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【令和7年度版】地方創生交付金の一覧と最新の変更点・自治体の活用事例を紹介

地方創生交付金は、人口減少や地域活性化に向けて国が自治体へ交付する代表的な財政支援である。令和7年度も制度の変更や重点分野の見直しが行われ、申請にあたっては最新情報の把握が欠かせない。本記事では、地方創生交付金の種類一覧や活用事例、令和7年度から始まった「第2世代交付金」の概要を整理し、自治体職員が実務で活用できるポイントを解説する 。

【目次】
 • 地方創生交付金とは?

 • 【令和7年度版】地方創生交付金の種類一覧
 • 【令和7年度版】地方創生交付金申請における最新の変更点と注意点
 • 地方創生交付金を活用した自治体の取り組み事例
 • 地方創生交付金の使い道と活用ポイント
 • まとめ

※掲載情報は公開日時点のものです。

この記事で分かること
令和7年度の地方創生交付金制度の全体像が把握できる
■令和7年度からの最新の変更点と注意点を理解できる
■他自治体の活用事例から具体的な実務のヒントを得られる

地方創生交付金とは?

地方創生交付金とは、地方自治体が人口減少や地域活力低下といった課題に対応するために活用できる国の交付金制度である。平成26年に施行された「まち・ひと・しごと創生法」にもとづき設けられ、全国の自治体に配分されている。

この交付金は、地域の特性に応じた取り組みを支援することを目的としており、例えば以下のような幅広い事業に使われる。

・地域インフラや生活環境の整備
・観光資源を活かした地域経済の活性化
・移住・定住促進や子育て支援の強化


地方創生交付金は「地域課題の解決」と「持続可能なまちづくり」を推進するための基盤的な財源といえる。自治体ごとに事業計画を策定し、国の認定を受けることで、柔軟に活用することが可能である。

【“地方創生”について詳しく解説!】
地方創生の意味と成功のためのポイントとは。

【令和7年度版】地方創生交付金の種類一覧

令和7年度の地方創生交付金は、結婚・子育て支援から産業振興、DX推進、物価高騰対応まで、自治体の多様な課題に応じて選べる制度として整理されている。ここでは、主要な交付金の種類と概要をまとめる。制度の目的や活用の方向性を理解することが、申請や計画立案の第一歩となる。

地方創生推進交付金(第2世代交付金:新しい地方経済・生活環境創生交付金)

地方創生推進交付金は、結婚・子育て支援から産業振興まで、自治体が地域課題に応じて柔軟に活用できる国の交付金制度である。地方自治体が自主的に策定する「地方版総合戦略」を支援する目的で設けられ、第2世代交付金として位置づけられている。

地方創生推進交付金制度要綱によれば、対象となる事業は次のとおりである。

・結婚・出産・子育ての希望を実現できる社会環境の整備に資する事業
・移住や定住の促進に資する事業
・地域を担う人材の育成・確保に資する事業
・観光、農林水産業など地域産業の振興に資する事業


自治体が取り組む総合戦略に直結する事業に幅広く対応できる点が特徴であり、各地域の実情に合わせた事業展開を可能にする交付金といえる。

出典:地方創生総合サイト「地方創生推進交付金制度要綱 」

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(旧:地方創生臨時交付金)

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(旧:地方創生臨時交付金)は、エネルギーや食料品の価格高騰によって影響を受けた生活者や事業者を支援するために創設された交付金制度である。令和5年11月に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」にもとづき、地方公共団体が地域の実情に応じたきめ細かな支援事業を実施できるよう設計されている。

制度には以下のような枠組みが設けられている。

・低所得世帯支援枠:住民税非課税世帯など、物価高騰の影響を受けやすい世帯への直接支援。
・給付金・定額減税一体支援枠:定額減税を補完し、低所得者への給付を組み合わせて支援する枠。
・給付支援サービス活用枠:自治体が効率的に給付を行うためのデジタルサービスなどの活用を支援。


この制度により、自治体は物価高騰対策を地域の事情に合わせて迅速に実行でき、住民生活の安定と地域経済の下支えを図ることができる。

出典:地方創生総合サイト「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」

地方創生拠点整備交付金

地方創生拠点整備交付金は、自治体が策定する「地方版総合戦略」にもとづき、地域の課題解決や魅力向上に資する拠点を整備するために設けられた交付金制度である。地域再生法にもとづき、観光や農林水産業の振興、子育て支援、産業基盤整備など、地域の自主性・主体性を重視した事業が対象となる。

