取組概要
補助金などを申請する際には、住民票や税関係証明書などの書類を添付することが要綱等により定められていることがある。それら証明書等の添付に替え、申請者の同意書を提出してもらうことで、市に権限があり、市役所内部で確認が可能な情報に関しては、市役所内部で確認作業を行い、証明書類等の添付を省略することができるようにすることによって、補助金等に係る市民の負担の軽減を図っている。
取組期間
令和2年4月1日から
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
市民が補助金等を申請する際、補助要綱等により、住民票や納税証明書などの税関係の書類の添付が必要とされていることがある。そのような場合、市民は、各証明書類等を市役所の書類発行窓口で交付を受けたのち、補助金等の担当窓口で、補助金等の申請手続きを行うこととなるが、必要な書類が不足していたり、間違った書類を取ってしまった場合などは、再度、書類発行窓口で交付を受ける必要が生じるなど、補助金申請の手続きに多くの手間や時間を要することに。しかしながら、補助金等の担当課から、税情報等を管理する担当課へ個人情報の照会を行い、回答を得ることができれば、市民が、自身で書類を揃える必要がなくなり、補助金等の申請手続きの負担が軽減され、市民サービスが向上するだけではなく、職員の事務手続きの効率化にもつながると考え、証明書類等添付の省略に取り組んだ。
取組の具体的内容
平成30年6月に、企画部総合政策課が中心となって、補助金申請等に添付する各種証明書の添付省略について、検討を開始した。
新居浜市個人情報保護条例第9条第1項第1号に規定する「本人の同意」を根拠に、法令等に添付を規定されているものを除いた申請については添付省略の方向で、法制担当課である総務部総務課と協議を行ったが、総務課の見解としては、本規定は「ただし書き(例外規定)」であるため、複数の補助金制度等を一律に扱うべきではない、とのことで、一時棚上げとなった。
申請に関し、審査等に当たって不必要な証明書等の添付を義務付けしていないか再度確認するとともに、実施機関が収集した個人情報の目的外利用・提供は原則禁止されていること、今回の各種証明書等添付の省略は、市民サービスの向上や効率的な行政運営などのため、例外的に認めるものであること、補助事業等実施課においては、提供された個人情報の適切な管理を行っていくこと、などを徹底したうえで、「本人の同意書を提出してもらう」ことによって、「法令、条例、規則で添付を義務付けられたものを除く、個人を対象とした補助金申請に添付する住民票、納税証明書、所得証明書を省略する」ことで、庁内合意を得ることができ、令和2年4月より、実施している。
◎照会回答方法
①事業実施課は、新居浜市個人情報保護事務取扱要綱第5条第1項第1号に規定する「保有個人情報目的外利用・提供依頼書」を保有個人情報主管課に提出。
②事業実施課担当者は、課長の記名押印をした申請書を作成(対象者が複数名いる場合は、一覧表を添付)。申請書には、本人同意書の写しを添付。
③事業実施課担当者は、申請書と本人同意書の写しを保有個人情報主管課に提出する際、署名と職員証を呈示。
④保有個人情報主管課は、照会に基づき、「照会回答用」のスタンプを押印のうえ、証明書を発行。
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
個別に、証明書等の省略を行っている他自治体の例もあるようだが、本市では、考え方を整理し、全庁統一的な取り扱いを行うこととした。
取組の効果・費用
取組に対し、特に予算を必要とするものではない。市民にとっては、手続きが多少なりとも簡略化されること、また、証明書等の交付には、1件当たり300円の費用が発生するが、少額とはいえ、その経費が削減されることとなることなど、補助金等の申請に係る負担の軽減につながるものと考えている。
※市民が不要となった費用の合計
254通分 76,200円(4月1日から6月16日までの実績)
取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
やらなければならないこと自体は、非常に単純なことだが、個人情報保護条例を踏まえた上で、運用が可能なのかという点については、総務課との協議が思うように進まず、庁内合意を得ることが、一番の課題だった。
今後の予定・構想
市民目線で現在の事務手続きを見直し、小さなことからでも改善していくことによって、費用をかけることなく、市民サービスの向上と、職員の事務の効率化を図ることができる案件が、身近に潜んでいると思う。
問い合わせ先
愛媛県 新居浜市 総合政策課
電話番号 0897-65-1210