ジチタイワークス

愛媛県宇和島市

「何度も書かなくていいので便利」窓口案内システム、キャッシュレス決済などを導入~住民目線のDX~

デジタル技術を活用した窓口案内システム(OCRやICカードリーダーを使用し、氏名などを印字した書類を作成)、キャッシュレス決済や広告付き案内システムを導入することで、住民、職員の負担軽減、滞在時間、接触機会の削減を実現

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2022」の応募事例から作成しており、本記事の内容は全て「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

申請者:氏名、住所などを何度も記入
 →何度も書くので大変…

職員:記入された内容を何度も確認

新型コロナウイルス感染症対策:滞在時間、接触機会を削減
 →全ての住民が効果を享受でき、負担を軽減しながら滞在時間を削減する方法を検討

 

取り組み事例
「書かない窓口」~住民目線のDX~

ホームページ | デジタル技術を活用した市民課窓口オープン!

 

取り組み期間

令和4年3月~(継続中)

 

取り組みの内容

市庁舎の一部改修に合わせ、窓口案内システム、キャッシュレス決済などを導入

【窓口案内システム】
システムの導入により、住民は一度の署名のみで手続き可能になります。

異動受付支援システム(四国初導入)
転入など住民異動時に、転出証明書や住民票をOCRで読み取ることで、異動届などを作成します。

申請書作成支援システム
マイナンバーカードや運転免許証などをICカードリーダーで読み取ることで、各種証明書の交付申請書を作成します。

広告付き窓口案内システム
窓口発券機を広告付きにすることで、ゼロ予算で実現しました。
また、市ホームページ(HP)で窓口の混雑状況や処理状況を確認できるようにし、住民の滞在時間を削減しました。

 

【キャッシュレス決済対応セミセルフレジ】
交付手数料や葬祭関係使用料の支払いについて、現金の他クレジットカードやスマホ決済なども選択できるようにして、住民の利便性が向上しました。

セミセルフレジ導入で、対面での金銭のやりとりをなくすことにより、接触の機会を削減しました。

 

システム導入後の「住民異動届(転入)+住民票発行手続き」の流れ
(広告付き窓口発券機、異動受付支援システム、キャッシュレス決済対応セミセルフレジの活用事例)

 

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

庁舎一部改修に合わせて、新しいフロアに機器を設置するため、住民の導線や案内の仕方なども何度もシミュレーションして、住民に使いやすい機器の配置や案内の仕方を考え、何度も研修を重ねました。

今後、新システムをより活用し、住民と職員双方の負担軽減になる方法を検討するためには、職員の考え方もスマートにする必要があり、そのための取り組みを思索しています。

 

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

住民が同じことを何度も手書きする負担を軽減することを最も重視し、また、新たなデジタルデバイドを発生させないため、年齢・国籍などを超えて全住民に効果が及ぶ改修方法を検討しました。

そこで庁舎の建て替えをチャンスと捉え、転出証明書や住民票などをOCR技術などで処理し、住民異動届を作成することなどが可能である異動受付支援システム(四国初導入)、申請書作成支援システム、キャッシュレス決済対応セミセルフレジなどを一斉導入することで、窓口全体を一新し、「書かない」「時短」「非接触」を同時に実現しました。

 

効果・費用

住民異動の手続きでは、1件当たり5~15分程度の時間短縮となっています。また、システム導入以前は世帯全員分の氏名、住所など、同じ内容を何度も記入する必要があり、「これにも書くの?」といった声があったが、システム導入後は、「書かないでいいので便利」と、手書き負担軽減の面で予想以上に多くの住民に喜んでいただいています。

また、窓口発券機は、通常導入に約1,000万円、保守費用として年間約50万円が必要なものであるが、広告付きのものとすることで、予算ゼロで導入・維持が可能となり、大幅なコスト削減となりました。

更に、市ホームページで窓口の混雑状況や処理状況を確認できるようになったことで、住民異動が多い時期には、「いったん、別の用事を済ませてから受け取りにくるなど、時間を有効活用できるようになった。」と喜んでいただきました。特に子ども連れの方には好評です。

そして、証明書などの手数料は少額の場合が多いため、現金支払いが多いのではという懸念もありましたが、キャッシュレス決済の普及の影響もあってか、一定程度の需要(利用率:7%前後)はあり、接触機会の削減にも寄与しています。

 

今後の予定・構想

システム導入により、運転免許証やマイナンバーカードなどを使って、市民課窓口での交付申請書が作成可能となりましたが、他部署の申請書などについても活用するなど、更なる住民サービスの向上へつなげていきたいと考えています。

また、マイナンバーカードを活用した転出・転入手続きのワンストップ化に向けた改修を予定しており、それによる転出・転入手続きの時間短縮化や、マイナンバーカードの普及促進を見込んでいます。

 

他団体へのアドバイス

システム導入以前は、異動届などの書き方が分からない場合は、職員が説明していました。転出入が多い時期には、説明対応に追われ、来庁者をお待たせすることがありました。また、住民異動と同時に住民票などが必要であれば、もう一度申請書を記入する必要がありました。

システム導入後は、手書きすることなく、窓口発券機で番号札を取得し、内容確認後署名をするだけで申請が完了します。また、追加で住民票などの交付もすることが可能となりました。同じ内容を何度も書くという負担を解消することで、多くの驚きの声をいただいたことが印象的でした。

一方、フロアマネジャーは申請書の説明の負担が軽減されたものの、窓口受付では聞き取りや入力作業に時間を要する、というように業務負担のバランスが変わることが起こり得るため、それに対応した業務の割り振りなどを検討する必要があります。

デジタルデバイドに配慮した住民サービスの向上という点においてもこの取り組みは有効であり、今後もデジタル技術を活用した便利で使いやすい窓口業務に努めたいと思っています。

 

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