ジチタイワークス

群馬県明和町

合併を前提としない経済連携協定を支援軸とした民間資本の導入 ~(株)邑楽館林まちづくりによる駅前開発~

取組概要

群馬県明和町と同県千代田町は自治体の枠組みを超えて地域経済を発展させるため「経済創生連携協定」を結び、互いの資源やノウハウを共有しながら、企業誘致や民間資金の導入を行い、少子高齢化による人口減少や財政縮小を食い止めることを目的とし、地域経済の基盤の確保を図るものである。
協定における企業活動基盤の整備及び充実として、多くの従業員が活用する駅が機能的になるよう駅前周辺を整備し、企業従業員の移住定住を促進しつつ、民間資本の導入を行っていくため、経済団体と町の出資による「まちづくり会社」の設置をし、駅前開発事業(駅東口医療・保健センター複合施設整備、駅西口ホテル・温浴複合商業施設整備等)等を行うものである。

取組期間

平成29年7月28日から(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

明和町と千代田町は「鶴舞う形の群馬県」でいう鶴のくちばしに位置し、東京からアクセスもよく、ベットタウンとなっている町だ。また近隣には館林市、板倉町、邑楽町、大泉町があり、平成の大合併でも合併をしなかった邑楽館林地区(邑楽郡及び館林市)である。合併論については各市町で行われており、合併におけるメリットよりもデメリットを各市町が選択し、現在にいたる。
しかし、各自治体における単独での産業団地等の開発は人材面でも、財政面でも限界があった。また明和町の西部地区に明和工業団地、明和第二・第三工業団地が、千代田町の東部地区に千代田工業団地があり、その先にある鞍掛工業団地をあわせると、約1万2千人の従業員を抱えており、その従業員たちの通勤やビジネスにおける交通の起点となるのが、国道122号線と東武伊勢崎線の川俣駅となっている。
各町において、各々の開発を行っていたが、交通の起点が同じことから、2町のそれぞれの強みを生かしつつ、2町一体における企業誘致や駅前開発による地域経済の活性化が急務となっている。しかし従来の開発事業であると、多額の公費がかかること、事業における意思決定まで多くの時間を有してしまうことから、後手にまわってしまい、チャンスを逃してしまう現状があった。そこで民間資金の活用と民間企業並みの意思決定と事業スピードが必要となった。

取組の具体的内容

■経済創生連携協定の締結

2町のそれぞれの強みを相互に利活用し、地域経済の活性化策を強力に推進し、それぞれの町の「都市力」と「経営力」を高め、持続可能な活力ある地域経済を維持することを目的として経済創生連携協定を締結した(平成29年7月28日)。都市開発事業におけるノウハウを共有し、2町の産業用地(造成予定地を含む)のすべてを対象とすることで、企業誘致を行う際に幅広い用地を提案し、企業の選択肢を増やすことで、立地率を高めていくことを目的としている。
また企業活動基盤の整備及び充実として、国道122号線と川俣駅とが機能的になるよう整備し、企業従業員の移住定住を促進しつつ、民間資本の導入を行っていくことを行動プログラムとして設定した。そして目的を達成するため、そしてより具体的に事業を展開するため、経済団体と町の出資による「まちづくり会社」の設置を検討した。



<立地企業のニーズ>
■まちづくり会社の設立

地域経済における交通の起点となる国道122号線と川俣駅が明和町にあるため、明和町主導のまちづくり会社の設立を行った。設立にあたっては、千代田町の副町長をオブザーバーにむかえ、町会議員、区長、民生委員、金融機関、医師会、地元建設業関係、地元大手企業の方々を構成員とした検討委員会を設置(平成30年9月28日)。委員会による意見をもらい、平成31年2月1日に株式会社邑楽館林まちづくりを設立した。


※1 明和町、千代田町だけでなく、群馬県の玄関口としての開発ということから会社名を「邑楽館林」とした。
※2 明和町からの研修派遣職員

■㈱邑楽館林まちづくりの運営スキーム

邑楽館林まちづくりのスキームは、下図のとおりで、まず町から出資、人的派遣(研修派遣)、補助金等の交付を受け、国県の補助金等も活用する。地権者や土地開発公社から定期借地等により事業用地を確保しつつ、民間企業や金融機関の民間資金も活用していく。そうした資金により建設した建物の施設利用者やテナント出店者からの利用料や賃料等を運営資金として会社を経営しながら、様々な地域の活性化事業を展開していくものである。

■駅東口(医療・保健センター複合施設等)整備事業

明和町及び千代田町の医療カバー率は、低い現状(診療圏500mでカバーされているのは僅か)にある。住民ニーズにおいて、医療の利便性向上を望む声が大きく、医療施設の需要を満たすことが急務となっている。そこで川俣駅の東口に医療と保健センターの複合施設を整備する事業を展開している。
整備にあたっては、町とまちづくり会社で駅周辺開発事業協定を締結。明和町の保健センターは、築38年の建物で、老朽化のほかに、検診バスを使用する今の健康診査に対応できない状況(現在の検診は役場で実施)で、建て替えを検討していた。保健センターについては町の区分所有とし、保健センターの建設費を立地適正化計画推進が認められ国からの補助がついた国庫補助とともに町負担金として支出する。建物や駐車場の土地については、土地開発公社から割賦購入や一部の土地を個人の地権者から賃貸借する。また医療施設については、民間資金を建設工事にあわせたプロポーザルにより導入し、建物のオーナーとなる出資者とまちづくり会社にて医療施設賃貸契約を結び、医療施設に入る病院経営者とは医療施設部賃貸借契約を結ぶ。
令和2年4月に進出医療事業者を含めた川俣駅周辺整備事業パートナーシップ調印式を行う。令和3年10月に竣工する予定となっている。

