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千葉県富里市

地域のファンを増やす!特産物「富里スイカ」を使ったオーナー制度。【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。

今回はその中から、千葉県千葉市の「富里スイカオーナー制度」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

平成27年度から開始された富里市の観光事業である「富里スイカオーナー制度」。これは、スイカの苗のオーナーを募集し、オーナーが自身が苗を選ぶ作業と、収穫・出荷までを体験する取り組みだ。

背景・目的

豊かな自然と文化・人々との交流を通じて楽しむグリーンツーリズムの趣旨に添い、農家とのふれあいと農業体験などを通じ、同市の特産物である「富里スイカ」の知名度向上を目的として実施している。また、本取り組みにより、富里市に訪問する機会を増やし、知名度の向上と観光客の増加を図ることがねらい。

取り組みの具体的内容

オーナーは、札つけと収穫・出荷の2回の体験に参加する。札つけ作業は、5月中旬のスイカの交配を行う頃に実施しオーナーが自身のスイカの苗を選び、自身のスイカが分かるように札を付ける作業。その際に富里スイカについて学ぶセミナーを実施し、富里スイカへの理解を深めるような取り組みも行っている。

収穫・出荷体験は、6月下旬から7月上旬に実施し、自分の選んだ苗のスイカの収穫と箱詰めの作業を行う。これらの作業、体験によって、消費者と生産者がお互いに交流することで、消費者は農業への理解を深め、生産者は消費者の生の意見を聞くことができる機会の創出につながっている。

実施に当たり、JA富里市西瓜部と契約を行い、全国でただ一人のスイカマイスターである市内農家にスイカの育成および圃場の管理を依頼している。これにより、品質のよいスイカをオーナーに収穫してもらい、富里市や富里スイカのファン獲得につながると考えている。

平成27年度から令和5年度の9年間で6回実施しており、応募者数の平均倍率は約4.4倍となっている。(募集は7回実施。令和2年度~令和4年度は新型コロナウイルスの影響により札つけ作業及び収穫・出荷体験の実施を中止)オーナーの募集枠も徐々に増加しており、当初は、50人のオーナーで実施していたが、令和5年度には100人と当初の2倍にまでオーナー数を増加させている。

オーナー数の増加に伴い、イベントの運営が大変になる側面があるものの、富里市を知ってもらうチャンスだと考え、オーナー数の増加を行った。今年度からは、従来の受付場所であった市役所から、市の特産品の販売や特産品を使用したレストランの運営をしている観光・交流拠点施設「末廣農場」に変更し、スイカ以外の富里市の魅力を知ってもらえるよう、改善を行っている。

多くのオーナーの方が「末廣農場」に訪れたことでより富里市の魅力を知ってもらいたいと考えている。また、観光施設が少ない同市により長く留まってもらえるよう、オーナーに対して、市内で使用できるクーポン券の送付も行っている。
 

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

富里市で観光を考えたとき、市の主幹産業である農業の活用、特に市の特産品であるスイカの活用は重要だ。このような市の状況を踏まえた中で、ただ、スイカの収穫体験に止まるのではなく、富里スイカのセミナー、札つけ作業、収穫・出荷体験といった一連の流れの中で、富里スイカについて知ってもらうこと、富里スイカのファンになること、そしてそれらを通して富里市も好きになってもらうことで、同市に訪問する機会を増やし、知名度の向上と観光客の増加を図る手段として取り組んでいる。

取り組みの効果・費用

取り組みに対する主な費用として、オーナーの方から参加費として6,000円を徴収し、そこから、業務委託先であるJA富里市西瓜部に、圃場管理費とスイカの苗の育成費として60万円を支払っている。効果として最新の実績では、昨年度の参加者が札つけ作業日、収穫体験日の両日合わせて409人となっておりm多くの人が同市を訪れた。

また、昨年度の収穫体験に参加したオーナーにアンケートをとったところ、91%の人が次回もオーナー制度の募集があった場合は応募したいと回答。ほかにも、「スイカのことが好きになりました」「富里スイカが日本で一番おいしいスイカだと思います」「富里市民になりたいです」といった感想が寄せられていることから、知名度向上とファン獲得に効果があったと考える。

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

県内での富里スイカおよび富里スイカオーナー制度の知名度は向上してきているが、全国的な知名度は、まだまだ足りていない現状がある。全国的な知名度向上のために募集枠の一部にふるさと応援寄附金応募枠や、とみさとファンクラブ応募枠を設ける取り組みを行っている。

また、市のホームページや広報のほかSNSでの周知にも取り組んでいる。SNSの内容についても、実際に行った作業の様子やスイカの成長過程を公開するなど、目についたときに興味を引く内容の投稿を実施している。

今後の予定・構想

県外に対して、より富里スイカのPRとなるよう、富里スイカオーナー制度の発信を行っていきたい。その方法の一つとして、SNSのフォロワー限定の特別抽選枠を設けるなど、SNSを有効的に活用する内容を現在構想中。

他団体へのアドバイス

地域の特色を最大限活かす業務を行う場合、行政のみではできない。そのため、地域の団体や人(農業協同組合やスイカ農家)などの協力を得られる関係性の構築が大切。そして、協力していただける方々の業務(スイカオーナー制度ではスイカの育成)を少しでも体験することや学ぶことが大切だと考える。

 

【富里市公式ホームページ:スイカオーナー制度】
https://www.city.tomisato.lg.jp/0000009388.html
【富里市公式ホームページ:令和6年度富里スイカオーナー制度[富里スイカ日記]】
https://www.city.tomisato.lg.jp/0000015126.html

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