豊さん】フードシェアアプリで食品ロスの削減に貢献。

まだ食べられるのに廃棄される“食品ロス”は、全国的に長年課題とされている。三島市(みしまし)では、食品ロスを削減するためにフードシェアアプリを活用。食品の売り手にも買い手にも喜ばれる取り組みを進めて、成果を上げている。発案者である山添さんに話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.37(2025年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

静岡県三島市
環境市民部 廃棄物対策課
山添 豊(やまぞえ ゆたか)さん( 入庁12年目)

同市の出身である山添さん。地元をもっと自慢できる地域にしたいという思いで公務員になったそうだ。「みしまタベスケを通じて食品ロス対策を意識してもらい、みんなで“楽しく・美味しく”ごみの削減に取り組めたらうれしいです」。

店と客をつなぐアプリに着目。

当市では、最終処分場の約9割が埋め立てられ、ごみの削減が大きな課題になっています。私は廃棄物対策課に異動後、令和5年9月から粗大ごみなどを「メルカリShops」で販売する取り組みを開始しました。1年間で約10tのごみを減らし、売り上げは100万円を超えました。

次に目を付けたのが生ごみです。集積所に捨てられるごみの約4割が生ごみ。食品ロスの問題に焦点を当てて、事業者に行動を促そうと考えました。きっかけは、私がパン好きで店でパンが売れ残っている現状に、もったいなさと何とかしたいという思いを抱いたことでした。

そこで、フードシェアアプリに着目。アプリを導入している自治体や、市内にある店にヒアリングをした上で、令和6年10月にフードシェアリングサービス「みしまタベスケ」の試験運用を開始しました。これは、賞味・消費期限が近いなどの理由で商品を売り切りたい店と、商品をお得に購入したいユーザーをつなぐアプリです。ユーザーはアプリで買いたい商品を予約して、店で購入するという簡単な仕組みになっています。

企画を信じ、突き進む。

協力店を募るために、電話をかけたり、直接訪問して説明したりしました。もちろん、断られることもたくさんありましたね。でも、これは需要調査の結果も踏まえた発案です。市民と事業者、行政にとってメリットがあると信じていたので、自信をもって進めることができたのだと思います。協力してくれる店のためにも、できることは全てやろうと決めました。

令和7年2月時点で、みしまタベスケの協力店は36店、登録ユーザーは約2800人。アプリ上で約2000品が購入されています。当初の期待を上まわり、約1tのごみの削減につながりました。また、メディアに働きかけて取り上げてもらったことで、周知が進んだと感じます。協力店からは“店舗のPRができた”“新規のお客さんが増えた”など、うれしい声も寄せられています。今後も、さらに楽しく魅力的なサービスにしていきたいです。

本来の業務の整理・効率化ができたことで、時間と心に余裕が生まれ、これらのアイデアが実現したと思っています。新しいことでも可能性があれば挑戦させてくれる上司がいて、ありがたい環境です。たとえ失敗しても次に活かしていく前向きな姿勢で、成果が出るまで地道に粘り強く取り組むようにしています。これからも広い視野をもつことを意識しつつ、高い熱量で仕事に向かい、一度限りの人生を楽しくしていきたいです。

 

みしまタベスケの詳細はこちらから

協力店と、商品について打ち合わせる様子。ベーカリーやカフェ、農園など幅広い事業者が参加している。

 

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