具体的な対象事業は次のとおりである。

施設整備事業:地方版総合戦略や地域再生計画に位置づけられた施設(子育て施設、観光拠点、道の駅など)の整備に活用。
効果促進事業:整備した施設の利活用を高め、事業効果を一層引き出すための取り組みに活用。ただし、人件費など経常経費は対象外。
補助率:交付対象経費の2分の1が国庫補助の上限。


地方創生拠点整備交付金により自治体は、施設の整備と併せて地域経済や住民サービスの拠点づくりを進めることができる。単なる施設整備にとどまらず、住民の交流促進や定住促進など、地域活性化の実効性が問われる制度である。

出典:地方創生総合サイト「地方創生拠点整備交付金交付要綱」

デジタル田園都市国家構想交付金

デジタル田園都市国家構想交付金は、デジタル技術を活用して行政サービスの効率化や地域経済の活性化を進めるために国が設けた交付金制度である。自治体が取り組むDXや地方創生の施策を後押しするもので、持続可能で魅力ある地域づくりを目的としている。

具体的な対象事業は次のとおりである。

・サテライトオフィスやデジタル関連施設の整備
・進出企業の定着や地域への根付きを支援する取り組み


自治体のDXを進める際に積極的に活用されている交付金であり、行政手続きのデジタル化から地域産業の振興まで幅広く支援する仕組みとなっている。

出典:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局内閣府 地方創生推進事務局・地方創生推進室「デジタル田園都市国家構想交付金について」

地方大学・地域産業創生交付金

地方大学・地域産業創生交付金は、地方大学の機能強化や地域産業の活性化を図るために国が設けた交付金制度である。人口減少や若者流出といった課題に対応し、地域に人材と産業を根付かせることを目的としている。

対象となる事業の例は次のとおりである。

・若者にとって魅力ある雇用機会や産業を創出するための事業
・全国や海外から学生が集まる魅力ある大学づくりのための事業


大学と地域産業を一体的に強化し、若者の定着と地域経済の自立につなげる財源として、各地の自治体・大学が積極的に活用している。

出典:地方創生総合サイト「地方大学・地域産業創生交付金事業」

【そのほか】地方創生に役立つ関連補助金

地方創生を進める上では、交付金だけでなく国や自治体が設ける各種補助金も重要な財源となる。これらの補助金は、地域課題の解決や住民の定住促進、地域産業の活性化を後押しするために活用できる。

代表的な補助金の例は次のとおりである。

起業支援金:地域での起業や新規事業立ち上げを支援
移住支援金:都市部から地方への移住者に対する生活・就業支援
ものづくり補助金:中小企業による新製品開発や生産性向上の取り組みを支援


これらの補助金を組み合わせて活用することで、自治体の地方創生施策をより効果的に推進することが可能となる。

【令和7年度版】地方創生交付金申請における最新の変更点と注意点

令和7年度の地方創生交付金では、制度運用が大きく変わっている。KPI設定と成果公表の義務化、デジタル実装型の重視、政策効果の「見える化」と説明責任の強化など、自治体にとって実務上の対応が欠かせない。

さらに、臨時交付金はコロナ対応から物価高騰対策へと用途が移り、使い方にも注意が必要だ。ここでは、最新の変更点と申請時の留意点を整理する。

KPI・成果の公表が義務化 

第2世代交付金では、KPI(重要業績評価指標)の設定と成果の公表が義務化され、令和7年度からは報告内容や検証方法がより具体化された。事業実施後には効果検証および評価結果・改善方策の公表を行うことが要綱で定められている。

KPIは事業と直接関係する定量的指標である必要があり、既存の指標を用いる場合でも直近実績に上乗せした目標値を設定することが求められる。また、事業の各段階で 産官学金労言など多様な主体が参画し、進捗測定や改善方策に関与すること が条件とされ、自治体と地域の連携体制づくりが不可欠となっている。

出典:内閣官房「新しい地方経済・生活環境創生交付金制度要綱 」
出典:内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局「新しい地方経済・生活環境創生交付金の採択結果について」
出典:内閣府 地方創生推進室「新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)Q&A集」

デジタル実装型の重視(RAIDA活用など )

令和7年度からは、第2世代交付金の中に「TYPE1(デジタル実装型)」が明確に位置づけられ、デジタル技術を活用した事業が重視されている。窓口DX、オンライン申請、地域アプリ導入など、住民サービスや行政効率化に直結する取り組みが支援対象となる。

