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福井県越前市

窓口での手続きを「もれなく、はやく、かんたんに」  -新庁舎における新たな窓口の取組み-

取組概要

福井県越前市では、2020年(令和2年)1月の新庁舎開庁に向けて、「窓口での手続きを もれなく、はやく、かんたんに」をコンセプトに、市民の窓口滞在時間の短縮、分かりやすい窓口、職員の満足度の向上等を目指して新たな窓口づくりを進めてきた。2019年(平成31年)4月には、専門部署(政策推進課窓口改革推進室)を設け、取組みを加速した。

具体的には、
・総合窓口として、証明書交付窓口とライフステージ窓口(異動届窓口)を新たに設け、外国人総合相談窓口やおくやみ手続きのワンストップも含めて、窓口のワンストップ化を本格的に取り入れた。
・ライフステージ窓口では、「お客様手続きチェックシート」により、異動届に伴う各種の行政手続きをもれなく案内することを実現した。
・証明書交付窓口では、6種類の交付申請書の統合を図り、ワンライティング化を実現した。

取組期間

令和元年度~(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

・これまでの窓口対応は、証明書交付申請書が種別ごとに分かれていること、住民異動に伴う各種の行政手続きをそれぞれの担当課の窓口で受け付けるなど、来庁する市民に負担をかけていることが多かった。特におくやみ手続き(死亡者に関する各種行政手続き)については、半日から数日かかることもあった。

・新庁舎が建設されることを契機に、市民の間からも新たな窓口を求める声が上がっていた。

取組の具体的内容

(0)新たな窓口のコンセプト「(窓口での手続きを)もれなく、はやく、かんたんに」を実現

・もれなく:
お客様手続きチェックシートで、必要な手続きを“もれなく”案内する。
おくやみ手続きは、あらかじめ必要な手続きを洗い出して、“もれなく”受け付ける。

・はやく、かんたんに:
複数の証明書交付申請書を1枚に統合(ワンライティング化)し、申請書記入を“はやく”、“かんたんに”済ませる。
住民異動に伴う行政手続きのワンストップ化で、手続きを“はやく”、“かんたんに”済ませる。

(1)総合窓口4点セット(手続き一覧、業務フロー、業務記述書、手続きチェックシート)の作成

ライフステージ窓口で取り扱う行政手続き(転入、転出、転居、出生、死亡、結婚、離婚)に使用するツールを新たに作成した。

①手続き一覧:ライフステージの変化に伴う届出に伴う、全ての行政手続きを洗い出し(業務棚卸し)、総合窓口でワンストップ化する業務範囲を明確化した。
②業務フロー:各種手続きの流れを図示化・見える化した。
③業務記述書:各種手続きの事務処理の内容を記述した。
④お客様手続きチェックシート:分野別に各種手続きをまとめた一覧表を作成し、お客様自らが、必要な手続きをチェックできるシートとした。


(2)証明書交付申請書のワンライティング化
これまで、6種類あった交付申請書(住民票、戸籍、印鑑証明、税、諸証明、軽自税)を1つの申請書に統合して、申請日・住所・氏名・生年月日を1回記入するだけで、複数の種類の証明書交付を申請することが可能になった。




(3)窓口の色別表示(外国語併記、色名併記)
窓口の案内サインには、業務内容と窓口番号を表記し(課名表記はしない)、業務ごとに色を変えて作成した。配色は、カラーユニバーサルデザインに配慮した色の組み合わせとし、色弱者にも分かりやすいよう色名を併記した。外国人の来庁者も多いことから、全ての案内サインに外国語(英語、ポルトガル語)を併記した。特に外国人総合相談窓口には、中国語、ベトナム語と合わせ、4か国語で表記した。

