ジチタイワークス

3分でわかる!財政講座 第1回「政策のビルド&スクラップ」

これからの自治体を支える「財政のイロハ」を、前・福岡市財政調整課長の今村寛さんがレクチャー。

第1回|「政策のビルド&スクラップ」 ←今回はココ
第2回|「借金するのは悪いこと?」
第3回|「財政課はなぜ嫌われる?」
第4回|「予算は誰がどうやって決めている?」
第5回|「どこまでやれば財政健全化?」
第6回| 「お金がないなら自分で稼ぐ」

※下記はジチタイワークスVol.1(2017年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

1、地方自治体は本当に「お金がない」?

増え続ける社会保障費、伸び悩む税収。ほとんどの地方自治体は「お金がない」という悩みを抱え、財政健全化の大号令の下、毎年予算を削減し徹底した事務事業の見直しを余儀なくされています。では、削られたお金はどこに割り振りされているのでしょうか。

実は、地方自治体が自由に使途を定められる「一般財源」は、9割以上が過去の政策決定のランニングコストである「経常的経費」に充てられています。

2、足りないのは「政策的経費」に充てる財源

「経常的経費」とは、施設運営や行政サービスの実施経費など、新たに「やめる」という判断をしない限り継続的に必要な経費のことです。このうち社会保障費などの義務的経費が増大し、新たな政策の実現に必要な「政策的経費」に充てる財源が不足しています。これが「お金がない」という事実の正体。

財源を確保するためには、政策の優先順位の付け方が大きく関わります。

3 、「財政健全化」は目的ではなく手法

既存事業を削って生み出した財源を新規事業に充てる「スクラップ&ビルド」では、事業の見直しができなければ新しい政策に投入する財源が生まれません。そこで「ビルド&スクラップ」。

新しく取り組むべき政策を先に決め、その取り組みに充てる財源を生み出すために、これまで実施していた既存事業の優先順位を付け直す。この発想の転換こそが「お金がない」地方自治体で限られた財源を効果的に使う特効薬。「財政健全化」はそれ自体が目的なのではなく、より優先順位が高い政策を実現するための手法なのです。

講師PROFILE

福岡市 経済観光文化局 総務部長兼中小企業振興部長 今村寛
前・福岡市財政調整課長。自治体財政についてわかりやすく学べる「出張財政出前講座」で全国を行脚。開催件数は3年間で50回を超える。

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 3分でわかる!財政講座 第1回「政策のビルド&スクラップ」