ジチタイワークス

3分でわかる! 財政講座 第3回「財政課はなぜ嫌われる?」

これからの自治体を支える「財政のイロハ」を、元・福岡市財政調整課長の今村寛さんがレクチャー。

第1回|「政策のビルド&スクラップ」
第2回|「借金するのは悪いこと?」
第3回|「財政課はなぜ嫌われる?」 ←今回はココ
第4回|「予算は誰がどうやって決めている?」
第5回|「どこまでやれば財政健全化?」
第6回| 「お金がないなら自分で稼ぐ」

※下記はジチタイワークスVol.3(2018年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

1.財政課のこと、 好きですか?

財政課はほかの職場から嫌われています(笑)。ひとたび予算を要求すれば、財政課から事業の必要性や効果、積算根拠、より安価な方法との比較検討経過、他都市の状況などなど、山のような質問を浴びせられます。 現場のことをよく知りもしないのに注意ばかりつける財政課のことを疎ましく思った 経験は、自治体職員なら一度や二度はあるはずです。

そもそも、財政課はなぜ他人の仕事に注文をつけるのでしょうか。 財政課がいろいろ言うのは、自治体職員がつい忘れがちになる、財政の基本原則・二つのルールを守ってほしいからなのです。

2.支出は収入の範囲でないと使えない

ルールの一つ目は「支出は収入の範囲でないと使えない」。自治体職員の多くは「予算=使えるお金」だと勘違いしています。支出と同額の収入がないと使えないこと、その収支バランスをあらかじめ計画するのが「予算編成」だと忘れがちなのです。

自分で収支を管理せず、収入と支出の担当を分業し ている自治体ならではの誤解があります。 各課の誤解を解きつつ、「無い袖は振れない」と言うのが財政課の仕事の一つです。

3.予算は議会が承認しないと使えない

もう一つのルールは「予算は議会が承認しないと使えない」。自治体の予算は首長が提出した案を議会が承認する仕組みですね。そこで必要なのは“全体最適”。時に自治体職員は、担当する施策の推進に没頭し、その分野と関わりのない市民からどう見えるかという視点を忘れがちです。

財政課は現場の職員が陥りがちな“部分最適思考”をチェックし、さまざまな立場の市民から選ばれた議会で理解が得られるよう、全体を俯瞰しているのです。財政課のこと、少しはおわかりいただけましたか?

講師PROFILE

福岡市 経済観光文化局 中小企業振興部長 今村寛
元・福岡市財政調整課長。自治体財政についてわかりやすく学べる「出張財政 出前講座」で全国を行脚。開催件数は4年間で90回を超える。

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