
多様なニーズに応える防災グッズカタログギフト
住民の防災意識向上を目指した支援や、備えを促す啓発に頭を悩ませる自治体は多いだろう。公助だけでなく自助・共助の体制づくりが必須となる中、各家庭での備えを支援する興味深いサービスが始まった。
※下記はジチタイワークスVol.39(2025年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]リンベル株式会社
左:リンベル
広報部
庄司 寛康(しょうじ ひろやす)さん
右:リンベル
商品本部 商品開発部
鑓水 貴幸(やりみず たかゆき)さん
受け取る側がギフトを選べる仕組みを自治体の防災支援に活かしたい。
カタログギフトの制作・販売を手がける「リンベル」では、防災グッズに特化したカタログギフト「RING BELL SONAE(リンベル ソナエ)」を令和7年2月に発売した。広報を担当する庄司さんは「能登半島地震をはじめ、災害が年々増加する中で、各家庭の防災意識は高まりつつあると感じています。自治体でも、今まで以上に平時の備え、有事の際の対応を見直す動きが活発化しています。住民の防災意識向上や備蓄を後押しする取り組みとして、私たちの手がける“選べるギフト”が役に立つのではないかと考えました」と話す。
商品開発のきっかけは、ある自治体との取り組みだった。「その自治体専用の防災カタログを当社が制作し、対象世帯に配付して防災グッズを選んでもらうというものでした。この経験で、自治体から住民への支援策として、こうした取り組みが有用だということが分かったのです」。
しかし、オリジナルのカタログを制作するには、内容の検討から商品選定、印刷、発送まで多くの工程が発生し、申し込み対応なども自治体にとって大きな負担となる。そこで、もっと手軽にニーズに応えられる形を模索。長年の実績とノウハウを投入して、防災グッズに特化したカタログギフトをリリースした。
商品の選定や発送の労力が不要になり、少ない業務負担で支援につながる。
「カタログギフトは、受け取る側が好きな商品を自分で選べることが大きなポイントです。これまでは、冠婚葬祭など個人間の贈答が主な用途でした。しかし近年では、この形式を法人で活用する動きが進んでおり、利用の幅が広がってきています」と商品開発を担当する鑓水さん。企業の記念品配付や社員への福利厚生などでの導入事例もあるという。選べる形式にすることで、ニーズを細かく把握する手間をかけずに、多くの対象者へ商品をスムーズに届けやすくなるからだ。
「防災グッズは、性別、家族構成、ペットの有無などによって大きくニーズが異なります。自治体が予算をかけて品物を一律で支給する場合、こうした違いに対応しづらく、満足のいく支援につながりにくいのではないかと考えました」と振り返る。カタログギフトにすることで、商品の選定や配付手段の検討、実施に関する様々なコストを省くことができるのは自治体にとってのメリットだ。3コースのカタログから選ぶだけで、その後は商品の発送までワンストップで任せられる上に、住民が希望の品を選択できるため満足感も得やすい。ギフト業界のノウハウが活かされた、新たな支援といえるだろう。
家庭での保管や回覧によるコミュニケーションに期待。
防災に特化した同サービスは、商品を届けるだけではなく、カタログ冊子自体も防災ツールとして役立つよう制作されている。「生活に取り入れられる防災情報や、著名人・有識者が語る備えの実例、防災のためのアイデアなども掲載し、冊子を手元に保管して役立ててもらえるような工夫をしています。巻末には防犯グッズも掲載されており、災害だけではなく、危機管理の総合カタログとして活用してもらえるとうれしいですね」と庄司さん。
また、災害への備えを促進することに加えて、各家庭で商品を選ぶ際に防災について会話が生まれるという面も、住民の意識向上に貢献できるのではないかと話す。「防災意識が高まりを見せているとはいえ、被災経験がない人は実感がもちにくく、定着までは至っていないのが現状だと思います。約6割の世帯が防災への備えをしていないという調査結果もあるそうです。当サービスを住民の防災意識を高めるための取り組みに使ってもらえればと思っています」。10万世帯あれば、10万通りのニーズがある。“住民が選ぶ”という新たな防災支援の選択肢として、今後注目していきたい。