ジチタイワークス

埼玉県所沢市

【林 誠さん】公務員、本を書く。

これまで様々なテーマの著書を執筆してきた林さん。その背景には、長年培ってきたキャリアと自身の“楽しい”を実行する習慣があった。

※下記はジチタイワークス公務員特別号(2021年3月末発行)から抜粋し、インタビューの内容やプロフィールは原稿作成時(同年2月中旬)のものです。

埼玉県所沢市
財務部長
林 誠 さん

はやし まこと:大学卒業後、「日本電気株式会社」での勤務を経て1990年に所沢市入庁。総務部では議会対応、財務部では予算編成などを担当した後、埼玉県地方分権推進室へ出向。2002年から財政部門、商業振興部門、政策企画部門等に所属し、現職。中小企業診断士、通訳案内士。著書に「お役所の潰れない会計学」(自由国民社)、「財政課のシゴト」(ぎょうせい)、「イチから分かる!“議会答弁書”作成のコツ」(ぎょうせい)、「9割の公務員が知らない お金の貯め方・増やし方」(学陽書房)、「公務員の読み書きそろばん」(学陽書房)。


したいことがあるなら、諦めちゃったらもったいない。

Q.これまでに5冊の本を出版。そのモチベーションとは。

昔から本を読むのが好きで、学生の頃はネチネチ小説を書いていました(笑)。最初の著書は、自分で書いたものをWEBを通じて出版社へ応募したところ、そのまま出版につながったんです。タイトルは出版社側で“会計学”とつけましたが、内容としては自治体運営の課題について、面白おかしく書いたもの。その後も様々な企画を考えては応募しましたが、残念ながら採用されず。2冊目以降は、出版社から「このテーマで」と依頼をいただいて執筆しています。

私はこれまで総務や財務、経営企画など、官房系部署を長く渡ってきましたので、自然と様々な部署の情報やチームカラーなどが分かるようになりました。そういった経験も、本を書く上で活用できていますね。これまで依頼されたテーマは様々でしたが、“どこまで自分が書けるのか”というチャレンジもモチベーションになりましたし、指名してくださった出版社の期待に応えたいという思いもあります。

Q.財政や会計、金融などのテーマには元々興味があったのですか。

大学で経済学を専攻しましたが、当時は授業に面白みを感じられず(笑)。入庁した頃はまだバブル景気でしたが、しばらくすると日本経済がどんどん悪くなり、「どういうことだ?」と勉強しはじめたのをきっかけに、経済の面白さに気づきました。そこから、株式の取引なども自分なりに細々と行うようになりました。

平成14年からは、有志の職員と「所沢市経済どうゆう会」という“勝手に経済を勉強する会”を開始。ちょっと尖がっていたり、不器用だったりして、浮いてしまいそうな職員に、「楽しいことをしよう」と声をかけて集まりました。内容は、「経済を勉強し、うまくいけば儲かる!?」というもの。円高や金利、株式の話や、最近では「米大統領選は誰が勝つか」などを題材に。もちろん業務外なので“遊び”ですが、だからこそかえって真剣になります。毎回宿題が出ますが、みんなしっかり取り組んできます。現在は不定期ですが、なんだかんだで17年続けているので、200回以上は集まっています。

個人的には、40歳の頃に中小企業診断士の資格を取得しました。資格を持っていたら希望部署へ異動する説得材料になるのでは、という魂胆もあって。試験勉強は大変でしたが、意外と楽しめましたし、結果的に希望部署への異動も叶いました。

Q.執筆や出版に興味を持つ公務員へ伝えたいことは。

何かを発信したいということなら、出版だけではなく、今はブログやSNS、動画などもありますので、自分に合うツールを活用するといいですね。ただ、何かを発信すると、周囲の目が変わることもあります。特に若手の場合、「アイツは外であんな発信をしているけど、実務はどうなの?」と注目されます。それで仕事ぶりが“普通”だと、「いろいろ言っているわりに……」と低く評価されてしまうことも。なので、発信することを志すなら、“周りの1.5倍は仕事をする”といった気概が求められると思います。

本を出すというと、何やら華々しいことのように感じるかもしれませんが、別にそんなこともありません。私自身、本を出したことによって何か変わったかというと、正直、そうでもないような気がします。長く下積みを続けていたバンドが、ようやくCDデビューにこぎつけた……みたいな達成感とは、かなりニュアンスが違います。本を読むことが好きで、書くことが好きで、懲りずにやってきたら、たまたま形になったという感じです。“楽しんでなんぼ”がモットーなので。

とはいえ、どんなことでも続けるのはやっぱり大変。つい、「まあ、今日はいいか」と思ってしまいがちです。そこで、自分を戒めるために、“文章を書くこと”や“本を読むこと”に割いた時間を、かれこれ15年以上、毎日記録しています。そうやって習慣化すると、反対にそれをしないことを気持ち悪く感じるようになります。

ぜひ関心のあることや好きなことには積極的に取り組んでほしいですね。また、時間をつくって日々継続することで、自分自身の力にもなると思いますし、人生もきっと豊かになりますよ。

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