ジチタイワークス

三重県

【フードイノベーション課】“魚からスイーツまで”生産者と事業者をつなぎ、商品開発を支援。

※下記はジチタイワークスVol.25(2023年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

第8回 三重県 フードイノベーション課

interview

左:澁谷 太壱(しぶや たいち)さん
右:村井 裕美子(むらい ゆみこ)さん


“魚からスイーツまで”生産者と事業者をつなぎ、商品開発を支援。

農林水産事業の推進と発展のため、各自治体が独自のアイデアで模索している。そんな中、水平展開の構想を掲げ、生産者と事業者のマッチングから、新商品・新サービスの開発に励んでいる三重県の取り組みを取材した。
 

Q.食に着目した課が設立された目的を教えてください。
A.イノベーションによる、農林水産業の活性化です。
 

庁内には、水産振興課や畜産課など特定の産業に特化した部署もあります。一方、当課は、品目に特化せず県内生産者と事業者の連携を促すマッチング支援を行っています。包括的なつながりの支援を行うことで、これまでにない新たな商品やサービスの開発を促進することがねらい。それにより農林水産物の活用が進み、持続可能な農林水産業が実現することを目的に誕生しました。

コロナ禍以前は、事業者同士の交流会を開催するなど連携の接点づくりを行っていましたが、現在はオンラインを活用した、会員登録制のプラットフォームに移行。生産者が登録した食材を飲食・流通事業者が閲覧できるデジタル食材カタログなどにより、商品開発や販路の開拓・拡大の機会創出を図っています。現在の会員数は、生産者も含め全体で300事業者ほど。私たちがハブ的な役割を担うことで、まさしく“イノベーション”が起こるような、連携支援を進めています。

 

Q.マッチング支援の成果としてどのようなものがありますか?
A.特産品を活かした新商品や県外へ販路拡大ができました。
 

実際に、様々な新しい商品開発の動きがあります。例えば、当県の特産品の一つである伊勢茶を使った、新たなノンアルコール飲料「伊勢茶スパークリング」が開発されました。コロナ禍でアルコールが提供しにくいという課題を抱えていた飲食店と、伊勢茶を活用したい事業者が連携した結果です。

ほかにも、新鮮なタイ野菜を使いたいという事業者から相談を受けてJAに声をかけ、タイ野菜産地化の新プロジェクトを開始しました。さらに、県外のレストランのシェフから依頼を受け、生産者を紹介することも。その際、“生産者からここまで熱心に話してもらえたのは初めて”とうれしい言葉をもらったこともあります。

当県は魅力的な特産品が多くありますが、少量多品目生産のため流通コストが高くなることが課題。今後は低コストで流通させる体制づくりが目標です。大阪・関西万博の機運も活かしながら、多様な声にフットワーク軽く応える課として、県内の農林水産業を支援し続けていきます。

県内で広く浸透している地産地消のシンボルマーク。協賛事業者が県産食材を広報する際などに活用されている。

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