ジチタイワークス

岩手県釜石市

多様なキャリアを有する民間人材との連携による社会課題解決

取組概要

復興まちづくりや持続可能なまちづくりプロセスにおいて、公的サービスの範囲は拡大し、地域が従前から抱える社会課題の深刻化や新たな社会課題が浮き彫りとなっている。人手不足や財源不足等により公的資源の限界を迎える中で、行政だけが課題解決に取り組むのではなく、地域内外の個人、企業、団体等、様々なセクター・人材が地域課題のプロセスに参画することのできる「余白(=制度)」をつくり、地域内外に課題解決プロセスへの参画を促すことで、行政(公助)を補完し、民の力を養うための、民間人材の活用を推進している。

取組期間

平成25年度~

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

【背景】
・釜石市の歴史的、文化的土壌
釜石市では、外部人材を“ヨソモノ”として拒絶されることは少ない。近代製鉄の発祥や、自然災害・戦災からの復旧・復興といった歴史的節目において、外部人材が活躍し、地域住民との協働によってまちづくりを行ってきた。また、大企業の城下町として、魚や鉄の交流拠点として栄えてきたことなど、ヒト・コトが還流してきた文化的土壌を持っている。2011年に発災した東日本大震災においても、ボランティアに参加した人数は76,544人(釜石市社会福祉協議会経由)にも上る。

【目的】
・釜石に関わる・暮らす可能性を最大化し、地域の活力を維持する「釜石オープンシティ戦略」
復興まちづくりという、釜石市への関わりしろ(=余白)は、ヒト・コトの還流を生み出し、新たな事業・活動の機会を創出しながら、地域の課題解決に直接的・間接的に寄与し、地域の活力を維持してきた。関わりしろを構築し、外部人材の還流・協働による地域住民のまちづくりへの主体性の構築及び新たな事業・活動の機会創出を図り、人口減少においても地域の活力が維持され続ける、ひらかれたまちとなることを目的としている

取組の具体的内容

・釜石市の地域課題プロセスへの関わりしろを創造し、人材の還流、事業・活動の機会創出を図り、行政を補完し、民の力を養う民間人材の活用を推進。


・半官半民の地域コーディネーター「釜援隊」(復興支援員制度の活用)
・多様な人材の還流を促し、地域資源を生かした挑戦を促す「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」(地域おこし協力隊、地方創生推進交付金の活用)
・慶応義塾大学との連携により地域の課題・魅力を研究分析する「地域おこし研究員」(地域おこし協力隊制度の活用)
・都市部企業とのパートナシップにより、専門的な知識とノウハウによってプロジェクトを推進する「地域おこし企業人」制度の活用
・市職員との協働により、行政・地域課題の解決を目指す「行政型地域おこし協力隊」(地域おこし協力隊制度の活用)

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・民間人材による社会課題解決への多様なアプローチを構想
・多様な関わり方を実現するための選択肢としての国の制度を柔軟に活用
・採用マーケティングやPR機会を生かし、“釜石には挑戦のフィールドが存在”というブランディング

取組の効果・費用

・多種多様なキャリアをもつ人材が還流し、地域に新たな事業・活動の機会が創出されている。
・250名を超える応募の中から委嘱をした30名の「釜援隊」によって、農業・漁業の1次産業の担い手育成、企業連携による産業6次化、地域コミュニティの形成支援などを推進
・「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」を通じて、4年間で20名の起業型人材の誘致、16件の新規事業創出、2.5億円の価値を創出
・「地域おこし研究員」では、SFC政策メディア研究科の修士課程を釜石に滞在しながら取得することができる制度を構築。1期生として1名が防災研究に取り組み、多くのメディア掲載につながっている
・「地域おこし企業人」制度の活用では、株式会社LIFULL×空き家活用、江崎グリコ株式会社×商品開発・SDGs推進、ソフトバンクグループ株式会社×ローカルDX(デジタル・トランスフォーメーション)など、多様なプロジェクトを創発


・「復興支援員」「地域おこし協力隊」「地域おこし企業人」「地方創生推進交付金」など国制度を積極的かつ柔軟に活用することで自治体負担を軽減しながら、多様な人材誘致・活用を実現

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・時代の潮流に合わせた、人材登用の仕掛けを絶えず構築し続ける必要があること
・参画する人材の活動や趣旨を行政内や地域に浸透させ、理解を図ること

今後の予定・構想

今後も、多様な人材に選ばれる釜石であり続けるために、社会の変化と釜石の強みを生かしたブランディングと、民間サイドの中間支援の強化に取り組む

他団体へのアドバイス

・外部人材の誘致・活用には「通訳」となる人材が必要。行政⇔民間、都市⇔地方など、異なるセクターを経験する人材が両者の間にたって、情報発信やコミュニケーションを促すことが重要
・プログラムごとに目的と手段、誘致した人材の思い、地域ニーズ等をすり合わせしていくことが重要

取組について記載したホームページ

■地方創生ビジョンの全体像「オープンシティ戦略」
https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020051900010/

■半官半民の地域コーディネーター「釜援隊」
https://regional-coordinator.org/

■多様な人材の還流を促し、地域資源を生かした挑戦を促す「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」
http://opencitykamaishi.jp/localventure/

■慶応義塾大学との連携により地域の課題・魅力を研究分析する「地域おこし研究員」
https://si.sfc.keio.ac.jp/si-researcher/researcher/06nakagawa/

問い合わせ先

岩手県 釜石市 総合政策課オープンシティ推進室
電話番号 0193-27-8463

【行革甲子園】全国の自治体の創意工夫あふれる取り組みを紹介! 記事一覧

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