ジチタイワークス

千葉県

【仁平 貴子さん】市民・議員・自治体職員がともに“公共”を学ぶ場を運営。

多くの市民にとって行政は遠い存在で、社会の仕組みを理解し、自分事として捉えることはなかなか難しいのではないか。そんな課題を感じていた仁平さんは、千葉県に入庁し、公務員として働く傍らNPOを設立。多様な人が公共について学ぶ場を運営している。

※下記はジチタイワークスVol.21(2022年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

千葉県 総合企画部 報道広報課
仁平 貴子さん(入庁16年目)

 

市民・議員・自治体職員がともに“公共”を学ぶ場を運営。

“自分たちのまちは自分たちでつくる”社会の実現を目指して平成29年に設立された「NPO法人6時の公共」。職員だけでなく、働く市民や学生、議員も含めて平日夜開催の学習会や各種プロジェクトを実施している。令和2年には、まちづくりを楽しく学べるボードゲーム「僕らの基地がほしいんだ」を開発。イベントの場では“公務員です”のタスキをかけて踊るなど、活動の楽しいPRを心がけている。

行政の世界を知りたくて。

大学卒業前から、国際協力NGOでのインターン、卒業後は社会福祉協議会や在京大使館での勤務など、様々な形で公共に関わってきました。当時、公共の中心的存在である“行政”は何をしているのかが分かりづらく、正直ネガティブなイメージもありましたね。ですが、もともと探求心が強く、分かりづらい世界を知り、そこで自分は何ができるだろうと考え、27歳で千葉県に入庁しました。

自治体運営についてきちんと知るために、入庁してすぐ同期メンバーと小さな勉強会をスタートしました。その後、千葉県の先輩職員が立ち上げた公務員の自主的なネットワーク活動の中で、オープンな学習会を開始。すると、ビジネスパーソンや市民活動をしている人、議員、学生など多様な人の参加が増えてきました。そのため、平成29年「NPO法人6時の公共」を設立。

今は不定期開催ですが、各界の専門家や実務家を講師として迎え、まちづくりに必要な知識やノウハウなどに関する学習会を開催し、その内容をオンラインで配信しています。これまでのテーマは、保健所の役割、知事の仕事、財源確保、デジタル化など幅広く、今後も継続していく予定です。

学ぶことでより良い社会へ。

活動の中で、まちづくりを学べるボードゲーム「僕らの基地がほしいんだ」を2年かけて開発しました。皆さんの身のまわりにある社会やまちの仕組みについて、“なぜそうなっているのか、どうして変えられないのか”疑問を感じることがあると思います。実は自分たちが“こうしたい”という思いがあれば変えられることを伝えたくて、実際に社会の仕組みを変えていく方法を体験できるゲームをつくりました。本年度から高校で“公共”の授業が始まったこともあり、コロナの感染対策を行いながら学校などで授業を行う予定です。

公務員として職務を全うしながらNPO活動を継続するのは、時間のやりくりやメンバーの入れ替わりなど大変な面もありますね。ですが、公務員だけでなく、色々な属性のメンバーがいるおかげで多様な目線を培い、物事を俯瞰で考えられるようになったことは、普段の業務にも活きています。より多くの人と一緒に行政をひも解いて学ぶことは、課題解決策の発想や、新しいものを生み出すことにつながります。これからの社会をどう変えていくか考える上で、現状を知ってもらうことは重要。使命感を持ち、これからも活動していきます。

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