※下記はジチタイワークスVol.20(2022年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
第3回 愛知県長久手市 たつせがある課
interview
地域協働係
堤 健二(つつみ けんじ)さん
つながり合いからSOSをキャッチ!助け合えるまちづくりを目指して。
住みやすいまちランキング上位に入る長久手市。平成24年4月に発足した「たつせがある課」は、住民とともに“役割”を意識したまちづくりを進めている。地域活性化につながっているという、その具体的な取り組みを担当者に聞いた。
Q.独創性のある課名ですがどんなことを行っていますか?
A.地域の課題を住民自らが解決する仕組みづくりです。
ベッドタウンとして急成長した当市は、アクセスが良く、住みやすいといわれています。しかし、住民同士のつながりは薄く、“赤の他人村”となっていました。そこで、現・市長が基本理念として掲げたのが“一人ひとりに役割と居場所があるまち”“助けがなかったら生きていけない人は全力で守る”“ふるさとの風景を子どもたちに”という3つのフラッグです。
これと併せて、住民一人ひとりに役割や居場所があるまちづくりを推進する「たつせがある課」を発足。“たつせがない”という言葉は居場所・役割がないという意味で使われるので、それを逆手にとったものです。地域の課題を地域で考え、地域で取り組む新しいまちづくりのため、住民がふらっと立ち寄れる場所として「地域共生ステーション」を整備。また、地域固有の課題解決に向け、地域活動団体・市民活動団体・個人などが取り組む組織として「まちづくり協議会」の設立も進めています。
地域共生ステーションの中で体操を楽しむ皆さん。
Q.取り組みを進める上で、何を大事にしていますか?
A.より良いまちを育むために、住民主体で話し合うことです。
災害、社会的孤立などの課題に対し、職員400人ほどで住民約6万人を救援するには限界があります。だからこそ地域の力が必要で、まずは“知り合う”ことから“顔の見えるまちづくり”“一人ひとりが役割のあるまちづくり”を目指しています。その一歩として平成30年に「長久手市みんなでつくるまち条例」を策定。計画づくりに住民参加を促し、議論を尽くして仕上げたものです。
現在では、条例をもとにした地域協働計画づくりに向けて、一緒に取り組んでいます。また、地域共生ステーションでは“SOSを発する人”に気づき、公的制度などにつなげる支援を行っています。ほかにも、活動意欲が高い人には、ワークショップの企画や防犯パトロール、美化活動などを紹介。これまでに、住民が自主的にまち条例の検証フォーラムを企画するなど、着実に成果が見えています。
いかに無関心層を取り込むかなどの課題もありますが、住民自ら地域の課題解決を図るプランナーかつプレイヤーとなり、より良いまちにしていきたいですね。
何度も対話を重ねた上にでき上がった「長久手市みんなでつくるまち条例」。