ジチタイワークス

富山県入善町

【キラキラ商工観光課】水産業から自然エネルギーにまで、海洋深層水の活用で地域活性化を目指す。

※下記はジチタイワークスVol.24(2023年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

第7回  富山県入善町 キラキラ商工観光課 水産・深層水係

interview

課長
田中 良一(たなか りょういち)さん

水産業から自然エネルギーにまで深層水を段階的に活用する。

地域資源をいかに活用し、まちを活性化させていくか。こうした自治体の共通課題を、海洋深層水を幅広く有効活用することで打開してきたという入善町。まちの発展に情熱を注ぐ水産・深層水係の取り組みに注目し、話を聞いた。

Q:係では具体的にどのような取り組みを行っていますか。
A:富山湾の深層水を活かした産業活性化の支援です。

当町は、富山湾の水深が深く急峻な地形を活かして取水している海洋深層水と、それを活用した産業が特色です。水深384mから取水される深層水は2℃前後と冷たく、清浄で栄養が豊富という特徴があります。平成10年頃に起きた全国的な深層水ブームをきっかけに、深層水に特化した前身の課が立ち上がり、平成13年に取水施設が完成しました。

飲料水の商品化やアワビの養殖などに活用されていましたが、ブームが徐々に下火に。そんな中、パックご飯の製造工場が当町に進出したことが、ターニングポイントになりました。年間を通して冷たい深層水に着目し、工場内の冷房や冷却システムのエネルギー源に採用したのです。その後はカキの畜養会社も当町へ。畜養には、熱交換で温まった深層水を再利用しています。

工場の冷却やカキの飼育水の調温には電気の利用が一般的ですが、深層水の多段階活用により、コストやCO2の排出量が削減されます。今では「深層水仕込カキ」として名物になり、県外からも人が集まるように。

さらに工場の生産ラインを増やす計画があり、水の需要が増えるため、取水管の増設が決定。地域産業が発展できるように支援を行っています。

富山湾の水深384mの取水口から、1時間に約135tの海洋深層水を取水。増設後は、約300tの計画。

Q:地域資源を活用した事業発展の秘訣を聞かせてください。
A:外部へ深層水をアピールする機会を逃さない行動力です。

現在は、企業が生産したカキやパックご飯を通じて、まちの名前や評判が広まっているのを感じるようになりました。令和4年には、深層水をサーモンの陸上養殖に活用する新しい事業が当町で行われることも決定。

このような事業拡大のカギは、自らが働きかけることだと思っています。新しい養殖事業の計画があり、候補地の一つであったため、すぐに事業者のもとへ出向き、まちや深層水の説明を行いました。職員は、まちをアピールする営業マンです。深層水から派生する多様な事業内容とポテンシャルについて熱意をもって地域外の人に話すと、面白いと耳を傾けてもらえます。これからも“チャンスをつくり、活かす”をモットーに、深層水の多段階活用を展開予定です。今後は水産物の海外輸出などを視野に入れ、関係者と取り組んでいきます。

深層水を周知するための展示・体験コーナーなどを設置した活用施設。施設では深層水の給水も行っている。

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