※下記はジチタイワークスVol.30(2024年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
日本有数の豪雪地帯である十日町市の松代地区では、降り積もった雪を東京都世田谷区に毎年プレゼントしている。この交流は昭和61年に始まり、世田谷公園で開催される「新年子どもまつり」の目玉として、平成4年から雪を贈る取り組みがスタート。30周年を迎えた令和5年には、40tもの雪をトラックで運び、約20mの雪のすべり台やかまくらを両自治体の職員とボランティアが制作。まつりの来場者は約3万5000人にのぼったという。
毎年、雪害対策に苦悩する同市と異なり、同区民にとっては雪が珍しく、“幼いころに楽しんだ雪のすべり台を、自分の子どもにも体験させたい”と訪れる姿も見られるそうだ。事業の発案者であり、現在も担当者として携わる樋口さんは、「雪が当市を知ってもらうためのアイテムになっていて、市民からは“雪とふるさとを誇らしく思う”と喜びの声が届いています。また、これだけ長年続いているのは、雪の処理まで話し合いができているからです」と話す。
まつりが終わった後は、近隣の小学校などへ雪を分け、余すことなく活用しているそうだ。「この交流を機に当市に足を運んでくださる区民の方が増え、地域おこし協力隊の移住者も生まれました。これからも両自治体のつながりを深めていきます」と展望を語る。
▲すべり台は2時間待ち、かまくらは1時間待ちになることも。
十日町市 松代支所長
樋口 彰(ひぐち あきら)さん