■駅西口(ホテル・温浴複合商業施設等)整備事業

川俣駅では、近隣資料から約3,000人が通勤している。また企業アンケートによると明和町、千代田町両町内企業の宿泊施設は館林市や羽生市が多く利用されており、宿泊施設のニーズの高さが伺えた。そこで町への集客と地元経済の発展のため、川俣駅西口に宿泊施設(ホテル・温浴施設複合商業施設)の整備を計画した。
整備にあたっては、まちづくり会社とホテル(㈱EHOTELグループ)とパートナー協定を結んだ。この協定により温泉売買や駐車場の賃貸借、ビル清掃管理受託等の費用が、ホテルからまちづくり会社へ支払われ、まちづくり会社としては、年間約1,100万円の利益を見込んでいる。

収支シミュレーション

〇ホテル事業者からの支払い
①温泉購入費       8,700万円/年
②温泉排水処理費     2,200万円/年
③駐車場借り上げ料     500万円/年
④施設清掃管理費     4,900万円/年
合計         1億6,300万円/年 … (A)


〇まちづくり会社の経費
①運営経費        1,200万円/年
②医療施設管理費     4,800万円/年
③温泉掘削等借入返済金  1,000万円/年
④温泉施設等維持管理費  1,900万円/年
⑤施設清掃管理費     4,900万円/年
⑥用地購入代       1,400万円/年
合計         1憶5,200万円/年 … (B)

(A) ― (B) = 1,100万円/年

■その他事業

その他の事業として、新型コロナウイルス感染症の拡大により全国的にマスクが不足していた時期に、まちづくり会社の官と民のそれぞれの強みを生かし、多くのマスクを適宜に確保し、群馬県、近隣市町村、医療機関及び福祉関連施設等へ迅速に供給し、地域住民の安心できる生活環境の維持に貢献した。
また明和町と国内交流している三重県明和町のそれぞれの特産品である梨(群馬県明和町)と松坂牛(三重県明和町)を入れた明和珈哩(レトルトカレー)を新たな地域のPR特産品として製造、販売を行っている。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・この取り組みは、初期段階は2つの行政のみのスタートとしながらも、次のステップでは行政単体から官民連携へ、そして2町から邑楽館林地域へとステップアップをしながら、その成果も拡大させていける仕組みとしている。
・取り組みの目的達成のために設立したまちづくり会社を、従来の第三セクターのような行政側の主導をせず、民間の人材、資金を優先とし経営方針も民間主導としたまちづくり会社を設立したことにより、事業実施の意思決定の迅速化と高い資金流動性をもたせ事業展開の好機を逃すことなく収益を成果をあげられる組織とし持続性を高める。
・従来のまちづくり会社では、収益事業に関して、「事業の収益性が低い」「事業を続けるための財源が不足」といった課題が多いため、定期借地権方式の活用のほか、施設においても付加価値(温泉をつけることで付加価値)を高め、不動産収入を創出した。

取組の効果・費用

従来の国県の補助金を活用した公費依存の町主体の事業ではなく、収益性を重視した複合的な官民連携事業としたことにより、約50憶円強の民間資金が調達できたことにより公費負担の大幅な軽減が図られつつも、地域住民や企業に対し多様なサービスを提供できる拠点整備を推進することができた。
特に駅西口のホテル・温浴複合商業施設については公費負担がなく、立地企業の企業活動支援、地域住民の余暇の充実、健康増進など、様々な地域へのサービス提供ができる事業を推進することができている。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

経済連携協定を締結したが、具体的な事業をスタートさせるにあたって2町の財政力や行政課題の状況の違いにより、現在は、明和町が主導し、様々な事業展開をしているが、今後、経済連携協定の目的を達成するためには、2町でよりベクトルを合わせた推進体制を整えていくことが必要と考えている。

今後の予定・構想

まずは㈱邑楽館林まちづくり(まちづくり会社)を、この経済連携協定の目的を大きく達成していくための手段として様々な場面で活用していきたいと考えている。具体的には公費をあてにしないまちづくりが展開できるよう、官民連携のメリットを最大限に活用した収益事業を幅広く展開し、得た収益をさらに事業投資へと繋げ、経済活動の拡張を図っていく。そのためには、まちづくり会社の名称のとおり事業展開の範囲を経済連携協定の2町の枠にとらわれることなく邑楽館林地域へと広げ、事業スケールメリットや参画民間事業・自治体を増やし、まちづくり会社の資金力を高めていきたいと考えている。

他団体へのアドバイス

従来の行政運営の考え方では、地域住民生活の多様性や立地企業の企業変革スピードに対して対応ができず、人口の減少、企業の撤退などを加速させてしまい、地域活力の減退を止められず地方はジリ貧となってしまうと危惧していた。明和町では、そうした地域課題に対し、行政を運営から経営へとすべく、自治体の枠にとらわれず、経済連携協定によるまちづくり会社の設立を選択した。官民連携の形は様々ある中で、それぞれの地域の事情により求められる官民連携の在り方は異なると思うが、今後はさらに行政のプラットホームビルダーとしての役割を踏まえ、官から民間主導による住民へのサービスの割合を高められるように、地域にあった官民連携体制の構築がこれからの地方における存続できるまちづくりの鍵となるのではないかと考えている。

取組について記載したホームページ

https://ouratatebayashi.amebaownd.com

問い合わせ先

群馬県 明和町 企画財政課
電話番号 0276-84-3111

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