
地域の魅力を創出し、広く発信するのは、自治体の重要な役割の一つ。三上さんはSNSを活用してユニークな企画を次々に生み出し、話題を呼んだ。その代表例が青森県産りんごをモチーフにしたルービックキューブの「アオモリックキューブ」。発案の経緯や反響について話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.39(2025年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
青森県
観光交流推進部
県産品販売・輸出促進課
三上 悠維(みかみ ゆい)さん(入庁13年目)
青森県は人口当たりの公衆浴場数が全国トップで、車に風呂道具を積んでいる人が多い。そこで三上さんが「風呂道具 IN CAR」という車に貼れるステッカーをつくって無料配布したところ大人気となり、こちらも商品化された。
予想以上の反響で商品化へ。
地元を出て、東京で大学生活を送る中で、青森は自分らしさを形成する大切な一部なのだと実感。青森にはいいものがたくさんあるのに、それが十分に伝わっていないという声を耳にしていました。それなら自分が地元の魅力をもっと知り、多くの人に伝えたいと思い、県の職員になりました。
念願の観光政策課に配属されたのは3年前。同課では当時から、県内外からの注目を集めるべく、各種SNSで一風変わった企画や発信を行っていました。そこで私も、常に新しい話題にアンテナを張り、思いついたアイデアをメモして蓄えました。そうした中で、ルービックキューブが発明50周年を迎えるという情報をキャッチ。この節目に”青森版をつくったら面白いのでは“と企画したのが、アオモリックキューブです。まずは、ねぶたなどをモチーフに3種類の試作品を作成。SNSに投稿したところ、予想以上の反響があり、特に県産りんご6種を各面にプリントした試作品が注目を集めました。
りんごは品種ごとに模様の特徴があるものの、それらを見分けて全ての面を揃えるのは至難の業です。その難しさが面白がられ、県内外から”挑戦したい“”欲しい“という声が寄せられました。こうして多くの支持を集めた結果、商品化することになったのです。
SNSでマーケティング。
昨年10月に県内の土産店などで商品を販売すると、1カ月で完売。今年5月に追加販売した分もすぐに品薄状態になりました。販売後も自分でアオモリックキューブに挑戦する動画をSNSに投稿するなど、話題が継続するよう努めていました。SNS上では“また青森が変なことをやっている!”と好意的に盛り上がっていて、とてもうれしかったです。
商品化するには、予算の確保や上司への説得が大変だと思われるかもしれません。でも実際には、商品のコンセプトに共感した県内の会社がメーカーから商品を仕入れて販売。県が負担したのは試作時の数千円とパッケージデザイン料のみでした。
SNSは費用をかけずにマーケティングすることができ、投稿に対する反応が上司への説得材料にもなります。何が話題になるか分からないからこそ、特に若い職員には、面白いと思うことを軸に発信し、失敗を恐れずチャレンジしてほしいです。
アオモリックキューブの商品化にあたっては、多くの人から協力を得ることができました。今は県産品の販売促進を担当する部署に異動しましたが、当時の経験を活かして、自分の言葉で魅力を伝え、生産者と購入者の双方にとってメリットとなるような橋渡しの役割をしていきたいです。
アオモリックキューブの詳細はこちら
▲アオモリックキューブ(3,300円)はスタンド付き。今年5月の追加販売時には、17店舗で取り扱われた。
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