ジチタイワークス

秋田県羽後町

【佐藤 正和さん】地域おこし協力隊の力を卒業後も活かせるまちに。

全国の自治体で取り入れられている「地域おこし協力隊」。任期終了後も地域に定住してもらうには、地元で仕事を見つけることが必要になる。そこで、羽後町(うごまち)職員である佐藤さんは、元協力隊員の拠点をつくることを目的にNPOを発足。現在は当初の目的を果たし、協力隊と地域をつなぐ役割を担っている。NPO発足の経緯や成果を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.35(2024年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

秋田県羽後町
農林課
佐藤 正和(さとう まさかず)さん( 入庁11年目)

おにぎりのかぶりもので各地に出現する佐藤さん。都内の大手飲料メーカーと手を組んで、同町産あきたこまちを原料にした、おむすびに合うビールの開発に携わるなど、特産品のPRにも力を入れている。

元協力隊の拠点をつくる。

大学卒業後、秋田県内の銀行に就職しました。しかし、生まれ育った地元を元気にしたいという思いを諦め切れず、銀行員から公務員に転身。入庁後、地域おこし協力隊の制度を活用するように提案しました。以降、当町には16人の協力隊員が着任。皆さん優秀で、地元の人たちと良好な関係を築いています。そんな人材がいなくなるのは惜しいと思い、令和元年に「NPO法人みらいの学校」を設立。元協力隊員の2人が理事になり、私は事務局の立場として役場から出向しました。

みらいの学校は地域内外で様々な事業を実施中。例えば、情報発信に課題を感じる町内事業者のSNS運用を代行したり、都内の大手おもちゃメーカーと、当町産「あきたこまち」を使った商品を共創したり。また、主催する小学生向けのまちづくり体験イベントでは、イベントが始動した当時、参加者だった小学生が今では運営側を担っています。この循環に、長く続ける意義を実感しました。地域で活動するには、人を巻き込み、ターゲットに参加してもらう必要があると感じます。そのために、自治体職員や協力隊員、住民という壁をなくし、ともに活動したいと思ってもらえるよう、日常的に交流し、素直な思いを伝えるよう心がけています。

心を開いて本音で話す。

これまで任期を終えて協力隊を卒業した13人のうち、8人が1年以上定住しています。定住を促すような特別な補助制度があったわけではありません。ただ、協力隊員から活動の相談や提案があれば調整役や仲介役を担っていました。そこで生まれた地域との結び付きや、みらいの学校の活動を経てできたつながりが、定住の決め手になっていれば、うれしいですね。また、定住せずとも地元の盆踊りに参加するために帰ってきてくれる元協力隊員もいます。このような関係人口の創出も一つの成果だと感じますね。これだけ定着している要因は、協力隊をお客さま扱いせず、暮らしや活動の厳しさを誠実に伝えていることにあると思います。当町は電車がない上に、豪雪地。この土地で働く覚悟があるか、本音で話をします。覚悟をもって着任した人は、自然と地域になじんでいる印象がありますね。  

今は出向期間を終えて農林課へ所属し、その傍ら、プライベートの時間を使って、みらいの学校の代表理事として活動中です。役場の仕事と、みらいの学校の運営を両立する日々は、忙しくも充実しています。私のパーパスは”地域を一番楽しんでいる大人“であること。その達成のために、楽しめる場所・仲間・時間をつくることに全力で取り組んでいきたいと思います。

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小学生向けの、まちづくり体験イベント「しごとーいうご」に、運営役として参加した中学生と地域おこし協力隊員。
 

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