ジチタイワークス

岩手県釜石市

地域おこし企業人を活用した空き家の利活用

取組概要

平成29年12月6日付「釜石市・株式会社LIFULL・楽天LIFULL STAY株式会社による空き家利活用を通じた地域活性化連携協定」を締結し、全国的な課題である空き家問題に取り組み、官民連携の空き家の利活用を促進し、持続可能な空き家マッチングシステムの構築に取り組んでいる。また、当該取組を着実に推進していくため、「地域おこし企業人制度」を活用し、不動産に関する知識とノウハウを有する専門人材を株式会社LIFULLより、1名の派遣(平成30年度から令和元年度)を受けた。

1. 空き家情報の掘り起し・集約・発信
2. 空き家、その他有給不動産の利活用に関すること
3. 空き家を活用した民泊受入環境づくりに関すること
4. 地域で空き家利活用を推進する民間人材の育成に関すること
5. その他、地域活性化の促進に関すること

取組期間

平成30年度~

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

釜石市では983軒(令和2年2月時点)の「空き家と推定される建物」が存在しており、今後も増加していく見込みである。増加する空き家を放置することは空間資源の遊休化、除去コストの増加等、まちづくりや地域経済に悪影響を与えることとなるため、活用できるものは活用し、活用できないものは除去していくことが必要となる。空き家を地域資源ととらえ、空間資源の再価値化を促進し、定住促進、税収増を図る空き家の利活用を促進するととともに、空き家を放置させないための啓蒙活動やモデルケース構築を実施し空き家を所有するオーナーの利活用意欲の醸成を図り、空き家の増加や」放置による除去コストの増加を抑制することで、地域経済の循環及び地域活性化を図ることを目的としている。

取組の具体的内容

1. 空き家情報の掘り起し・集約・発信

・釜石オリジナル空き家バンクへの掲載から「LIFULL HOME’S空き家バンク」に掲載を統一した。全国の情報が記載されており、アクセスも多い発信媒体を活用した。(LIFULL HOME’S空き家バンク=釜石空き家バンクとした。)
・空き家情報の集約に向けて、市からの「声掛け」だけではなく「相談が来る」ための仕組みづくり
市は情報を集め、掲載数を増加させ、取引件数を高めたいことから、市内不動産から、一定期間塩漬けとなっている物件や不動産業の範疇を超える空き家相談の情報を共有するネットワークを構築。

2. 空き家、その他遊休不動産の利活用に関すること


3. 空き家を活用した民泊受入環境づくりに関すること

・空き家利活用のモデルケースづくりとして、「ルームシェア×民泊」による空き家活用を実施した。
釜石市内においては、単身者向け住居が少なく、家賃相場が高いという地域課題があり、移住者の流入においてネックとなっていると考えられる。また、移住者側の課題として、収入やコミュニティ構築への不安等が存在していると考え、この地域側と移住者側の双方の課題に対して、対応する「移住者×ルームシェア×民泊」によるモデルケースを構築した。移住者同士(地域おこし協力隊等)が、空き家を賃貸又は取得し、シェアリングすることで、ひとりあたりの家賃負担額を軽減するとともに、住宅宿泊事業法に則った民泊を行うことで、副業として家賃費用等を賄うことができ、コミュニティの構築や移住先におけるやりがい、生きがいの創出につなげた。

・空き家を資源ととらえ、主体的に活用を行う地域を目指し、空き家等遊休不動産を活用してエリアリノベーションすることを学ぶ「リノベーションスクール」を開催した。
市内で既にエリアリノベーションに取り組む民間人材が集積する釜石大観音仲見世通りを対象エリアに、実在する空き家、空き店舗、空き地を題材に、オーナーに向けた空き家等遊休不動産の利活用策の提案を行った。スクール終了後も実施に向けた活動を行っている。
 

4. 地域で空き家利活用を推進する民間人材の育成に関すること

・空き家利活用を下支えする人材の育成及び持続可能な体制を構築するため、空き家対策の専任職員を地域おこし協力隊制度を活用して採用した。しかし、行政側に不動産業に関する知識やノウハウが無いことから、株式会社LIFULLによる研修をはじめとした、民間ノウハウを学べる機会を積極的に活用して、人材育成を行っている。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・市が独自に空き家バンクを立ち上げるのではなく、既存の民間企業のサイト、かつ全国の空き家の情報が集うサイトに掲載することで、空き家に興味を持つユーザーへの更なるリーチを図った。
・空き家バンクの立ち上げにおいて、不動産関連業務の専門知識を有していない市職員のみでの立ち上げ及び持続的かつ効果的な運用のための基盤づくりは、ハードルが高く、コストと工数がかかる。そのため、行政課題を行政組織だけで解決するのではなく、課題を地域内外と共有し、民間企業との連携や専門知識・ノウハウを有する人材の派遣を可能とする「地域おこし企業人制度」を活用した。

取組の効果・費用

・成約件数が増加。釜石市空き家等対策計画における成約指標の改善があった

成果指標:空き家バンク成約件数50軒/10年
連携協力以前:成約件数は21か月で4件=10年間で23件ペース
連携協力以後:成約件数は22か月で10件=10年間で54件ペース

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・空き家の情報をどのように集積していくか

空き家等を含む不動産ポータルサイトは掲載数が閲覧数及びマッチング数に大きく影響してくること
から、情報を集めるため市広報への情報掲載やチラシなどを配布したが、効果が低かった。
そこで、市内不動産会社とのネットワーク構築を行い、市内不動産会社において塩漬けになっている物件
情報や、相談情報等を共有し、空き家バンクに掲載した方が良い物件情報の共有体制を構築した。
また、市広報やチラシでの情報発信は、市内に住む空き物件オーナーに対しては効果があるものの、
大多数を占める「空き家を所有しているが市外に住むオーナー」に情報が届かないことから、固定資産税
の納入通知にチラシを同封するなどの工夫を行った。


・空き家の利活用をどのように生み出すか

空き家のマッチングは偶発的に生み出されるものであったが、移住者として流入する地域おこし協力隊
等に「活用計画を提案する」というアプローチを行うことで、「ルームシェア×民泊」による空き家利活
用の一つのモデルケースが生まれた。

今後の予定・構想

・空き家の情報収集、掲載、並びに相談、マッチングといった空き家バンクの運用を改善しながら継続していく。

他団体へのアドバイス

市独自での実施よりも、地域内外の民間企業(不動産業に精通する)が有するノウハウを活用して、運用の土台を気づくことで、人材の入れ替わりが発生しても、一定程度の水準が保たれる空き家マッチングサービスの構築が可能となる。

取組について記載したホームページ

・釜石市ホームページ https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020061800010/
・LIFULL HOME’S https://www.homes.co.jp/akiyabank/iwate/kamaishi/

問い合わせ先

岩手県 釜石市 総合政策課
電話番号 0193-27-8463

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