ジチタイワークス

新潟県粟島浦村

医師のいない小さな村で住民の命と健康を守る看護師。

神丸さんは島民約350人の3分の1ほどが65歳以上の粟島浦村の職員として採用され、島唯一の診療所「粟島へき地出張診療所」に看護師として勤務している。医師のいない同島では20年以上前から遠隔診療に取り組んでおり、全国からも視察に訪れるという。勤務時間は役場と同じ朝8時半から夕方17時15分だが、緊急時には24時間体制で駆けつけ対応をする。

※下記はジチタイワークスVol.15(2021年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

新潟県 粟島浦村 粟島へき地出張診療所
神丸 惣 さん(入庁4年目)

 

新潟県北部の日本海に浮かぶ粟島。周囲23㎞ほどのこの小さな島には、医師が一人もいない。平成29年7月に役場の職員となり、村の診療所で看護師として働く神丸さんに、島の医療現場や自身の思いについて聞いた。

全ての患者さんに対応。

父が漁師で、僕は中学まで粟島で過ごし、人の健康を支えたくて看護師になりました。本土の一般病院に勤めていましたが、帰省したとき、「看護師を募集しているから帰って来ないか」と誘われました。こうして、25歳で村の職員となり、診療所で働き始めたのです。島で生活するのは10年ぶり。給与は下がりましたが、”いつか地元に恩返しをしたい”という思いを実行する好機だと考えました。

診療所で働いているのは、僕と先輩の男性看護師の2人で、医師はいません。本土にある村上総合病院と大型テレビ電話をつなぎ、医師による遠隔診療を週2回行っています。村には救急車がなく、急患が出たときには駆けつけ、初期対応をするのも看護師の役割です。ドクターヘリや県警のヘリ、また、船を要請して病院まで付き添うこともあります。

本土では脳外科に所属していましたが、ここでは全ての患者さんに対応しなければなりません。幅広い知識と対応力、判断力が求められるため、救急をはじめ様々な研修に積極的に参加しています。最近はオンラインの研修が増え、参加がしやすくなりました。

医療の枠を超え地域をケア。

僕の地元なので、約350人の住民ほとんどが顔見知りです。皆さんと挨拶を交わし、野菜をお裾分けしてもらうような、温かいコミュニティができています。一方で、仕事とプライベートを区別しにくい面もあります。休日の早朝から自宅に健康相談に来られたり、いつでもどこでも心身の悩みを話されたり……。僕は苦になりませんが、公私をしっかり分けたい人にはつらいかもしれませんね。

新型コロナウイルス感染症に関しては、本土の専門家に支援してもらい、島内の学校などに向けた対策マニュアルを制作しました。ほかにも、独居で認知症の方をどうフォローするか話し合うなど、自治体職員だからこその役割もあります。

離島ならではの大変さはあるけれど、住民の皆さんの命や健康を守るため多様な活動に関わることができ、やりがいを感じています。本土にいた頃は、患者さんの受診・退院後の様子が分からなかったのですが、ここでは身近で見守ることができる。皆さんが笑顔で元気に過ごしている姿を見ると、うれしくて安心します。

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