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※下記はジチタイワークスVol.36(2025年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
区役所内に設置された1台の自動販売機。コインロッカー式で、中には採れたて野菜や果物、区内農産物を使った加工品などが並ぶ。練馬区が令和3年に導入し、注目されているのが、農産物自動販売機「ねり丸直売所」だ。
きっかけは、令和元年に開催した「世界都市農業サミット」。ここで得られた知見を活かすべく、学識研究者や農業者、区民などによる「ねりま都市農業プロジェクト検討会」が発足した。検討会の中で、区東部には農地や庭先直売所が少なく、区民が農業に触れる機会が少ないことが課題として挙げられた。この課題解消に向け、区東部に位置する練馬区役所に直売所を開設。地元農家が曜日替わりで、朝収穫した旬の野菜や果物を納品している。日によっては、午前中に完売するほどの人気ぶり。福祉作業所でつくられた、不揃いの果物を使用したジャムなども好評だという。
「単に農産物を販売する場にとどまらず、庭先直売所や畑の魅力付けにつなげたい」と中野さん。令和6年度からは、農家一人ひとりの紹介と、庭先直売所の情報を記載した「農家カード」を作成し、購入者に配布している。身近に農地がある区の豊かさを感じてほしいという。また、区役所1階広場では、生産者から直接買うことができる「区役所マルシェ」を開催。他部署とも目的を共有しながら、農業の魅力を発信する拠点として、さらなる展開を目指している。
▲庁舎を訪れた区民のほか、職員からも人気。
練馬区 都市農業担当部 都市農業課
中野 遥(なかの はるか)さん