ジチタイワークス

3分でわかる!財政講座 第6回 「お金がないなら自分で稼ぐ」

これからの自治体を支える「財政のイロハ」を、前・福岡市財政調整課長の今村寛さんがレクチャー。

第1回|「政策のビルド&スクラップ」
第2回|「借金するのは悪いこと?」
第3回|「財政課はなぜ嫌われる?」
第4回|「予算は誰がどうやって決めている?」
第5回|「どこまでやれば財政健全化?」
第6回| 「お金がないなら自分で稼ぐ」 ←今回はココ

※下記はジチタイワークスVol.6(2019年6月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

1、財源は与えられるだけではない

以前このコラムで、予算編成の裁量を現場に委ねる「枠配分予算制度」をご紹介しました。財政課からあらかじめ配分される財源の範囲内で、各部局で自主的・自律的に部局単位の予算案を作成するこの仕組みで現場に配分されるのは、自治体で自由に使途を定めることができる一般財源。

市町村税や地方交付税など、その収入を扱うのは主に財政部門の役割で、事業を実施する現場で直接その収入を増やす取り組みはできません。そこで注目したいのが、特定の事業に充てるために市の歳入として受け入れる「特定財源」です。

2、使うために「外貨を稼ぐ」

一般財源で事業費を賄えないなら「特定財源」を別のルートでお金を集めてくればよい。事業に対して協賛金や寄付金を募るもよし、遊休資産の活用や印刷物、庁舎の壁などの余剰スペースで広告収入を稼ぐ方法もあります。施設の維持管理費を受益者負担で賄う観点から使用料を徴収することも考えられます。

自分たちで考え、汗をかいて事業に必要な財源を「稼ぐ」という発想も自治体経営にとって必要な考え方になっています。

3、裁量による創意工夫がモチベーションに

「枠配分予算制度」は、与えられた財源の範囲内で現場の裁量により事業の優先順位を決め取捨選択していく仕組みです。配分される財源だけで施策が実施できない場合には、自分たちで稼ぎ、稼いだお金は基本的に自分たちの所管する事業に充てることができます。

このインセンティブが現場職員の創意工夫のモチベーションになっているのも「枠配分予算制度」が目指す「組織の自律経営」の効果です。

講師PROFILE

福岡市経済観光文化局総務・中小企業部長 今村寛
元・福岡市財政調整課長。自治体財政についてわかりやすく学べる「出張財政出前講座」で全国を行脚。開催件数は4年間で100回を超える。

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