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福島県大玉村

自動販売機でふるさと納税⁉ゴルフ場を活用した地域活性化事例。【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。

今回はその中から、福島県大玉村の「自動販売機でふるさと納税⁉ゴルフ場を活用した地域の活性化」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

大玉村では、令和5年度より歳入増加と認知度の向上に向け、ふるさと納税専用の自動販売機を設置している。

背景・目的

今般、ふるさと納税返礼品競争が過熱している。ふるさと納税の本来の趣旨のもと、大玉村を応援したいという“共感納税”の原点に立ち返り、同村を観光やレジャーで訪問された方が、現地でふるさと納税を行い、返礼品を受け取れる仕組みを導入することで、地方にお金を落とす“きっかけ”をつくること。

取り組みの具体的内容

ふるさと納税自動販売機の流れ

1. 返礼品を選択(大玉村では1万円~100万円の寄附金額9種類を準備)
2. 寄附者情報を入力

 運転免許証をリーダーにかざすことで、住所・氏名をOCRセンサーで読取
3.  寄附者情報の確認
 自動読取した結果が表示(誤りがあればパネルにより修正)
4.  寄附の目的を選択(大玉村では以下の5つを準備)
・国際感覚豊かな人材の育成
・自然環境にやさしい村づくり
・夢を育てる教育・子育て
・元気な村づくり
・大玉まるごと応援
5. 「ワンストップ特例申請」の希望有無をチェック
6. クレジットカードによる決済(決済はクレジットカードのみ)

7. 返礼品引換用チケットが自動販売機から出力
8.  返礼品引換用チケットをフロントに提示し、返礼品(施設利用券)と引換え

※返礼品(施設利用券)は寄附金額の30%分
※施設利用券は、総務省基準に従い、ゴルフプレー代、併設のホテル、レストランに使用可能
※受領証明書、(選択に応じて、ワンストップ特例申請書)は後日、寄附者に郵送

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

独自性・新規性
福島県、東北地方初の話題性を最大限に活用して、大玉村にある既存の観光資源(ゴルフ場)と大玉村の認知度向上に貢献したこと。

工夫した点
自動販売機の導入にあたり、購入ではなく、成果報酬型リースの選択が可能となった初めての自治体であり、財政負担(初期投資)が必要最小限に抑えられたこと。

取り組みの効果・費用

ゴルフ場側の効果
通常、窓口におけるお客様のお支払いは、クレジット決済が多いことから、一人でも多くのお客様がふるさと納税自動販売機に流れることで、クレジット決済手数料が自治体負担になる(ふるさと納税に係る経費は自治体負担)ため、ゴルフ場においては、経費削減につながっている。

自治体側の効果
ふるさと納税自動販売機にかかる初期投資は設置費用(約20万円)のみ。自動販売機の筐体はリースだが、成果報酬型の支払い(寄附金額の4.4%(税込))のため、費用負担感は少ない。また、システムの利用料も寄附金額に応じた支払いとなっている。

令和5年7月8日の導入開始から令和5年11月30日までの寄附件数は45件、寄附金額154万円。(ゴルフ場は12月から2月までは雪のためクローズ)。令和6年度は春先から稼働するため、更なる寄附金額の増加(歳入増加)が期待される。他自治体からの行政視察の依頼につながった。

共通の効果
福島県、東北地方初の取り組みであったため、オープニングセレモニー時は宮城県からのメディア取材もあり、ゴルフ場と大玉村の認知度向上につながった。

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

いかに寄附金額を伸ばすか
・ふるさと納税の仕組みを理解しているお客様が多くないため、初めに節税効果もあるふるさと納税の仕組みを丁寧に説明する必要があった。
・ふるさと納税自動販売機の認知度が低いため、レストランや併設しているホテルにも、ポスターやチラシを設置し、周知を図った。
・ふるさと納税自動販売機の設置場所が異なるだけで、寄附金額に影響するため、お客様の動線(来場→プレー→精算)をゴルフ場と入念に調整した。

業務の効率化
ふるさとチョイスや楽天などのポータルサイトを自動販売機導入前から利用しており、ポータルサイト経由の寄附と自動販売機経由の寄附を業務効率上、別々ではなく一つのシステムで管理・運用するあたって、システム会社との調整や変更契約行為が発生し、対応した。

今後の予定・構想

産直等や他の施設への設置
自動販売機(筐体)の導入は、リース料が発生することから、筐体を導入する代わりに、タブレット設置や寄附者のスマートフォンを活用した仕組みを、村内の産直に導入を予定している。(寄附受付後のシステム処理は、自動販売機と同様)

[ スマートフォンを活用した例 ]
1. 寄附者が施設設置のQRコード付きチラシを読み取り
2. 寄附サイトから返礼品を選択し、クレジット決済まで完了
3. 決済の画面を施設窓口等に提示し、返礼品(利用券)と引換え

他団体へのアドバイス

観光資源をPRするきっかけや歳入増加にもつながる取り組みになると思う。

 

【大玉村公式ホームページ:ふるさと納税自動販売機の運用を開始しました】
https://www.vill.otama.fukushima.jp/oshirase/3227/

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