(4)おくやみ手続きのワンストップ・ワンライティング化、予約制の導入
死亡者に関する手続きは、他の異動届に伴う手続きと異なり幅広い分野に及ぶことから、これまでは、ご遺族が多くの窓口を巡回して手続きを行っていた。おくやみ手続きをなるべくワンストップで終えられることを目指し、あらかじめ必要な手続きを洗い出し、来庁時にはすぐに手続きが始められるよう、業務フローを確立した。また、手続きに必要な申請書に、あらかじめ死亡者の情報(氏名、住所、生年月日等)を印字できるエクセルファイルを作成し、ご遺族の手書きの負担を軽減した。あわせて、おくやみ手続きの予約制を取り入れ、申請書等の事前準備を行い、窓口での対応時間の短縮を実現した。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・新たな窓口の取組みの全てを、先進自治体や総務省地域情報化アドバイザーのアドバイスを参考に、職員が手作りで作り上げた。
・先進自治体と比較し、いわゆる戸籍・住民部署で取り扱う税証明の種類の多さや少ない窓口担当職員での運用など、すでにワンストップ化、効率化されていた証明書交付業務を確実に新庁舎で実現できるよう努めた。
・総合窓口の設置に必要なシステム等(申請書作成システムやお客様手続きチェックシート)については、Microsoft Excelを使用して作成し、費用をかけずに実現した。

取組の効果・費用

・窓口のワンストップ化により、特におくやみ手続きについては、これまで半日から1日(長い場合は数日)かかっていたものが、1~2時間程度で済ますことができるようになった。ワンストップでの応対が浸透しつつあり、お客様からは「ここ(おくやみ手続き窓口)で、相続のことも相談していいですか。」と、他課の業務についても聞かれることが多くなった。(職員が入れ替わって応対。)
また、住民異動(引っ越しや出生)に伴う手続きについても、7割程度の市民が1カ所の窓口で手続きを済ませることができるようになった。
・証明書交付についても、受付レーンを住民異動届受付レーンと分けることで、申請書記入後から受付までの滞留時間を短縮することできた。
・業務棚卸しや業務フロー作成などのBPR(業務プロセスの見直し)を実践する場を得ることができた。
・職員の手作りによる取り組みのため、お客様手続きチェックシートや証明書交付申請書などの印刷費程度の費用で実現することができた。(人件費や庁舎建設に含まれる案内サイン等の経費は除く)

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

総合窓口を設置(窓口のワンストップ化)に当たり、総論では合意が得られたものの、総合窓口担当職員の確保や他課の手続きの受付業務を担うことの負担感などで、部署間の理解を得ることが難しかった。専門部署(窓口改革推進室)が、業務フローの作成やワンストップ化する各種手続きのレクチャー、職員の応援体制(当番制)の確立、新庁舎におけるリハーサルの実施などの実務を担うことで、窓口担当課の負担を軽減しながら準備を進めた。

今後の予定・構想

・新たな窓口を作り上げていく中で、市民の利便性の向上は図られている一方で、窓口担当職員の負担が増えている点は否めない。今後は、総合窓口支援システムなどのICTの活用によって、市民・職員双方の負担の軽減や総合窓口の更なる効率化を図っていきたい。

・新たな窓口のコンセプトを更に深化させ、①ワンストップからノンストップ(来なくてもいい窓口)、②ワンライティングからノンライティング(書かない窓口)、③更なるノンウェイティング(窓口滞在時間の短縮)を目指していきたい。

・総合窓口の設置に際し取り組んだBPRの手法を、他の窓口業務や内部処理業務に展開し、全庁的な業務改善につなげていきたい。

他団体へのアドバイス

私たちの取り組みを振り返ると、「気付く」→「調べる」→「見に行く」→「やってみる」を実践してきたように思う。窓口での課題に「気付き」、業務の実態や他自治体のやり方を「調べ」、先進自治体を「見に行き」、情報や知恵を共有して、実際に「やってみる」(うまくいかなかったら、また考える)ことである。

SNSやWeb会議などの活用により、他自治体職員との情報交換が容易になっている状況で、全国各地に先進的な取組みを実践している自治体があることを知り、新たな取組みを進める上で大変心強かった。また、そうした自治体の多くは、ノウハウや資料を快く提供していただけたことが、本当にありがたかった。

私たちも、これまでの取り組みや経験をシェアしていく。是非、一緒に取り組んでいこう。

取組について記載したホームページ

おくやみ手続きの予約を始めました
http://www.city.echizen.lg.jp/office/echizen/lifescene06.html#okuyami

問い合わせ先

福井県 越前市 政策推進課窓口改革推進室
電話番号 0778-22-3016

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