また、従来の交付金が統合され、横展開モデルや既存サービスの導入を優先する制度設計へと整理された。独自開発よりも、先行事例を応用した迅速な実装が採択されやすい傾向にある。さらに、RAIDA(地方創生データ分析評価プラットフォーム) では令和7年度の採択事例やKPIが検索でき、他自治体の成功事例を計画づくりに活かすことが可能となっている。

出典:内閣府 地方創生推進室「新しい地方経済・生活環境創生交付金デジタル実装型 TYPES制度概要」
出典:内閣府・内閣官房総合サイト「デジタル実装型」
出典:内閣官房「RAIDA(地方創生データ分析評価プラットフォーム)」

政策効果の見える化・住民への説明責任の強化 

第2世代交付金では、交付金の使途や成果の公開が義務化され、令和7年度以降は成果や改善方策の公表がより具体化されている。自治体は、事業の実施体制や成果を自団体のウェブサイトで公開し、国へ報告することが必須となっている。

令和7年度以降は、この仕組みがより具体化・強化されている。

効果検証と公表:KPI達成度や改善方策の検証結果を公開することが要綱で明記された。
・報告内容の充実:実施報告書には、運用課題や横展開に向けた知見など、より具体的な情報を盛り込むことが求められる。
・多様な主体の参画:産官学金労言などの関係者を交え、評価や改善に反映させる体制を構築することが必須とされている。


自治体職員にとっては、計画段階から「成果をどう測定し、どう公表するか」を設計し、住民と国への説明責任を果たせる体制整備が実務上の重要ポイントである。

出典:内閣官房「新しい地方経済・生活環境創生交付金制度要綱 」
出典:内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局「新しい地方経済・生活環境創生交付金の採択結果について」

臨時交付金の用途シフト(コロナ対応 → 物価高騰対策)

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金((旧:地方創生臨時交付金)は、当初は新型コロナ対策を中心に活用されていたが、近年は物価高騰・エネルギー価格への対応に重点が置かれるようになっている。

令和6年度以降は、エネルギー・食料品価格の上昇による生活者負担を軽減する施策が前面に出され、特に以下のような事業に交付金が充てられている。

・非課税世帯や低所得子育て世帯への生活支援
・令和6年1月以降の家計急変世帯に対する支援
・地域での物価高騰対応(光熱費・燃料費負担の軽減など)


臨時交付金の「時限性」と「用途の変化」を正確に把握し、迅速に制度設計と住民周知を行うことが実務上の重要ポイントである。

出典:地方創生「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金制度要綱」

地方創生交付金を活用した自治体の取り組み事例

地方創生交付金は、観光振興やDX推進、子育て支援など幅広い分野で活用されている。ここでは、全国の自治体による最新の活用事例を紹介し、交付金を実際にどう成果につなげているのかを解説する。

地方創生推進交付金|岡山県矢掛町「道の駅周辺に観光・物流拠点整備」

岡山県矢掛町では、中心市街地の古民家再生による観光拠点づくりを進めた結果、観光客数が大幅に増加した。農業体験施設や総合運動公園の利用者も伸びているが、施設間を結ぶ道路が狭く複雑で、回遊性の低さが課題となっていた。

この課題解決に向けて、地方創生推進交付金を活用し、矢掛町の町道と隣接する井原市の広域農道を整備することが決定された。道路整備によりアクセス時間が短縮され、物流機能も強化される見込みだ。結果として、道の駅の集客力向上や、地元農産物の売上拡大につなげることを狙っており、観光と物流の両面から地域経済の活性化を目指す事例である。

出典:地方創生「地域再生計画」

地方創生臨時交付金(物価高騰対応)|福井県鯖江市の生活者・事業者支援状況

福井県鯖江市には、令和6年度の物価高騰対応地方創生臨時交付金として約9億9,961万円が交付された。市はこの財源を活用し、以下のような生活者・事業者支援を実施している。

・住民税非課税世帯への給付金支給
・子育て世帯へのデジタル商品券の配布
・高齢者・障害者福祉施設の電気料負担軽減


これらの支援策により、物価高騰の影響を受けやすい世帯や施設の負担軽減が図られている。具体的な使途や金額の詳細は、鯖江市の公式ウェブサイトで公開され、住民への透明性確保と説明責任を果たしている。

