ジチタイワークス

北海道猿払村

新たな利活用策を模索していたホタテの廃棄貝殻が、身を守る道具へ。

※下記はジチタイワークスVol.35(2024年12月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

天然ホタテ貝の水揚量が日本有数である猿払村は、ホタテの名産地として知られる一方で、長年貝殻の利活用が課題となっていた。新たな活用策として、貝殻を再利用したヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」の開発が令和3年にスタート。貝殻の主成分に注目した、プラスチック再生技術をもつ企業が協力してくれたという。“新素材として再利用できるのでは”と、村を支える資源と捉え、エコプラスチックの開発に乗り出した。また、村だけでなく漁業協同組合もこの事業に賛同。資金の一部をクラウドファンディングで集め、製品化が実現した。

このヘルメットは、新品プラスチックを使用する場合と比較して、最大36%の二酸化炭素削減効果があるという。また、貝殻を約50%混ぜることにより強度が約33%向上。さらに、デザインにはホタテ貝殻のリブ構造を取り入れた“バイオミミクリー” 技術を採用し、耐久性を高めている。「プラスチックはヘルメットに限らず使える素材です。再生プラスチックとして、様々なものに転用ができるのでは」と阿部さんは期待を込める。ホタメットは、大阪・関西万博の防災用公式ヘルメットとしても導入予定だ。

村はさらに、消波ブロックに使用する砂の代替素材として貝殻を活用する「HOTATETRAPOD(ホタテトラポッド)」も民間企業と共同開発。こちらにも関心が集まっているそうだ。

※自然界の仕組みを学び技術開発に活かすこと

漁業のほか、防災用、自転車用などとして使われている。

猿払村 産業課
阿部 真人(あべ まさと)さん

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