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全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。今回はその中から、奈良県橿原市の「ストリートファイターのコンテンツを活用したシティプロモーション」を紹介する。
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
取り組み概要
魅力あるコンテンツを数多く有している株式会社カプコンと、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録を目指す橿原市が、「ストリートファイター」シリーズのキャラクターの活用を中心に、歴史・文化資源の有効活用に関する事業、観光振興や地域広報などの幅広い分野において連携し、地域活性化の取組みを展開します。
背景・目的
「ストリートファイター」シリーズを生み出した株式会社カプコンの創業者で、現在会長である辻󠄀本憲三氏は橿原市出身で、1995年に橿原市で開催した「藤原京創都1300年祭 ロマントピア藤原京’95」では同社に、オリジナルアニメ『よみがえる藤原京~時を駆けたファイターたち~』を描きおろしていただきました。こういったご縁や「ストリートファイター」シリーズが35周年を迎えることもあり、2022年(令和4年)に橿原市と株式会社カプコンの間で包括連携協定を締結し、地域活性化を目的に、協働して様々な取組みを進めています。行政だけでなく、地域を含めた様々な主体が参加することによって、効果的なPRと相乗効果が期待されます。
取り組みの具体的内容
令和4年
4月 橿原市長とカプコン辻󠄀本会長の対談
8月 「橿原市と株式会社カプコンとの包括連携協定」締結
8月 コラボポスター作成・配布
9月 橿原市学校給食応援団アンバサダー「リュウ」就任
令和5年
3月 近鉄大和八木駅北側噴水広場壁画制作(団体主催で地元学生と連携)
3月 市役所分庁舎(ミグランス)周辺にコラボフラッグ設置
5月 地元有志(個人)の寄附により橿原市観光交流センターかしはらナビプラザ入口に「リュウ」銅像設置
8月 原動機付自転車用オリジナルナンバープレート枚数限定交付(橿原消防署にも交付)
10月 市内小中学校でコラボ献立提供(月1回)(~令和6年3月まで)
10月:エドモンド本田のちゃんこ鍋
11月:ダルシムのカレー
12月:ケンの和風スパゲティ
1月:春麗(チュンリー)の春巻き
2月:さくらの白ごはんとリュウの水ようかん
3月:ガイルのハンバーガー
12月 地元商店街イベントでコラボ
令和6年
2月 近鉄大和八木駅デジタルスタンプ
3月 ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングにより、市役所分庁舎(ミグランス)入口に「春麗」銅像、近鉄大和八木駅・橿原神宮前駅周辺にデザインマンホール3基を設置
特徴
株式会社カプコンの「ストリートファイター」シリーズは、国内のみならず海外で大きな支持を得ているコンテンツであり、それぞれのキャラクターも個性を持ったものとなっています。
そのキャラクターの好物や出身国の料理を市内中学校の学校給食でコラボ献立として、令和5年10月から令和6年3月まで計6回提供し、献立表にもキャラクターを登場させました。
また、銅像やデザインマンホールのキャラクター選定にあたっては、1995年に株式会社カプコンに描きおろしていただいたオリジナルアニメ『よみがえる藤原京~時を駆けたファイターたち~』に登場したキャラクターを基に進めています。
橿原市民しか享受できない取組みとともに、多くの観光客の方々には、実際に本市に「来て」楽しんでいただくための取組みを展開しています。
取り組みの効果・費用
現在のところ、実際に本市に来訪される人数は限定されていますが、まずは「橿原(かしはら)市」の認知度向上のために取り組んでいます。原付オリジナルナンバープレート、銅像やデザインマンホールの設置等の様々な取組みにより、全国ネットのテレビ番組やマスコミに取り上げられるなど、各方面で効果が出ていると実感しています。
特に学校給食のコラボ献立はSNSで非常に多くの閲覧、好意的なコメントをいただきました。もちろん通常の給食費で賄っており、新たな費用は発生していないため、その点でも宣伝効果は高かったと考えています。さらに食育の観点からも、良い取り組みであったと思っています。
1体目の「リュウ」銅像は、橿原市内の有志の方々からの寄附をいただき設置。2体目の「春麗」銅像やデザインマンホールの設置に当たっては、本市では初めてとなるふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを実施し、合計6,570,000円の寄附をいただきました。
いずれも、当市の地域活性化の取組みに賛同いただいた方からの応援であり、今後も資金調達の手法は考えながら、さらにコンテンツを増やしていくことで効果的なPRと相乗効果が生まれるものと期待しています。
取り組みを進めていく中での課題・問題点
株式会社カプコンの人気シリーズ「ストリートファイター」は、国内に留まらず海外で大きな支持を得ています。そのブランドイメージを尊重しながら取組みを進めていく必要があるため、株式会社カプコンのご担当の方とは綿密にコミュニケーションを図りながら、他方では各種団体と調整し、より効果的な実施時期、取組内容の確認、費用等を精査しています。
今後の予定・構想
様々な背景から日本国内へのインバウンド需要が見込まれています。外国人観光客の人気ランキングでは①大阪府③京都府⑤奈良県となっていますが、観光客は奈良県北部に留まり中部に位置する本市まで来られないのが現状です。しかし、2025年には大阪で日本国際博覧会の開催が予定されており、また2026年には「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録を目指していることから、この絶好の機会を生かし、国内外を問わず、多くの方に橿原市を知っていただき、「ストリートファイター・ストリート」の造成など訪れたくなるような仕掛け作りを進めます。より早く、観光客の方々に「観て、楽しんで、買って、食べて」もらえるコンテンツを提供するために、多様な主体によるプラットフォーム組織「ストリートファイターのコンテンツを活用したまちづくり協議会」を組成したいと考えています。
他団体へのアドバイス
今年中にも、地域活性化を目的として地域を含めた様々な主体が参加できるような仕組み作りを想定していますが、他団体の方にアドバイスできるような状態ではありませんので、差し控えさせていただきます。