出典:鯖江市市役所「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金・物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の活用状況について」

拠点整備交付金|長崎県新上五島町「廃校を活用した子育て世代向け交流拠点」

長崎県新上五島町では、拠点整備交付金を活用し、廃校となった小学校の校舎や体育館を再生。屋内型の遊び場を備えた子育て世代向け交流拠点として整備した。

この拠点は、子育て世代が安心して集える場を提供することで、住民の満足度向上と転出防止、さらには移住・定住の促進を図る取り組みである。廃校施設の有効活用と少子化対策を同時に進める点で、他自治体にとっても参考となる事例だ。

出典:地方創生総合サイト「デジタル田園都市国家構想交付金地方創生拠点整備タイプ 採択事例集」

デジタル田園都市構想交付金|香川県高松市「地理空間データ基盤『スマートマップ』構築」

香川県高松市は、デジタル田園都市構想交付金を活用し、地理空間データ基盤として『高松市スマートマップ』を構築した。このアプリには、防災拠点や避難所などの防災情報、道路や上下水道といったインフラ情報が登録されているほか、道路渋滞状況や駐車場の満空情報もリアルタイムで確認できる。

市民にとって利便性が高いだけでなく、行政側にとってもデータの一元管理や災害時の迅速な対応に役立つ仕組みであり、DX推進と住民サービス向上を両立させる事例として注目されている。

出典:内閣府「スマートシティインタビュー Vo;3-1 令和7年3月21日」

地方大学・地域産業創生交付金|福島県「水素社会を見据えたバイオマス技術開発と人材育成」

福島県では、県・福島大学・県内企業が連携し、産学官一体でバイオマス由来の水素や炭化物を製造する小規模地産地消型システムの研究開発を進めている。この取り組みには、地方大学・地域産業創生交付金を活用し、水素技術の高度化と専門人材の育成を同時に推進する方針が示されている。

技術力の向上と人材育成を進めることで、若者の県外流出を防ぎ、競争力と持続可能性を備えた産業・雇用の創出につなげる狙いだ。地域の再生可能エネルギー分野における先駆的事例として、他自治体にとっても示唆に富む取り組みである。

出典:福島県庁「地域における大学振興・若者雇用創出事業に関する計画 」

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地方創生交付金の使い道と活用ポイント

地方創生交付金を申請する際、「どのように使えば効果的なのか」と悩む自治体も少なくない。ここでは、各自治体が取り組みやすく、成果につながりやすい活用方法の例を整理する。

■DX・デジタル基盤整備

住民向けの防災情報や生活情報を一元化するアプリの開発は、交付金活用の代表例である。また、観光地や特産品の紹介・販売プラットフォームを構築すれば、観光客や地域ファンを増やし、地域経済の活性化にもつながる。

■子育て・教育・福祉拠点

交付金を活用して子育て・教育・福祉の複合拠点を整備すれば、子どもの遊び場、地域住民の情報交換の場、健康づくりの拠点として機能する。地域コミュニティの活性化や定住促進に寄与する点が大きなポイントだ。

■産業振興・人材育成

民間企業の研究開発費支援や、地元の小・中学校・高校・大学への教育支援に充てることで、新産業の創出や技術革新を後押しできる。特に、若者の人材流出防止と地元定着につながる取り組みは、多くの自治体が重点化している分野である。

■住民生活支援(臨時交付金)

物価高騰や収入減で影響を受ける非課税世帯・子育て世帯・高齢者世帯への給付金、あるいは地域企業への物価高騰対策支援も臨時交付金の有効な使い道である。短期的な支援であっても、住民の安心や地域経済の持続性を支える重要な施策となる。


地方創生交付金は、観光振興からデジタル基盤整備、福祉拠点、産業振興、生活支援まで幅広く活用できる。自団体の地域課題に直結する施策を見極め、複数の政策目的と組み合わせることで、交付金活用の効果を最大化できる。

まとめ

地方創生交付金は、自治体の活性化や持続可能な地域づくりを進めるために不可欠な財源である。しかし第2世代交付金からは、KPIの設定や成果の公表、政策効果の「見える化」が義務化され、透明性と説明責任がより一層重視されるようになった。

これからは、交付金を獲得すること自体を目的とするのではなく、「交付金を活用して何を実現し、どのように成果を示すか」までを計画に組み込むことが重要だ。成果の測定・改善を通じて住民に還元できる仕組みを構築することが、自治体に求められている。

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