ジチタイワークス

【納 翔一郎さん】WEB限定 ジチタイワークス創刊5周年特別インタビュー 「5年前、5年後」。

富田林市商工観光課勤務。富田林と公務員の魅力を発信する、多数のコミュニティリーダー。

5年前(2017年)、何をしていましたか?

プロサッカークラブ「FC大阪」とシティセールスにおける連携協定を締結し、当時、自治体ではかなり珍しかった、インターネット生配信番組「富田林テレビ」を2017年10月より官民連携で立ち上げました。現在も毎月最終水曜日に放送している市民が主役の情報発信番組で、市内各地でアクションを起こしている市民や富田林市の魅力を、対話を通じて紹介しています。私は企画・運営・初代パーソナリティとして、4年間(総ゲスト400名以上)務めました。「富⽥林テレビ」をはじめとした官⺠連携の取り組みを通じて、民間企業のスピードと実践力を肌で感じ、地方公務員として大きく成長する起点となった1年でもありました。

5年前と今を比べて「(自治体・行政まわりで)変わった・進んだ」と思うことは?

やはり新型コロナウイルス感染症の流行に伴う変化でしょう。今までの当たり前が崩れ、あらゆる事業や取り組みを再構築する必要がありました。また、全国各地の⾃治体の現場において、国からの臨時交付金や準備期間の短い政策に振りまわされる頻度も増えたような気がしています。その反面、自治体のデジタル化は一気に進みました。WEBミーティングやオンライン申請など、自治体内の業務改善や住民サービスに大きな変化が生まれています。コロナが流行してから様々な変化はありますが、私が大きく変わったと感じているのは、これらの内容です。

5年前と今を比べて「(自治体・行政まわりで)変わってない・進んでないな」と思うことは?

私が一番“変わらないな”と感じていることは、紙主体の働き方です。打ち合わせや会議、庁内調整の場においては、まだまだ紙での資料共有が多い印象があります。また、押印による回覧や決裁もなかなかなくなりません。私が現在所属している部署では、敏腕係長のおかげもあり、紙媒体の廃止と押印省略・廃止が大きく進められました。今まで紙媒体で行われていた回覧や簡易的な決裁処理などのほとんどが、庁内イントラやLoGo チャット上で済むようになったのです。その結果、職場にいなくても仕事が進められる状態となりました。多くの自治体で根付いているであろう“紙文化”と“押印文化”が、このデジタル化社会で少しずつでも効率的で効果的な形になることを願っています。

この5年のご自身の取り組みで思い出す「苦労したこと」は?

私は、2019年10月に創設の“富田林市公民連携デスク”に深く関わっていました。その際に「そもそも公民連携ってなに?」「どのようなメリットがあるの?」「仕事が増えるだけじゃないの?」という声を多方面からいただいていたので、各部署へ地道に足を運びながら説明しました。結果として、賛否両論のご意見をいただきながら公民連携を推進させたのですが、同部署への在籍期間は常に“説明”に追われていたような気がします。しかし、大阪府公民戦略連携デスクや当時お付き合いのあった民間企業の皆さんの支えがあり、様々な課題解決や提案が実現したことは、今となっては私の良い思い出です。

この5年のご自身の取り組みで思い出す「達成感を得たこと」は?

この5年間は、“本質”と“行動”をキーワードに、様々な課題に対して挑戦することができました。その中でも、現在取り組んでいる“観光情報発信の整理と改革”は、私自身の中でも特に達成感の大きいものとなりそうです。その主な理由は、私個人の力のみでなく、係長をはじめ、民間複業人材、学生、地域住民・事業者、そして、業務時間外での活動でつながった方々など、様々な⽴場の⼈たちと多⾓的な”問い”を投げかけ合いながら進めることができているためです。成功も失敗もあった道のりでしたが、関わったみなさんとは、確実に“次の一歩”を踏み出すことができています。ある程度の実装は2023年1月に完了予定のため、まだ達成感は得ていません。しかし、その先に大きな達成感が生まれるであろうことは、私の中で強い確信を得ています。  
・ 富⽥林市観光公式Instagram アカウント「とんだばやし_とりっぷ@富⽥林観光情報

5年後(2027年)の地域社会や自治体、公務員に期待する姿とは? 

地域社会の現場で地方公務員が“コーディネーター”的な役割を担い、積極的に地域に関わることが”地域住⺠””組織”の両⽅からきちんと評価される未来を、私は期待しています。地域住民は、どうしても自分の住んでいる・行動している地域の範囲で物事を捉えがちになります。しかし、日頃から自治体全体を広い視野で捉えて仕事をする地方公務員は、自治体内の地域と地域をつなぐ“ハブ”の存在になれるはずだと信じています。今後さらなる人口減少・少子高齢化により地域コミュニティの衰退が懸念されていますが、地域同士を有機的につなげて地域の盛り上げ役を担う地方公務員が増え、そして、適切に評価されるようになれば良いなと思います。

最後に、5歳になるジチタイワークスについてご意見・メッセージをお願いします。

ジチタイワークス5周年、本当におめでとうございます。ジチタイワークスからは、いつもたくさんの情報と学び・気づきをもらっています。また、私だけでなく、全国各地の多くの公務員に読まれており、事例・ノウハウなどの共有を通じて全国の公務員の背中をそっと押していると、私は感じています。これが社会に与える影響は、本当にポジティブなものだといえるでしょう。そしてそれは、ジチタイワークスを運営する皆さんのご尽力と熱い想い、そして、優しさがあるからだと思います。ジチタイワークスの今後のさらなる発展と継続を、心より願っております。改めまして、本当におめでとうございます。

 

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